【控訴審編】頂き女子りりちゃんの裁判を傍聴してきた
書いた人
そのへんの会社員。法学部ではない文系学部卒。
りりちゃんと文通している。
傍聴した裁判
2024年8月7日(水)10時半~
名古屋地方裁判所一号法廷にて
※控訴審だが、高裁ではなく地方裁で行われた。傍聴席が地裁の方が多いからだろうか?
控訴の経緯
「被害弁済のために控訴する」としている。
りりちゃんは逮捕時、「おぢ」(詐欺のターゲットのこと)から頂いたお金を全額ホストに使ってしまったため、手持ちのお金がほぼない状態であった。
そこから被害弁済を行うために手記を書いて販売してその売り上げを被害者への弁済に充てるとし、一審の判決を不服として控訴した。
この被害弁済プロジェクトを開始するにあたり、草下さんに「被害弁済を行おうとすると、今まで泣き寝入りしていた被害者がお金が返って来るなら、と思い刑事・民事で訴えてくる可能性がある。そうなったらその分余計にこちら側が不利になる可能性があるが、それでも良いか」と問われてりりちゃんは「構わない」と答えているとのことであった。
↑被害弁済について説明する草下シンヤさん
登場人物
りりちゃん
本名は渡邊真衣(わたなべまい)さん。
「渡辺真衣」としているメディアもあるが、私が受け取った手紙には「渡邊真衣」と書かれていたため、恐らく「渡邊真衣」が本名だと思われる。
平成10年5月11日生まれ。
本籍は神奈川県(裁判では番地まで言っていたが、個人情報のため省略)。
自らを「頂き女子」と名乗り、男性3人から合わせて1億5千万円をだまし取った。
立花奈央子さん
職業はフォトグラファー。
草下シンヤさんと共にりりちゃんの被害弁済に協力している。
「りりちゃんはごくちゅうです」のアカウントを管理している方。
IQが137あり、新宿でギフテッドのためのバー「Salon-de-GIFTED」を開催されている。
田中裕志(たなかひろし)
りりちゃんの担当ホスト。
源氏名は「狼谷歩」(かみやあゆむ)。
青山学院大学出身。
clubLATTEという名前のホストクラブで働いていた(現在は廃業)。
将棋が得意で、「藤井聡太と対局したことがある」と客に対して語っていたことがあるが、真偽は不明。
自分はMENSAの会員だと語っていたこともあるが、こちらも真偽は不明。
りりちゃんから犯罪収益と知りながらお金を受け取っており、組織犯罪処罰法の罪で逮捕・起訴された。
裁判の様子
抽選待機列
とにかく暑かった。
前回の抽選待機列に並んだ時は2月だったので寒すぎて友達と2人で震えながら並んでいたが、今日は8月のためものすごく暑かった。
時期的に暑いのに加え、名古屋の夏は湿度が高くかなりしんどい。
この時期の裁判の傍聴抽選待機列に並ぶ際は必ず飲み物を持参すべきである。
このクソ暑い中水分を摂らずに突っ立っていたら多分倒れる。
前回、2月に同じところで並んでいた時はデカい木が目に入り、「何でこんなところにこんなデカい木があるんだ。邪魔すぎんか?」と思っていたのだが、このデカい木は抽選待機列の人々に日陰を提供する目的で植えられているものだと分かった。
80人の定員だったが75人程度しか並ばなかったので抽選は行われず、並んだ人全員が傍聴することができた。
裁判の1週間前から毎日寝る前に手を合わせて「抽選に当ててください。お願いします」と祈っていたのだが(※本当です)、まさか抽選自体が行われないとは全く予想外であった。
並んでいると抽選券が配られたが結局抽選は行われなかったため、その抽選券をそのまま傍聴券として利用した。
断言はできないが、猛暑の日は必然的に抽選に並ぶ人は少なくなるのではないかと思った。
恐らくだが、雨の日も同じ傾向にあるような気がする。
法廷内
少しだけ傍聴席に空きがあった。
地雷系ファッションの人はおらず、相変わらずシニア男性が多かった。
時期的に学生の夏休みと被るからか、中学生くらいの子が傍聴席に何人か座っていた。
20代~30代くらいの女性もそれなりにいた。
「りりちゃんはごくちゅうです」のTwitterアカウントを更新している立花奈央子さんも傍聴席にいらっしゃった。
「頂き女子りりちゃんについて話す会」の配信で映像を通してしかお顔を拝見したことがなかったのだが、実際にご本人にお会いするとかなり細身で、とても美人だと感じた。
開廷後
りりちゃんの入場
刑務官2人(男性と女性1人ずつ)に付き添われ、手錠と腰縄を着けた状態で入場した。
今回はりりちゃんはマスクはしておらず、白いTシャツ(犬が描かれている)にショートパンツで、脚を出していた。
ネット記事によると、犬のTシャツはファンの女の子に差し入れしてもらったものらしい。
髪の毛は毛先がほんの少し茶色だがそれ以外は黒色で、自身のYouTubeに映っていた時のような金髪ではなかった。
また、前回同様、声が物凄く可愛いと感じた。
YouTubeで喋っているあの可愛らしい声がそのまま法廷内に響いていた。
被告人の主張
裁判長に「被告人前へ」と言われると刑務官2人と共に前へ出た。
裁判長は女性で、眼鏡をかけて髪の毛を全て後ろで結んでいた。厳しそうな雰囲気がにじみ出ている方だと感じた。
りりちゃんは、今回は椅子に座って供述を開始した。
(これは恐らく判決の言い渡しの際に過呼吸をおこして倒れそうになったためだと思われる)
まず、弁護士からりりちゃんに対して質問が始まった。
りりちゃんは猫背で椅子に浅く腰かけて、軽く前後に揺れながら終始蚊の鳴くような小さな声で話していた。
被害者についてどう思うか?
自身もソープランドで働いていてお金を稼ぐ大変さはよく理解しており、嘘をついてお金をだまし取って申し訳なかった。
こんな詐欺なんてしなければ良かったと思っている。
お金はすごく大切なもので、稼ぐのは大変だと思う。
私は相手の恋心を利用し、善意を踏みにじってしまった。
所得税法違反(脱税)についてどう思うか?
拘置所という施設は皆が払った税金で作られたものなんだと知った。
私は今まで一度も税金を納めたことがないが、それはおかしいと思った。
判決を受けてから、その思いがより強くなった。
今、拘置所にいてかなり助けられている。
職員の方に見守られ、今の方が精神が安定している(※ここで声が震える。恐らく泣いている)
拘置所には安定した状態でいられていて、外にいた時は何もわかっていなかった。
色んな本を読んで、前よりも未来が明るくなった。
今後の心持ちとして、どういう生活をすれば同じようなことにならないか?
今後ホストクラブに行くことはないので、詐欺、詐欺ほう助、脱税を行う理由はもう無い。
今まで私には居場所がなかった。何もかもが上手くいかなかった。
私の居場所はホストクラブだけで、担当のホストにお金をたくさん持って行くことが大切だと考えていた。
その手段のために結果として詐欺行為を行ってしまった。
また、自身の詐欺行為を「頂き女子」と名付けてTwitterで発信していたところ、「頂き女子のやり方を教えて」という女の子が増えた。
その結果、ホストにマニュアルを売れと助言され、結果として詐欺ほう助をしてしまった。
ホストクラブに行かなくなればもう罪は犯さなくなる。
そして、自分と損得勘定なしで接してくれる人がいることを知れば、もうホストクラブには行かなくなると思う。
現在はTwitterを見てくれた女の子から本や切手、眼鏡、コンタクトなどの差し入れが届く。
私の居場所はあるんだって思った。
以上より、弁護士は「量刑不当」を訴えた。
検察の主張
次に、検察から被告人への質問が始まった。
3人の被害者に対し、弁償はしたのか?
していない。
納税はきちんとしたのか?
していない。
田中裕志(たなかひろし)から被告人(りりちゃん)へお金は返されたのか?
返されていない。
被害者の方に、自分の気持ちは伝えたのか?
伝えていない。
被害者から手紙が届いたと思うが、返事はしたのか?
していない。
拘置所から支援者に対し手紙を発信し、それがTwitter上で公開されているが、そこには被害者への気持ちは書いたのか?
書いていない。
被害者へ謝罪の意を示さないことに理由はあるか?
謝罪の文を書いただけでは、何の意味もないと考えている。
被害者が求めているのは「私が取ってしまったお金を返すこと」だと思っており、お金を返すことしか意味がないと思っている。
「ごめんなさい」というのは簡単だが、それは行動が伴っていないため意味がない。
私に被害者から手紙が送られてきたのは怒りの感情をぶつけたいからだと思っている。
謝罪よりもお金を返すことが一番だと考えている。
被害者からの手紙
最後に、検察は被害者の1人であるN氏からの手紙を読み上げた。
被告人(りりちゃん)には、様々な嘘を吐かれて大金を騙し取られた。
被告人が逮捕されてからも気持ちは落ち着くことはなく、PTSDと睡眠障害を発症した。
被告人にお金を渡すため、生命保険を解約してしまった。
そのため、自身に何かあった際は自殺するしかなく、遺書も既に用意してある。
被告人は拘置所内で女性に対し熱心に手紙の返事を書いているようだが、被害者には一切の手紙を返さないし、謝罪の言葉も何もない。
支援者(立花奈央子さん)に対しDMをしたところ、逆に説教のようなことをされて自分側が炎上した(※リンク先参照)。
現在、被告人は支援者を通じてTwitterで発信を行っているが、そこではさもアイドルになったかのような態度や発言を繰り返している。
とても反省しているとは思えない。
減刑を望むのであれば、被害額を全額返してほしい。
※注:PTSD…Post Traumatic Stress Disorder / 心的外傷後ストレス障害の略。
上記を鑑み、検察側は「控訴は棄却されるべきだ」と訴えた。
※記事内のりりちゃんの発言ですが、実際にりりちゃんが喋っていた内容はかなり長く、内容も弁護士/検察官から問われている内容と噛み合わない箇所も多々ありましたので、適宜要約しています。
所感
被告人(りりちゃん)は自身の罪と向き合い、反省していると強く感じた。
ただし、被害者に対してはあまり罪の意識を持っていないのかなと感じる場面が多かった。
前回から共通して強く感じるのは他人からお礼を言われたり感謝されたりすることに対する喜びの感じ方が人一倍強いということである。
このようなタイプは吹奏楽強豪校に入ると伸びるタイプだと思っている。
本当に教育は人間の要。
被害弁済プロジェクトについて
草下シンヤさんのTwitterにて「被害弁済のために控訴する」と発言されているが、裁判では被害弁済プロジェクトについて一切触れられることはなかった。
私はてっきり今回の裁判は被害弁済プロジェクトについて説明し、被害者に弁済を行うことを主張して減刑を要求するものだと思っていた。
しかし実際には今回の裁判は「被害者の手紙に返事はしていない」「被害者に謝罪はしていない」「SNSを通じて被害者宛に発信もしていない」という明らかに被告人が有利にならないような発言が散見された。
被害弁済プロジェクトについては、何か触れられないような事情があるのだろうか?
正直、これでは控訴は棄却されても仕方ないのでは、と傍聴して感じてしまった。
次回の裁判(判決)
2024年9月30日(月)11時~
(※今回の裁判は即日結審となった)
※傍聴は抽選になる可能性が非常に高いため、必ず傍聴できるわけではないことに注意