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the band apart / higher について語りたい
先日、Spoonにてピルピン小野さんの枠で配信されていた、聖糞飛来配信にひょんな事から自分も参加させて頂いていた。
夜も更け、配信も終わりに近づいた頃、その場にいたメンバーでthe band apart(以下バンアパ)で思い入れのある楽曲トークになった。順番に各々が楽曲に対する思いを語る中、俺は一人震えていた。
武者震い?いや、そんなカッコイイものではない。
皆さんの熱量、それに対する共感や感動、様々な気持ちが入り交じった結果、頭が真っ白になっていた。
俺も語りたい…。でも見事に真っ白…。そんな葛藤の中、俺の番が回ってきた。
一応はその時に思いの丈をお話しする事が出来たが、本当はもう一つ伝えたい事があったのだ。しかしそんなホワイトヘッドな自分の状況ではとても話せる自信が無く、そっと心にしまい込んだ。
しかしこの数日間、
「やっぱりあの時言えば良かった!」
と悩み、悔やんだ挙句こうしてnoteに書き込む事にした。
前置きが長くなり狂ったが、【higherの素晴らしさはドラムにあり】と題して自分なりに語らせて頂こう。
higherが収録されたRECOGNIZE epが発売された2004年、その頃自分はメタルばかり聴いていたメタル脳の人間だった。
学生時代から自己流ではあるがドラムをかじっていて、『手数こそ美徳!スピードこ至高!バスドラは連打!』と偏りすぎた感覚で生きていた。
そんな中で友人に勧められたのがバンアパのhigherだった。
初めて聴いた時に、
「ドラムがシンプルなのに、なぜこんなにも心を揺さぶられるんだ!!」
と衝撃を受けた記憶がある。
ドラムの視点から、RECOGNIZE ep版higherを俺なりに解説してみたいと思う。
1.イントロ
ドラムから始まるこのワクワク感。
【4つ打ち】と言われる、バスドラをドッ.ドッ.ドッ.ドッ.と均等に踏むリズムで、higherはこれを基本として曲が進行していく。シンプルかつ心臓の鼓動のような心地良さを感じられる。
それにロックドラムの【基本のき】でもある8ビートにハイハット・スネアのリズムが乗るのだが、このイントロではさらにハイハットの音数を減らした、チ.ド.チッ.チ.ド.チッ.のリズムになっている。
これがこの上なくシンプルで、そうすることによって他のパートやこの後の展開を際立たせていると思う。
イントロの最後にはベースも入ってくるが、その時にドラムのハイハットが16ビートに変わる。チキ.チキ.チキ.チキ.と細かい刻みに変わる事で存在感が出るが、とても短いフレーズなので、木暮さんの粋を感じる。
2.Aメロ
ここも先ほどのイントロ同様4つ打ちのまま音数を減らした8ビートが続く。
Aメロ後半になると歌メロディーの変化に合わせてドラムのハイハットも16ビートに変わる。しっかりと歌に寄り添うようにビートが変わるのが気持ち良い。
3.Bメロ
4つ打ちのまま、ギターのカッティングに合わせた16ビートのパターン。
ここでは全ての楽器パートが絶妙に絡み合う。
ここがhigherの中でもお洒落さ、グルーヴ感がマックスになり狂いそうになる程に心が躍る。個人的には一番好きなバースだ。
ベースのフレーズが最高にカッコよくて、気が付くとベース音を耳で追いかけている自分がいる。
4.2番Aメロ
1番のAメロ同様、曲がスタートしてここが終わるまでバスドラは徹底した4つ打ち。木暮さんのこだわりをドスドスと感じる。
5.2番Bメロ
ここはドラムだけが裏のリズム、ダッ.チ.ダッ.チ.ダッ.チ.ダッ.チ.に変わる。そして初めてバスドラが4つ打ちではなくなる!
いままで一定だったバスドラのリズムが変わる事によって、横に揺らしていた体が、『おっ!変わった!』と縦に揺らす感じになるはずだ。この感覚こそがこの後に続くサビへの助走となっていると思っている。
6.サビ
ドラムはお手本のような8ビート。ハイハットをがっつりオープンして、歌メロや他の楽器の浮遊感とは裏腹な力強いドラミング。その関係性こそがサビの気持ち良さを作り上げている。
この楽器隊の浮遊感と力強さが、歌詞と相まって、いや、マリアージュしてサビとしての存在感が際立っているように思う。
『だから もっと高くへ 連れていってくれ!!』
7.間奏
ここは現在のライブバージョンとは違った進行なのも興味深い。
そしてMVでは、貴重な原さんの指ドラムが観られるので注目だ。
8.3番Bメロ
ここは2番と同じフレーズ。
最後にはよく議論の的になる『ワン・ツー』が入る。
このタメが入る事でラストのサビへのお膳立てが完成する。
9.ラストサビ
今までと同じサビにも関わらず先程のタメが入った事により、高揚感が格段に上がったサビに変化している。
たったツーカウントでここまで雰囲気が変わるなんて、これぞバンドマジック‥。
まんまとバンアパに気持ち良くさせて頂いております。
10.アウトロ
8ビート1発目のスネアの位置を半拍後ろにズラす事で、ズッシリとしたリズムになっている。
それに合わせて弦楽器が重なり合うので、最後に相応わしい壮大なグルーヴが作り出される。
ライブではメンバーみんなが激しく体を揺らしながら轟音のままラストへ向かっていく。
そしてCDではそのままamplified my sign(通称アンプリ)へ繋がる。またこれがたまらないんだよなぁ!
まさに破壊と再生、終わりの始まり、などとカッコつけたくなっちゃう。
higherはバンアパの曲の中では比較的コード進行がシンプルにも関わらず、こんなにもドラマチックに展開が広がるのは、間違いなくドラムの存在が大きいと感じる。
11.他のバージョン
ちなみにこのhigherという楽曲は、
① RECOGNIZE epバージョン
② quake and brook ALバージョン
③(naked)higher2バージョン
④ 20 years 再録バージョン
の4種類が存在する。
どのアレンジにもそれぞれ個性があって、聴き比べをするのを是非オススメしたい。
これだけバージョン違いがあるという事は、それだけバンアパにとっても非常に重要な楽曲だという事の表れだろうと推測できる。
こんな素晴らしい楽曲と出会えたのは、自分の人生の中でも重要な機転になったと断言したい。
12.最後に
「こんな文字で書かれたって、よくわからん。つまらん。クソが!」
とお思いの方もいらっしゃる事かと存じます。
ご希望があれば、このnoteの内容を直接、言葉と身振り手振りでしっかりお伝えする所存でございます。
長々と書いてしまいましたが、
higherの素晴らしさのカギを握っているのは、絶対にドラムだと声を大にして言いたいのです!
文字にてドラムの良さを伝えるという無茶な試みをしてしまったが、自分としてはとても満足で御座います。
2004年当時、メタル脳だった自分に新たな音楽への扉を開かせてくれたのは、木暮栄一さんのドラミングのおかげです。本当に感謝しております。
あの夜の配信で伝えられなかった悔しさは、無事にhigherされました。
最後までお付き合いありがとうございました。