病院長の御母様
昔、病院併設型の老健で働いていました。
そこの病院長の御母様が認知症となり、在宅での生活が困難となってしまったために施設に入所することになりました。
病院長の御母様の名前を忘れてしまったのでAさんとしておきます。
Aさんは80代後半。パーキンソン病と認知症の既往がありました。歩く事が困難なため車椅子での生活で、気に入らない事があると大声で『ああああああー』と叫んでいました。
不意に大声で叫ぶため、他の利用者さんはびっくりしてしまいます。
指示が入りにくいところもあり、職員は対応に困っていました。
私はどうだったと思いますか?
私はこのAさんの対応を楽しんでいました。
どのように楽しんでいたのかと言いますと、このAさんは指示が入りにくいところはありますが優しいおばあさんで、私が腰が痛いからマッサージしてほしいとお願いすると、ずっと腰を押してくれていました。
ものすごく弱い力のため、何の効果が得られるのかは疑問でしかないマッサージですが、押してくれている間は叫ぶ回数が激減しました。
マッサージをしてもらっていても、叫ぶのがおさまらない時は、あえて「もっと大きい声で」「もっと大きい声で」と更に大きな声を出させました
『ああああああーーーーー』
『ああああああああーーーーー』
ものすごく大きい声で叫んでくれましたが、大きい声で叫んだ後に「小さい声で」と言うと
『ぁぁぁぁ---』
と、すごく小さな声で『ぁぁぁぁ---』と言うのです。
これには笑ってしまい、何度も何度も大きい声で、小さい声でとお願いしてしまいました。
マッサージをしてもらい、声を出させて笑わせてもらい、楽しませてもらっていました。
もし、身近に叫んでしまうような利用者さんがいたら、ぜひ一度試してみて下さい。
楽しくなって対応が苦ではなくなるかも知れません。
病院長の御母様だからと一切忖度も贔屓もしない私でした。