【マイソングス】ビター・ハート "Bitter Heart"(2009)
昨日はぽかぽか暑いぐらい。でも今日はまた湿って雲り。
嬉しいのか、悲しいのかハッキリしない。
そんな気分を歌ってくれるのは、マレーシア、サラワク出身のZee Avi(ゼー・アヴィ)ちゃん。
首都のクアラルンプールは、本土になるけれど、サラワク地方は、東側に分かれているボルネオ島。オランウータンの故郷。マレーシアは意外と広い。
ちょっとウキウキ気分のリズムに乗せて歌うのは、それとは裏腹な少し寂しい恋物語。
♪いつも遅くなるの、待ちぼうけ。
ねぇ、それって、誰のせい?
私は以前シンガポールに3年程住んでいた。旦那の駐在にくっついてフランスから家族4人で引っ越した。
実は初めてではなくて、私の叔父もかつて駐在で居たシンガポール。私の人生初の海外旅行はそこへ祖母の付添いという名目。まだ中学生だったので、ちゃんと英語を勉強するのももう一つの名目。
その頃の面影もほどんどなく、やけに大人びたように飛躍した街。
朝娘ちゃんたちをスクールバスで見送って、お日様が高くなる前に買い出しを済まし、半分以上フランスに置いてきた大した家具もない部屋の掃除をすると、汗がダラダラ。そのまま下のプールへジャッバーン。こんな時間に他に泳ぐ人もなし。大きなプールは私専用。
水着のまま音楽を聴きながら、見たことのない植物をスケッチ。バナナの花なんて初めて。
果ては地元の美術学校で始めた中国画。フランスじゃ絶対できない。
南洋(ナンヤン)スタイルと言って、かつての中国亡命組の伝統的な技術と、南のゆるゆる気質を融合。きっちり型にハメられるのが苦手な私にピッタリ。
元々のめり込みやすい私は、画家か、と言われる程、大きな紙と墨で格闘する毎日。ボカシの技が難しい。早く乾くのがイヤでクーラーも点けずに描きまくる。幸い部屋は27階で、インドネシアからの良い風が入る。暑くなったら気晴らしに下へ降りて夕焼けを見ながらまたひと泳ぎ。そしたらスクールバスが戻る時間。ついでに娘ちゃんたちピックアップ。
夕飯はいつものように鶏を丸ごとオーブンへ突っ込んで、その間に娘ちゃんたちシャワーに入れる。またはそこら中にあるホーカーで安くて美味しいチキンライスでも食べればいい。
そんな楽園に居た頃の私がラジオで小耳に挟んだのが、このZee Aviちゃんの歌声とウクレレの音色。
たまに歌ってくれるマレー語の歌も懐かしい響き。
まさにビター・スイートな南国の贈り物。
ん〜、今日はシンガポール・スリング欲しい。
マイソングスを聴きながら。