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ラストマイルを観てからがらくたのことばかり考える

映画ラストマイル見てきました!
公開してからずっと観に行きたいと思ってはいたのですが、子育てと映画の相性はどうも悪くて、やっと時間が取れたのが先日でした。行けて良かった〜。

どうしても気持ちが溢れてしまったので、少しだけ米津玄師さんの「がらくた」のことばかり考えてしまうこの気持ちを吐き出させてください。

以下、私個人の歌詞の解釈であり、映画のネタバレにもなりますので、これから観る人などは注意してください!

がらくたを初めて聴いた時

米津玄師さんのアルバム「LOST CORNER」を買って、この曲は映画よりも先に聴いていたのですが、映画のイメージとちょっと違うなぁと思っていました。

ただ、「壊れていてもいいよ」と優しく歌うメロディに、病気や障害や何らかの理由があるマイノリティの人と、それを支える人たちを、優しく包む歌なのかな?という印象で聞いていました。
実際にそういったテーマも含まれている歌だと思います。

ラストマイルの主題歌としてがらくたを聴いた時

映画を見てからこの歌が最後に流れて「壊れている人」で一番初めに浮かぶ人物は、ロッカーをひたすら開け閉めした後、何だか嬉しそうにも見えるようにレールに飛び降りていった、植物状態の「あの人」でした。

中村倫也さん、あの数分なのに中々強いキャスティングだなと思っていたのですが、とても印象に残る名演技でしたね。

そこからああ、と腑に落ちました。この歌は犯人の「筧まりか」の、葛藤と嘆きの歌なのだと。

映画の中では、二人の心情は語られることはほぼありません。ただ行動だけが淡々と伝えられるだけ。

実は、映画の冒頭の時点ですでに二人はほぼ故人になっているので、わたしたち残された側は想像することしかできないというのがリアルです。

そこを最後に歌にして聴かせてしまうのが米津玄師さんなのかと・・・。

歌詞に沿って想いを馳せる

例えばあなたがずっと壊れていても 二度と戻りはしなくても
構わないから 僕のそばで生きていてよ
どこかで失くしたものを探しにいこう どこにもなくっても
どこにもなかったねと 笑う二人はがらくた

1番のこの優しいサビの歌詞は、筧まりかが、自殺行為をした彼に、病んだままでもいいから、となりで生きてくれてさえくればよかったのに。

もうそんな二人はいない。幸せな二人はもう壊されたから。と嘆くように聞こえます。

もういいかい もういいよ だけどもう少し
長い夜を歩いていきましょう
痛いの痛いの飛んでいけ飛んでいけ飛んでいけ
明かりを消して

1番はわりと広い解釈ができるような歌詞ですが、2番ははっきりと筧まりかのさらに心情が深掘りされているようで、彼女が植物状態の彼が目覚めないか、病院で回復を祈っている様子が目に浮かびます。

許せなかった何もかも全てを
ずっとあなたを否定してきた
その全てを

唇を噛んで滲んだ血が流れていく
嫌いだ全部嫌いだ

もうこのあたりは、確実に絶望としているとしか思えない歌詞で・・・。
彼を追い詰めてしまったかもしれない自分と、デイリーファストという会社と、そして欲望のままにネットショッピングを利用し人を酷使し続ける社会を恨み、自爆という行為を選んだ彼女の嘆きがそのまま歌われているかのような、米津玄師さんの叫ぶような悲しい歌声に心を掴まれます。

自分を忘れてしまってしまっていても構わない、起きて欲しい。生きてさえいてくれるならそれでいい。

時間が経って植物状態から目覚める可能性がどんどん下がると共に、膨らんでいく「何故飛び降りたのか」という疑問と「ブラックフライデーが怖い」と言っていた彼の記憶から膨らんでいく憎しみ。

結婚費用にも貯めていた共通口座で爆弾を買い、見たくもないであろう会社に派遣社員として何度も何度も通い計画を練る、彼女の決意と覚悟の5年間。

結局は、テロ行為をしているので決して許すことなどはできないのですが、悲しくて悲しくてたまらなくなるのです。

すごい映画でした

アンナチュラルもMIUととても好きでしたので、絶対に面白い映画だとは思っていたのですが、ここまで爪痕を残してくれるようなものだとは思いませんでした。

脚本家の野木さんに、主題歌を作った米津玄師さんに、そして俳優や監督映画に関わる全ての人に感謝と拍手を・・・。

私はおかげさまで、映画を見てから何日も何日も経つのに、いつまでも毎日、がらくたを聴きながら、映画のスクリーンでは一度も見ることが叶わなかった二人の幸せな姿を見る方法を、探さずにはいられないのです。

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