アイデアをShoot downする人
英語の表現で好きなものの一つにshoot downという言葉がある。
これは例えば、He always shoots down the new ideas I come up with.のように使われて、「彼はいつも私が思いつく新しいアイデアを否定する」というような意味である。
shoot downという表現は言い得て妙だと思う。この表現がなぜ好きかというと、「撃ち落とす」という文字通りの意味とイメージがしっくりくるからだ。
浮かんだアイデアを撃ち落とす、つまり否定する、論破するという意味の、日本語でぴったりと当てはまる表現をまだ見つけられていない。
さて、英語の表現の話が長くなったが、冒頭の「He」のような人にはなりたくないし、周りにいたら逃げたほうがいい。
アイデアや提案を頭ごなしに「撃ち落とす」人にだいたい良い人はいない。もちろんその人なりには信念や論理的な説明があるのだろうけど、詳しく知らないくせに、または詳細を聞く前にやめたほうがいいよとか無理だと思うよと頻繁に言ってくる人は親身なアドバイスをしてるつもりでできていない。
ある人に昔shoot downするの上手いよねと皮肉で言われたことがある。
はっとした。私自身は親身に相手を思ってアドバイスしたつもりになっていたが、相手にとってはただの否定に聞こえたのだろう。
申し訳ない気分だった。私自身、繊細な性格だから、提案やアイデアを否定されたら結構傷つく。なのに他人に同じことをしてしまったのかと反省した。
これがいいと思うんだよね、とアイデアを話してもらえたということは、ある程度信頼されているということの証だろう。だったら、いくら自分の否定する根拠に理論が通っているように見えたとしても、否定するよりは、いい考えだね、おもしろそうだねと後押しできるような人になりたい。
もちろん理由もなく、ただただ賛成する人になるのはやっぱり違う。
本当に親身になるということは、ここをこう直したらもっと良くなると思うよ、と建設的なアドバイスをできるような人ではないだろうか。それは現実的じゃないと思うよと言う代わりに、ここを変えたほうが実現しそうじゃないかなとか、時間の無駄だと思うよと言う代わりに、面白そうだから一度やってみてうまくいくか試してみるのもありじゃないと言えるようになりたい。
そうすると自分も周りもよりポジティブなエネルギーで溢れると思うから。
そして今周りにアイデアをshoot downしてくる人がいるなら、相談するのをやめるのもひとつの手かもしれない。せっかくのアイデアをひとつ潰されて、この先クリエイティブになったり新しいことを始めたりするのを恐れるくらいなら、思いきって距離を置いてしまってもいいと思う。
もし本当に親身になってくれる人なら、またきっと自分の周りに戻ってきてくれるはずだから。