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DCD『アイカツプラネット!』に心を持っていかれた日のお話(後編)

【前編のあらすじ】
 DCDはひっさびさな上に音ゲーはへったくそな筆者が、トップアイドルを目指してアイカツの世界へウィッシュ・イン……もとい、ミラーイン☆


「ミラーイン」のアクションを終えると、画面の向こうへ吸い込まれるようなムービーが始まった。それが終わると、少なくとも現実世界ではなさそうな空間が映し出され、そこに何やら派手な髪色の少女が現れた。〈ハナ〉と名乗るその少女は、「アイカツプラネット!」の世界を案内してくれるそうだ。貴方は……確か主人公の……?(この時点では筆者アニメ未履修)
 重力など全く感じさせない動作で宙を舞うハナと、それに追随する筆者。通り過ぎていく仮想世界のビジュアルは、『サマーウォーズ』のOZや『デジモンストーリー サイバースルゥース』のEDENを彷彿とさせる、淡い色を基調とした空間にカラフルな構造物やホログラムが浮遊する近未来的な光景である。ますます筆者好みの世界観ではないか。
 ハナの声に合わせてカメラが球状の構造体の内部へズームする。そこがアイカツプラネットの「バトルステージ」で、丁度2人のアイドルによるパフォーマンス勝負の決着がついたところだという。ここか……祭りの場所は……!
 
その後、プレイヤーの待機場所となる「プライベートルーム」の説明を受け、ハナから「案内はここまで」と早々に別れを告げられる。心細くはあるが、ライダーバトルに比べれば何倍も親切なイントロダクションであった。ありがとうございました、またどこかで!(この数日後にアニメを視聴し筆者はハナ推しになるのだが、それはまた別のお話)

 次いでプレイ方法(ソロモード/ユニットモード)を選択し、遊びたい曲とその難易度を選択。
 遷移した先の画面では収録楽曲のアートワークがずらりと並び、選択された曲のサビ部分が流れる。とりあえず筆者は最初の選択肢として表示された「HAPPY∞アイカツ!」を難易度【かんたん】でプレイすることにした。プレビューされたサビの曲調や、選択肢の最初に来るという点から、表題曲的なポジションなのだろうと漠然と思っていた(実際そんな感じで合ってた)。
 筆者が初見プレイヤーであることはシステム側にもお見通しなので、本番開始前にリズムゲームの簡単なチュートリアルが挟まれる。対象年齢が低めなこともあってかゲームの仕様は結構シンプルで、「短押しノーツ」と「長押しノーツ」、「同時短押しノーツ」と「同時長押しノーツ」の計4種類をリズムに合わせてタッチする――これだけ。複数のラインを蛇行する長押しノーツや矢印の方向にフリックするノーツ等は存在しないと知り安心する筆者。あれ地味に苦手なんだよね。
 筆者が選んだのは【ソロモード】かつ【オフラインであそぶ】だったため、曲を確定した後は対戦相手(実際のユーザーのデータを基にしたNPCらしい)を選ぶこととなった。左から順に【よわい】【ふつう】【つよい】【トップアイドル(アニメのキャラ)】とランク付けがなされた4人のアイドルが顔グラで表示されるので、【よわい】アイドルを選んで勝負を挑む。対よろです。

 そしてここからがDCDの本懐、「カードスキャン」のフェイズである。
 このゲームでは、プレイヤーは3体のドレスの妖精=「ドレシア」を使役し、そのドレシアの力を宿したドレスを身に纏う。ほぼ龍騎である。最初に払い出されたスイングを見ると、表にはドレシアの姿が、裏面にはドレスの着用例がそれぞれ描かれているのが分かる。
 リズムゲームの合間に発生する計3回の「ドレシアチャンス(オープニングバトル・メインバトル・クライマックスバトル)」で、ステージ上のアイドルが互いのドレシアを1体ずつ競わせる。ドレシアチャンスの勝敗はリズムゲームの正確さやドレシア固有の「レベル」、そして各ドレシアの特殊効果等々によって決まり、勝利したアイドルはその衣装を纏うことが可能となる。逆に言えば、ドレシアチャンスに勝てなければ着たいドレスを着られないのだ。思ったよりガチバトルだな。
 スキャン画面では相手がバトルに使用するドレシア3体の情報が表示されるので、プレイヤーはそれに対抗させるドレシアを選ぶ。といっても、この時の筆者はスイングを1枚しか持っていなかったので、とりあえずレベルが一番低い相手に「ティンクラメウィンク」をぶつけることにした。
 筐体に備え付けられた3つのスリット――それぞれオープニングバトル・メインバトル・クライマックスバトルに割り当てられている――、その左端(オープニングバトル)にスイングをベントイン! すると……スイングに描かれたティンクラメウィンクが3Dモデルで画面に登場。DCDのカードからバーコードが廃されて久しいが、これはどういう仕組みでスキャンしているのだろうか。光学的なアレかな。ともあれスキャン画面で筆者ができることは終わったので、「オンステージ」ボタンをタッチ。残り2枠にはレンタル的な形でドレシアが配置され、ステージの画面へと移った。

 大勢の観客に囲まれたステージ上に、2人のアバターがエントリー。それぞれ1体目のドレシアを傍らに伴い、プレイヤー名とランキングのテロップ付きで筆者→対戦相手の順にアップで映し出される。それぞれアップになる際に意気込み的な台詞を放つのだが、これはどうやらアバターの顔パーツごとにCVが設定されているらしい。
 両者向かい合ったのち、ポーズを決めて正面を向く。いよいよリズムゲーム本番の始まりである。ちなみにこの時、下画面にはライブの風景と音ゲーのライン&ノーツが、上画面にはライブの風景が左上に「LIVE」のテロップ入りで表示されている。

行こう ハート弾ませ まだ見ぬ世界へ
 ココロの羽広げ HAPPY∞アイカツ!
――

 Yeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeah!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 なんだろこれ。
 いきなり曲の“良さ”でぶん殴ってくるじゃん。
 小節頭に1回ぐらいのペースで「シャン♪」て鳴らしてるだけなのに結構楽しいぞ??????

 イントロが終わると、早速ドレシアチャンスに突入。2人のアバターが互いにスイングを取り出し投げ放つムービーが挟まる。投げ放たれたスイングはドレシアの姿になった――かと思いきや、1P側はピンク、2P側は青の光の塊となってぶつかり合い、上下2画面を貫いて上方へと昇って行く。そういう感じなんだ!?
 
程なくしてピンクの光(つまり筆者のドレシア)が青の光を押しのけ、一際強い輝きを放った。そして再びドレシア本来の姿に変わり、そこに筆者のアバターの姿が重なる。するとアバターの初期衣装(スタートドレス)が光に包まれ…………!

後から組み直したアバターなので初見時の画面とは異なりますが、大まかな雰囲気は同じです

 か~~わ~~い~~い~~~~~~~~~~!!!!!!!!
 筆者、リズムゲームやってカードバトルに勝った結果おしゃれワンピの美少女アイドルになりました。
 いや待って、めっちゃかわいいじゃん……(溺愛)

 ドレシアチャンスの結果に応じて、リズムゲームのスコアにボーナスが入る。チャンス終了後は元の音ゲー画面に戻るのだが、この時チャンス勝者の衣装は先程召喚したドレシアのそれに切り替わっており、以降のドレシアチャンスに勝利するまではその衣装でパフォーマンスを続行することになる。チェンジした衣装で踊るアバターをじっくり眺めたいところだったが、如何せん初見の音ゲーなのでよそ見をしている暇がない。つらい。
 その後2回のドレシアチャンスでも無事勝利し、筆者のアバターは計3回のドレスチェンジを通してその可愛らしさを遺憾なく発揮した。残念ながらその写真は撮っていない(というより、元々写真を撮る予定がなかった。まさかここまで盛り上がるゲームとは思っていなかったので……)。
 ちなみに、ドレシアチャンスに一度も勝利できなかったアイドルはどうなるのかというと、ライブの間ずっとスタートドレスで踊ることになる。スタートドレスのままフィナーレを迎えることは、対戦相手のアイドルに対する完全敗北を全身で証明することに他ならないのだ。過酷過ぎる!! 女児向けゲームなのに勝負の構図が死ぬほど過酷過ぎる!!

 曲が終わると、各バトルで両者が獲得したスコアと、そこに諸々のボーナスを加えた最終結果が発表される。今回の『HAPPY∞アイカツ!』【かんたん】初見プレイは……完全勝利! 対ありでした。
 結果発表の後、「プラネットポイント」なるポイントの獲得内訳が表示された。これはゲームの結果や挑戦した難度に応じてプレイヤーデータに加えられるポイントで、このポイントによって『アイカツプラネット!』内でのプレイヤーランキングが変動するらしい。
 このゲームの目的は、「リズムゲームとカードバトルで勝利を重ね、より多くのプラネットポイントを得てランキング上位を目指すこと」である――なるほど、理解できた。

 バトルステージ終了後はプライベートルームに戻され、獲得したプラネットポイントやドレシアタイプポイント(ドレシアの属性別経験値的なパラメータ)等、今回の報酬とこれまでの累計記録が表示された。
 最後に画面下部の「おわる」ボタンを押すと、アバターが「またね!」と満面の笑顔で両手を振った。この瞬間をもって、筆者の意識はようやく現実に引き戻されたのだった。現実の自分にミラーアウト(仮)、龍騎でいうところのミラーワールド離脱&変身解除である。

 ……楽しかったァ~~~~……!!

 正直、音ゲーでここまでEXCITE♪EXCITE♪できるとは思っていなかった。
 何がそこまで楽しかったのか、と問われれば、「世界観にこだわった演出の充実」「リズムゲームの報酬として、自分の作ったアバターが踊ってバトルしてドレスチェンジする可愛くも格好いい姿を見ることができる」辺りが主な理由として挙げられるだろう。
 無論雰囲気重視のユーザー体験に特化したゲームは他にいくらでもあるだろうし、アイドルが歌って踊る映像をバックにリズムゲームを楽しめるタイトルも数多リリースされている。そんな中で『アイカツプラネット!』が他のタイトルと一線を画しているのは、「アバターはプレイヤーの写し身である」と認識させた上で「身体的努力(リズムゲーム)と頭脳的努力(スイング選択)の結実としてアバター=『自分自身』がさらなる変身を遂げる」演出を発生させる、ゲームとしての成功体験の作り込みの深さだと筆者は強く主張したい。


 ちなみに、前編で「デモプレイ」について言及したが、ゲーム開始前の画面に映る映像には「その日実際に行われたプレイの一部」が含まれているらしい。ゲーム終了後に自分の拙いノーツ捌きがリプレイされた時、「自分のアバターはこんなダンスをしていたのか」という感慨と「こんなトーシロのプレイを大衆に晒さんといて……!」という気恥ずかしさが生じた。


 ……とまあ堅苦しい話はさておき、この初見プレイを通して筆者は完全に『アイカツプラネット!』に心を持っていかれてしまった(その割には直後に観賞した『シン・ウルトラマン』のクライマックスにすすり泣いたし、続けて観た『鋼の錬金術師 完結編 復讐者スカー』では前作からのクオリティの上がり様に感嘆したりもしたが)。映画を観終わった後も結局日没ギリギリまで連コし、帰路につく頃には「稼働終了まで貢ごう……」と思うまでに至っていた。重症じゃねーか。


(おわり)

 
 
 
 
 
 
 ……思ったより字数が少なめだったので、2回目以降のプレイで引き当てたスイングでドレスデザインが好みだったものをいくつか紹介して情報量を無駄に増やしておこう。


・ミッドデイドルフィン

スイング表面
着用例

 一番最初に手に入れたRスイングで、今のところ筆者の一番好きなスイング。メイン契約モンスター。アバターのヘアカラーがいわゆるコーラルピンクに近いこともあり、何の気なしに着せてみたら思いの外トロピカルなコーディネートになったのが個人的ウケのポイント。
 アクアリウム(貝殻マーク)のドレシアタイプレベルが3より大きい場合、自身のレベルを+2する効果を持つため、使い方によってはPRドレシアと互角に戦えるところも優秀。


・スチールスコーピオン

スイング表面
着用例

 高レアリティのきらびやかなドレスにも憧れるが、こういったシンプルなドレスも時に着る者の魅力を最大限に引き出すことがあるように思われる。学生服を思わせる配色や装飾がおっとりフェイスのあどけなさと相性抜群。
 ドレシアチャンスで勝った場合、プラネットポイントにボーナスを発生させる効果を持つ。逆転ボーナス(自分よりレアリティが上のドレシアに勝利)と組み合わせて効率よくポイントを稼げそう。


・ピースカーバンクル

スイング表面
着用例

 ガーリー……というかギリギリ「子供っぽい」の部類に入りそうな衣装。だがそれがいい。可愛ければそれでいいのだ。この衣装でひとたびステージに立ったなら、観客は愛娘の微笑ましいピクニックを見守る保護者の気持ちになること請け合いだろう。
 相手のドレシアにPRが含まれる場合、仲間のレベルを+1してくれる頼もしい幻獣さん。但しピースカーバンクル自身のレベルを上げる効果は持たないため、使い方には少々工夫が必要か。


 ここで紹介したスイングは、2022年6月現在のカードリスト全体から見ればほんの一部に過ぎない。また、スイングのドレスは自分のアバターだけでなくアニメキャラのアバターにも着せることができる。組み合わせは無限大! 君だけの最強コーディネートでライバルに挑め!! ……と書くと、途端に男児向けバトルゲームみたいになっちゃうんだよな……。
 こんな具合に、筆者も今後自分だけの最強コーディネートと最強デッキを求めてアイカツ!に臨むものと思われる。初めてミラーインしたあの瞬間から、筆者の小学生みたいな闘争心は今も疼きっぱなしである。

(今度こそおわり)

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