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季節の狭間の中で

大好きな夏は8月31日までだ、と思い込む自分は、9月がさほど好きではなかった。日中は夏のように暑いのに、夜はしっかり秋のようで少し肌寒くて1枚羽織る物が欲しくなる。ちょっとそれが哀愁漂って、寒いのも、多く物を持つのも好きじゃない自分には少し苦手な月だった。

9月も下旬。夜リビングにいると、テレビの音よりももっと深い奥の方から風の音が聞こえた。それは夕暮れのさざなみに似た少し悲しい風の音で、秋のはじまりを告げていた。寝床に着くとそんな風に乗って、枕元に置いてある甘くて洒落た香りのするキャンドルがふわり、と鼻の奥を通った。それは秋の金木犀が香る感覚と似ていて、意外と嫌いではなかった。


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