リアルライフゲーム第8話『人生の「メインミッション」を考える』
…
そしたら
またあいつに
話を聞いてみるか…
メインミッションか…
…
(いや)
(呼んではないが)
人生のミッションねえ…
リアルライフゲームでの
メインミッションは
「より良い人生にする」
じゃなかったのか?
1つではない?
というと
メインミッションが
いくつかあるということ?
階層か。
そうすると
一番大事なのが
「より良い人生にする」
で
その下に
他のメインミッションがある
みたいなことか?
確かにこの
「より良い人生にする」
ってずいぶん曖昧だしな、
「ずいぶんと投げやりだなっ!」
って
【マップ屋】の店長も
ボヤいていたぞ!
ほう、
ということは
「あえて」
より良い人生
という
曖昧なゴールを
設定してくれている、
というわけなのか。
親切なんだか…
不親切なんだか…
難しいなあ…
なにが「良い」かなんて
自分にはあまり分からないし
これまで生きてきて
しっかりと考えたことが
なかったからな…
「メインミッションを
明確にすることが
メインミッション」
またトンチだな。
それで
「より良い人生にする」
というのが
最上位の項目だとして
どんな項目が
メインミッションの
下位の項目としてあるんだ?
1つ2つだと
勝手に思っていたが
メインミッションって
こんなにあるのか?
…
そう聞くと
急に分かりやすくなったな。
ゼルダでも4神の復活とか
そういう感じだったな。
要は
1本の道があるんじゃなくて
これを進めていけば
ゲームクリアに近づく
っていう要素が
いくつかあって
それを並行して進めて
ゲームクリアを目指す
ということか。
「より良い人生」
の下の項目にも
また曖昧なものが
ずらっと出てくるんだな。
こりゃ考える時間が
たっぷり必要そうだ…
チャレンジクエスト?
また初めて聞くな
サブクエストとは違うのか?
それなら多少
分かりやすくなったな。
メインミッションのために
クリアが推奨される
チャレンジクエストが
いくつかあるわけだ。
じゃあ
「理想の生活とはどんな風か」
については
どんな
チャレンジクエストがあるんだ?
そんな簡単に言われてもな…
時間がかかると思うぞ?
ふう…
2時間くらいかかった…
こんな感じか?
朝:早く起きる、おいしいコーヒー
朝ごはん健康に、ストレッチとか犬の散歩
奥さんとチューする、子供と話す
昼:趣味に没頭する、あっという間の1日
家族と団らん、友達とも遊ぶ
勉強とかもしちゃう、ジムも行く
仕事のことは一切考えないでいい
刺激的な体験もする、旅行もいいね
夜:めちゃ旨い飯、友達と飲み会もいいね
家のサウナ入る、風呂入って寝る
ベットはでかい、快眠
(まあ結婚どころか彼女もいないけど)
それなら問題ないな、
なぜなら
この理想の生活を
考えているときも
ニヤニヤしてたからな…
ここに向かうためなら
モチベも沸きそうだ。
ここでも
MAPの出番なんだな。
でも確かに
さっき考えた
「理想の休日」の中には
「早く起きる」
があったからな。
…
なんだか
少しずつ
リアルライフゲームの
全貌が見えてきたが、
絶望するくらいに
膨大な内容なんだな…
ちょっと気持ちが折れそうだわ。
そうしてくれると
助かるな…
「ストーリー」だって?
リアルライフゲームにも
ストーリーがあるのか?
まだだな…
このゲーム
ボリューム半端ないな
…
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作者あとがき
「曖昧さ」を受け入れる
メインミッションでも挙げた「良い人生」というのは、本当に曖昧で適当な表現だと自分でも思っています。その反面、曖昧だからこそ誰でも使えると思っているので、そういう点では便利です。「良い」というのはとても曖昧で、唯一解がありません。そして「曖昧なことモヤモヤする」人も多くいると思います。ですが、こればっかりはどうしようもないので「曖昧さを受け入れる」という考えを持っていることをお勧めします。
「何が”良い”か教えて」と聞く人は、「何が良いのか」を自分で考えられなくなってしまいます。それは自由ではなく、他人や世間が勝手に設定する「良さ」に振り回されることになります。他人が思う良さ、社会が思う良さ、そして自分が思う良さ、その差や違いに気づいて「受け入れる」ことが大事だと思っています。それに互いの良さを受け入れられないと、それは戦争になってしまいます、お互いに「良い」と思っていて、仮に共存できないという状況なら、どちらかを「良くない」とするしかなくなりそうなものです。なので「複数の良さ」が共存する、多くの「良さ」があることを「受け入れる」そのうえで、自分自身の思う「良さ」を大事にする、そんな風に考えていくといいんじゃないでしょうか。難しいことですけども。
人生の攻略ルート
ポケモン、ゼルダ、最近は1本道で進めずに、攻略のルートも多様化したゲームもたくさんありますね。レベルアップや道中のイベントはすっ飛ばして、いきなりラスボスに挑むということもできるのは面白いです。人生の攻略についても、攻略ルートがいくつもあるゲームだと思うと分かりやすいです。「容姿端麗」が攻略法になるかもしれませんし、「年収1000万」が人生の攻略になるかもしれません。その人によって選択できる、あるいは有効な攻略法が変わるのもリアルライフの難しさではあります、年収1000万が楽な方もいれば、容姿端麗が最適解な人もいれば、笑いの才能があったり、スポーツの才能があるかもしれませんし、精神的な安定や悟りを開くことが人生の攻略に繋がる人もいるかもしれません。私の考えとしては「攻略ルートは1つではない」ということを再度推しておきたいです。リアルライフゲームでは「人生とゲームの違い」と「人生とゲームの共通点」について扱うことがテーマの一つなので、今後もこうした「違いと共通点」を取り上げていきたいですね。
理想を描く難しさ
『葬送のフリーレン』の中で「魔法では本人のイメージすることしかできない」というような話があります。紙は切れるイメージがありますが、岩は切れるイメージが持てない、そういうような内容ですね。この話は現実世界でも大きく当てはまるものだと思っています。「出来ると思うこと」あるいは「できそうだと思うこと」については意欲がわきますし、逆に「絶対に無理だ」と「これは無駄だ」と思ってしまうの人間のモチベーションは上がらないものです。密室に閉じ込められて、空が飛べるようになってください、と言われたとして、私にとっては「無理だ」と思う内容なので「やっても無駄だ」という風に思ってしまいモチベーションが発揮されません。
現実世界でも「想像できることしかできない」ということは法則として当てはまると思います。先に述べたモチベーションの話もそうですし、具体的な手順がイメージできるという意味での「想像力」とすれば、手順が明確ならそこへの到達もできそうなものです、これがMAPの重要性にもなるわけですね。その人に「イメージしてもらう」「想像してもらう」というのはとても大事なことです、英会話の上達方法で「英語が出来るようになった時のことをイメージしてもらう」という話がありますが、出来るようになったら何がしたい、出来ている自分がイメージできるというのは本当に大事なことです。
しかしながら「人間の想像力は乏しい」という話についても、まあそうだろうなと思うばかりです。どうしても人は「自分が見たもの」を基準にイメージをします、カラスと言って黒をイメージするのは、それまでに見たカラスが黒だったからです。白いカラスが当たり前の国もあるかもしれませんし、メキシコで「カラス」というとプロボクサーをイメージするかもしれません。理想の生活についても「こんなもんだろう」というイメージをするでしょうが「本当にそんなもんですかね?」と質問したいものです。数年前にはスマホもなく、もっと前にはネットもなく、車もなかったです、では数年後がどうなっているかも分からないです。そのうえで「理想の生活」を考えてもらっているのです、これは「やはり難しいこと」ではないでしょうか。SF力と言いますか、突拍子もないような「理想」を描くような「想像力」はとてもパワーがあります。
今回の本編では「理想の世界」の話をしませんでしたが、もしも「理想の世界」をイメージする力があればそれは素晴らしいことです。ニッチでもいいんです、理想の「忙しいレストランで従業員もお客様も満足する注文方法」や、理想の「母子家庭ママが困ったときに食べられる食事」とか、理想の「おじいちゃんが孫とコミュニケーションをとれるような方法」とか、そうした「理想」さえ描ければ、あとは達成までのマップを作り、1つ1つ進めればたどり着けるわけです。ちょっと盛り上がりすぎたので「理想の世界」の話はまたしましょう。
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