ガチ文系の嫁が教えてくれたコーヒーの旨味成分
イントロダクション
夏の旅行が終わって会社に戻る前の数日間、暇を持て余した自分は大好きなコーヒーについて考えていた。学生時代からずっと、毎朝必ず一杯のコーヒーを飲んでいる。しかしそれはモーニングルーティーンのようなもので、特別なこだわりは無かった。スーパーでちょっと高めの豆を買い、毎朝何も考えることはなくコーヒーを落とす。今日淹れたコーヒーはちょっと苦いとか、酸味が強いとか、その程度は考えるけれど普段はそれで終わりだ。
コーヒーの美味しさを追求していったら、どうなるだろう。暇つぶしのテーマとしては面白い。自分も「違いの分かる男」になれるのだろうか。ただ、美味しんぼのように至高のコーヒーのような絶品を求めているわけではない。いつでも手に入れられる豆で、かんたんにいつでも淹れられる。そんな手軽なコーヒーが理想なのだ。
ここから理系らしい思考を巡らせ始めた。いったい何がコーヒーを美味しくしているのだろう。ネットや本などを検索せずに、頭の中で思いつくまま勝手にピックアップした。
1. コーヒー豆から抽出される成分:これがきっといちばん大切だろう。でも、どんな成分が抽出されるのか、どれが旨味として認識されるのか分からない
1'. コーヒーを抽出する手法:ドリップ式とかサイフォン式とか色々ある。それは究極的には豆から美味しい成分だけを抽出する手法、ということで1.のサブカテゴリーとした
2. コーヒーを入れる水質:コーヒーを淹れたとしても、そのコーヒーの大半は水分だ。水の美味しさ、水の質(硬水、軟水など)がコーヒーの美味しさに影響する可能性は大いにある。
3. 心理的な影響:小洒落たカフェでバリスタに入れてもらったコーヒーはきっと美味しい。一方で、徹夜で勉強する場合に飲まなきゃいけないコーヒーはいまいちだろう。自分の手で焙煎したコーヒーは、特別感があって美味しいだろう。「キャンプで作るカレーは美味しい」と同じ理屈だ。コーヒーカップの美しさも影響するだろうか。こういった心理的な要素は決して無視できない。
豆から抽出される成分が一番大事だろう。スーパーで違うタイプの豆を2つ買ってきて、同じように淹れる。それを目隠しして2つ飲んでみて、実際に味がどのように変化するのか調べる。うん、悪くない。
ただし、味覚ではどうしても主観が入ってしまうので、できればコーヒーの抽出成分がどう変化したのか化学的に知りたい。でもいろんな物質が入っているから成分の特定は難しいだろうな。。。。と、こんな話を嫁にしてみた。
嫁「コーヒーの旨味成分か。旨味成分っていったらあれだろ、グルタミン酸だろ?コーヒーに味の素入れたらいいんだろ」
俺「えええええええええ!!!グルタミン酸っって鰹節とかに入っているやつだろ。お肉が美味しいのがグルタミン酸と違うのか。相手はコーヒーっすよ???」
嫁「まあやってみろや簡単だ。いまそこにコーヒーが淹れてある。それを2つのカップに分けて一方に味の素をいれる。目隠しして美味しくなったほうをあててみろ」
実験開始
嫁「よし、味の素を入れてみた。チャーハンを作るより少ないほんの少しをコーヒーに入れてある。これで当てられたらお前がコーヒーを飲むとき『違いが分かる男』のBGMを流してもいい」
俺「『ダバダ~』ってやつか。光栄なことで」
テイスティング開始。
確実にわかる。絶対にコーヒーの味がしていない。ちょっと余計なしょっぱさがある。やっぱり嘘だ、味の素がコーヒーの美味しさ成分のわけがないだろう、俺は頭を抱えた。
俺「ちょっと飲んでみろ、ぜんぜん違うぞ」
嫁、テイスティング開始。
嫁「え?全然わからないよ。全く同じ味だ」
俺「嘘だろ、少ししょっぱいだろ?結局どちらのカップに味の素を入れたんだ?」
嫁「正解は、どちらにも入れてない」
俺「!!!!」
俺はショックを受けた。実は嫁は調理師なのだ。彼女の舌で検知できないならば、それは絶対なのだ。自分がその程度の味覚しか持っていないならば、コーヒーの研究なんて続けても意味がない。
結局
嫁「嘘でしたー!味の素は入れたよ!」
俺「えぇぇぇぇ。。。。で、俺は味の素コーヒー当てれたの?」
嫁「旦那くん、完璧です。2回とも当てました」
俺「なんやねん、お前。。。」