見出し画像

温室効果ガス (update)

人為的地球温暖化が、熱い夏と農作物の不作・物価高騰に伴ない少しづつ ニュースに戻って来た様です。しかし、温暖化の原因としては、未だに、人類がエネルギーとして 石油・石炭等の化石燃料を燃やして二酸化炭素を大気中に放出、其結果、大気中の二酸化炭素が増加し、二酸化炭素の持つ温室効果に依り太陽からの熱が蓄積し、地表の温度が上昇するという二酸化炭素仮説が主流です。二酸化炭素仮説は、宮沢賢治が「グスコーブドリの伝記」(1932年)で最初に唱えた様です。確かに、クーボー大博士の二酸化炭素仮説は物語の一エピソードとしては上手く纏まってます。

ある晩ブドリは、クーボー大博士のうちをたずねました。
「先生、気層のなかに炭酸ガスがふえて来れば暖かくなるのですか。」
「それはなるだろう。地球ができてからいままでの気温は、たいてい空気中の炭酸ガスの量できまっていたと言われるくらいだからね。」
「カルボナード火山島が、いま爆発したら、この気候を変えるくらいの炭酸ガスを噴ふくでしょうか。」
「それは僕も計算した。あれがいま爆発すれば、ガスはすぐ大循環の上層の風にまじって地球ぜんたいを包むだろう。そして下層の空気や地表からの熱の放散を防ぎ、地球全体を平均で五度ぐらい暖かくするだろうと思う。」

青空文庫より引用

二酸化炭素仮説は単一空間モデルで、地球の大気と地表を熱動態的に単一空間と見做し、この空間の中の温室効果ガスが増えると大気中に蓄えられる熱が増えて温度が上昇する、という考えです(右の「一空間モデル)。太陽からの熱は上から入って来て、大気と地表を温め、上から宇宙へと拡散します。大気と地表は熱の動態的には単一空間に存在し、熱はその空間に均一に分布します。二酸化炭素が増加すると この空間に蓄積する熱量が増加し、温度を上昇させるというのが二酸化炭素仮説です。此処での用語としての熱、熱量と温度の定義は整理する必要がありそうです。

温室効果ガスの作業仮説

ところで、大気への太陽からの熱放射は昼だけなので、昼と夜を分けます。これが両相です。更に、生物が生存するのは地表から数十メートル以内ですので、大気と地表を分けます。これで2空間です。 すると、左の図に示した様な両相2空間モデルになります。

このモデルは、実際の気温の日内変動を見れば不自然では 無い事が判ります。この図は、気象庁のアメダスのデータを用いて、京都の8月16日の気温と日照の変動を示したグラフです。日中、陽の当たる間に温度が上昇し日が沈むと気温が下ります。

両相2空間モデルでの 熱の流れは図の様に表現されます。 この図で分るのは、大気中の温室効果ガスの作用としては、太陽からの熱が地表に直接屆か無い様にフィルターする効果と、夜間に地表から宇宙に逃げる熱の流れをフィルターする効果の、2方向に作用している事です。そして、太陽と地表の温度差と 地表と宇宙の温度差を考えると、太陽からの熱をフィルターする作用が地表の熱を貯留する作用より、地表の温度調節には重要そうって、感じです。 因みに、熱力学の法則の一つにニュートンの冷却法則が有り、この冷却法則が当て嵌まれば、地球の温度調節に於いて、太陽からの熱は、地球から宇宙へ逃げる熱より数十倍の影響力を持つ計算になります。


地表を出入りする熱量

ニュートンの冷却法則
対流熱伝達による熱流束 q W/m² は, 高温部の温度 (TH)と低温部の温度 (TL)の差に比例します。ここで,比例定数 h W/(m²・K) は 熱伝達率 (Convection heat transfer coefficient) で, この値が大きいほど熱エネルギーがよく伝わります。

$$
q = h(R_H - T_L)
$$

もし両相モデルがより現実に近ければ、大気中の温室効果ガスが減少すると地表の温度が上昇します。勿論、この仮説が科学者に受け入れられるには「科学的」に検証される必要が有ります。

では、減少している可能性の有る温室効果ガスはどれでしょうか?大気中の二酸化炭素の濃度は 約400 ppmですが、 水蒸気は 約4パーセントと 二酸化炭素の数十倍から数百倍存在し、気体でも二酸化炭素に匹敵する位大きな温室ガス作用を持ちます。更に、大気中で気体・液体(雨、雲)・固体(雪、雲)と状態を変化させ、相変化に伴い気化熱・凝固熱といった熱量を出入れします。ところで、 大気中の水蒸気の測定については、他の温室効果ガスに比べて公開されているデータの評価が難しいのですがアメリカ航空宇宙局の衛星データから此処20年位の間に大気中の水蒸気が減少している可能性が示唆されました (下記参照) 。何れにせよ、天気に関する話題、例えば、雲とか霧・雨や台風も大気中の水その物か水に関連した事象です。も少し、大気中の水/水蒸気とその動きに目を向けても良いのではないでしょうか?

扉絵は「グスコーブドリの伝記」宮沢賢治・原作 司修・文と絵 (ポプラ社の絵本) からです。

いいなと思ったら応援しよう!