記録 一月二十七日/父、母、憐れみ

 仕事帰り、父と2人で食事をした。顔を合わせるのは実家にいた頃以来だから、1年半ぶりか。実家にいた頃もああ、とか、うんとか言うくらいしか言葉を交わしてなかったから、あんなにまともに会話をしたのはもはやいつぶりか思い出せない。職場の最寄駅で待ち合わせて、合流してすぐは「ああ、ちょっときついかも」と思ってもう帰りたくなっていたけど、時間が経つとその感覚も薄れた。
 仕事の話、田舎暮らしに憧れているという話、弟がバイトを始めた話、私が小学生の頃書いた作文の話、徒競走の話。私は覚えてすらない過去のことから今のこと、将来のことをざっと話した。あー、この人私の父親なんだな。と思った。
 どれだけ蔑んで憎んで恨んでも、父は父で、母は母で。定年したというのに再雇用先とバイトで週7日働いてる父のこと、やつれた顔でテレビを見ながらカップ麺をすする母の背中。それらはどうしようもなく心臓に重くのしかかる。自分の両親を憐んでしまうこと、憐んでも何もできる力がないことのかなしさ、虚しさよ。

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