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ラブホでプロポーズ大作戦!


愛の誓いか、それともネタ提供か

プロポーズといえば、ロマンチックなシチュエーションを想像するもの。夜景の見えるレストラン、海辺のサンセット、思い出の場所……。


でも、私の場合は違った。

まさかのラブホテルでのプロポーズ。

「え?ここで…プロポーズ?」

思わず口に出してしまった。

目の前には、ネオンがギラつく THE・ラブホ。

彼は至って真剣な表情。むしろ、ちょっと自信ありげな顔をしている。

「うん、個室だし静かだし、二人きりでゆっくり話せるし…って思って」

いやいやいや、どんなプロポーズの仕方やねん!ラブホって、そっちの契約じゃなくて、人生の契約を結ぶ場所やろ!?

まさか「誓いのキス」がそのまま行為に直結するプランなのか?

せっかく婚姻届まで準備してきたのに、なんだこの雰囲気は。

まさかの場所でも、とりあえず書いてみた

大事なことはもう一度言う。

それでも私は、せっかくなので書いた。

ラブホのテーブルで婚姻届を記入。

名前を書き、ついに正式な書類となった。

彼は満足げに「よし、完成!」と言ったが、私はじっと婚姻届を見つめる。

…… でも、やっぱり。

「悪いけど…これは差し戻します。」

私は書き終えた婚姻届を、彼にそっと押し戻した。

「えっ、ダメ?」

「いや、ダメじゃないけど…」

プロポーズはやり直し!

二度目の結婚とはいえ、それなりに憧れってものがある。

普通にロマンチックなシチュエーションで「結婚してください」と言われるのは、やっぱり嬉しい。

だから私は言った。

「もう一回、ちゃんとプロポーズして。今度はBGMにバラードでも流しながらね!」

「……やり直し?」

「そう。ラブホじゃなくて、もうちょっと普通の場所でお願い(笑)」

彼は少し肩をすくめて苦笑いした。

「わかった。じゃあ、次はちゃんとした場所で。」

こういうのは、準備に越したことはないのだ。

婚姻届は記入済み。次こそ、心から「OK」と言えるプロポーズを待つことにしよう。




そして私は、心に決めた。

この話、絶対に墓場には持っていかない。

むしろ、みんなに語り継いでやろう。

孫ができたら、こう言ってやるのだ。

「おばあちゃんね、昔おじいちゃんにラブホでプロポーズされたのよ。あの時のネオン、今でも目に焼き付いてるわ」

きっと孫たちは 「えっ!?マジ!?」 と驚愕し、

子どもたちは 「親の話を聞くのがこんなに恥ずかしいことある!?」と困惑するだろう。

でも私は満足げに天を仰ぎ、こう叫ぶ。

「我が人生、一片の悔いなし!!」

その瞬間、全員が 「ラブホかい!!」 と全力でツッコむ。
そして彼も
「俺は無想転生を会得した…もう二度とラブホでプロポーズはしない…」と
言えるように育てるつもりでいる。

こうして私は、最後の最後まで笑いに包まれて生きるのだ。
そして、これがもし離婚になったら、次こそはラブホではなく、テーマパークで「お前とは絶叫マシンのような結婚生活だった」と言いながら書類を提出しようと心に誓った。



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