秋の空時計#毎週ショートショートnote
「おおきなのっぽのふるどけい〜」
小さな子供が歌いながらブランコを漕いでいる。大きな古時計という曲。子供が歌っていると可愛いのだけれど、しっかり歌詞を聞いてみると少し悲しいおはなしだ。
「ひゃくねんいつも〜うごいていた〜」
子供はブランコから飛び降り、地面に敷き詰められた枯葉を踏んだ。おれんじきいろの葉を踏みながら歌う。
「いまはっもうっうごかない〜」
歌いながら、葉を踏むと、同時にガサ…カサ…、と音がなる。
「帰るわよ〜」
「おかあさ〜ん!」
今度は走る子供に合わせてガサガサバサバサと音がなる。
誰もいなくなった公園。そっとブランコに座り、足をふってみた。すると案外動く。
「いまはもう動かないその時計〜」
空からひらひらとおれんじきいろの葉が落ちていく。この景色が好きだから、私は秋が好きだ。
ガサガサバサバサ。
「おねえさん!あたまにはっぱついてるよ!」
さっきいなくなった子供が私の目の前に立った。そう言うと、ブランコの近くに落ちていた帽子を取って被った。
私はブランコから降りて、子供の近くにしゃがんだ。
「帽子の下に葉っぱあるよ」
子供は照れたように葉っぱを落として、私の葉っぱも取ってくれた。
(489文字)
ずっとこの企画に参加してみたかったのですが、お題がちょっとショートショート初心者には難しく…。
次こそ次こそと待っていましたが、やっといけるかも…と思えるお題がやってきたので参加させていただきました!
ショートショートってこういう感じでいいのかな??
こちらの企画に参加させていただきました。