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カジノの必勝法|マーチンゲール法、お前は間違ってる

みなさんはわざわざディズニーランドに出向いて「ミッキーマウスの中には役者が入ってる」と言う人でしょうか。たぶん違うでしょう、心のなかではそう思っていたとしても、あえて口にはしません。では、ゲームの攻略法で誤った戦術をとっている人に、その戦術は間違いだよと指摘しますか?これはその人が友達なのか対戦相手なのかで変わります。私はメガホン片手にカジノの前で「マーチンゲール法は間違ってる!」なんて絶対に言いません。わざわざなんの得もないのに道場破りなんてやるわけないじゃないですか。師範に勝ったとしても弟子に殺されるだけですよ。そういうわけで私はこうしてnoteの片隅でひっそりと、払い戻し可能な100円を出してくれる人とだけ「ミッキーは夢を与えてくれていいよね」と語り合うのです。

マーチンゲール法とは

さて、そもそもマーチンゲール法を全く知らない人に解説をしておきましょう。これはカジノでルーレットやバカラなど、2倍配当で勝率が50%のものに適用される「必勝法」と呼ばれる掛け金の出し方です。こういう機械的な賭け金の出し方をシステムベットとも呼んでいます。このシステムベットは様々なバリエーションがあるわけですが、マーチンゲール法はその中でもいちばん古典的かつ有名なものです。「理論的には絶対に勝てる」とまで言われています。こいつは面白そうじゃないですか。

やり方は簡単です。
0. まず最初に1ドル賭けます。単位はドルでなくても構いません。
1-a. 勝ったら、1に戻って再び1ドル賭ける
1-b. 負けたら、1の2倍の2ドル賭ける。
2-a. 勝ったら、1に戻る
2-b. まけたら、2の2倍の4ドル賭ける。
3 以降繰り返し

つまり、負け続けるたびに賭け金を倍に増やしていきます。そうすると、いつかは勝ちます。その時、自分の所持金はどのようになっているのでしょうか?

3連敗したあとで勝利するケースを考えてみます。この場合は、4回目の賭けを行った時点で 1+2+4+8=15ドルのお金を投入しています。そして8ドルを賭した4回目で勝利するので、その時16ドルのお金が返ってきます。だからトータルとして儲けは1ドルです。

4連敗したあとで勝利するとどうなるでしょう。5回目の賭けを行った時点で1+2+4+8+16=31ドルのお金を費やしています。そして最後の16ドルの賭けで勝つわけですから32ドルのお金が返ってきます。やはりトータルとしては1ドルの儲けです。

何連敗したとしても、倍掛けしていって最終的に勝てば最後は必ず1ドル儲けています。連敗を重ねる確率はとても低く、そして最終的には1ドルを握りしめられる結果がこの方法が人気となる所以なのでしょう。しかし現実的には資金力には限りがありますから必ずしも連敗に耐えられるわけではありません。そして最後に得た1ドルは、何か得をして得られたものなのでしょうか。私はこれを調べてみようと思います。どうでしょう。マーチンゲール法はいわばシステムベット界のミッキーマウス。ミッキーは果たして本物なのでしょうか?

他のベット方法と比較して優劣を語ってみる

それでは、この方法は本当に理論的に優れた攻略法なのでしょうか。なんにも考えずに猿でもできる方法、たとえばいきなり全額ドカン!とベットした場合と比較してどのくらい優れているのでしょうか?もし同じ確率、同じ期待値だったら金銭的にマーチンゲール法に価値はありません。それどころか細かく勝ちをチマチマ積み上げているだけで全く面白みに欠けます。いやむしろ、全額ベットのほうが男気がありますし、あなたを見ている周りのお客さんはあなたの男気を評価するでしょう。

こういう状況を考えてみたいと思います。あるプレイヤーが15ドルの資金を持っているとします。これを2倍ゲームで30ドルに増やしたいと考えたとします。二通りの賭け方を考えてみましょう。

1. 15ドルを全ベットし50%の確率で30ドルまで増やす。所持金の期待値は0x(1/2)+30x(1/2)=15、つまり儲けゼロ

2. マーチンゲール法に従い1ドルずつ増やしていき30ドルまで増やす。マーチンゲール法に従えなくなったらゲーム終了。

皆さんおわかりのように、所持金が15ドルの場合でスタートした場合、4回連続で賭けに負けるとマーチンゲール法は続けられなくなります(1+2+4+8=15)。31ドルを突破すると5回連続負けることが許されますが、この設定では計算をしやすくするために30ドルを迎えた時にゲームを抜けます。あくまでもマーチンゲール法と全ベットを比較するだけなので別にいいでしょう。

マーチンゲール法で1ドル稼ぐ、もしくはゲームが続けられなくなるまでを1セッションと呼ぶことにします。今の設定条件では、1セッションにつき (1/2)^4 = 1/16の確率でゲーム終了、15/16(=1-1/16)の確率で1ドル稼ぐわけですね。

このゲームの流れを図にすると下のようになります。startの15ドルから出発します。1/16の確率で一回でも紫のサイドに入ったらゲーム終了、そして15回連続で勝利すれば30ドルを手にします。私の興味は30ドルに到達できる確率と、セッションに到達したときの損得の期待値の変化です。ここまで設定を簡単に落とし込めばそれは全て計算可能です。スタート金額が15ドルのケースしか考えませんが、この例を深く考察することによって任意の賭け金に一般化することはより容易になります。

マーチンゲール法

さて勝利の女神はどちらに微笑むか?

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