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祖母97歳 前編

幼少期、親は共働きで俺の面倒は同居している祖母(通称おばあ)が見てくれていた。
俺は典型的なおばあちゃん子だ。


頑固な一面もあるらしいが俺にはその素振りはいっさい見せず、特徴を一言で表すのなら【優しい】に尽きるそんな人だ。

今になって思い返してみると子供特有の戯言にもしっかりと面倒くさがらず付き合ってくれていたので、幼少期からおばあが大好きなまま39歳まで生きてきた。


俺が実家を離れてからは月に数回の頻度でしか会えなくなってしまったが、会う度に喜んでくれてその笑顔にいつもこちらまで幸せな気分になっている。


そんなおばあも今年で97歳になる。

その歳に至るまで大病も患った事はないし、もちろん入院すら皆無だ。
薬は飲んでいるのだがどれも治療の為の薬ではなく、予防の為の薬のようだ。まさに健康そのもの。


好物は肉と寿司、水分が苦手で水はほとんど口にしない、運動もしないし、野菜もあんまり食べない。現代で言われている健康法とは見事に逆行している。

おばあを見ていると、健康とは結局生まれ持った体質なのかなぁなんて思ってしまう。
願わくばその体質が遺伝子レベルで俺にも組み込まれてないか淡い期待はしている。


しかしながらここ最近は軽い痴呆症が始まったらしくホワワァ~っとしてきているが、まだまだ変わらず元気さは保ったままだ。

その症状のせいかやたらと涙脆くなっているようで、実家へ遊びに行った帰り際に涙されると嬉しいやら寂しいやらで複雑な気分になる。


今ではデイサービスへ行くことが生き甲斐になっているようで、そこで配布される職員さんの手作り新聞を嬉しそうに見せてくれる。

側から見ればなんとも子供騙しのように見えるかもしれないが、やっぱり家族にとっては日々のデイサービスでの生活が垣間見れて嬉しくなるものだ。

そんな穏やかな日々を送っていたおばあだが、つい先日一大事が起きた。

と、このまま書き続けていくとこんな猛暑日には重過ぎるボリュームになりそうなので、また来週この続きは書こうかと思いますです。
皆様も熱中症にはご注意を。

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