ある日突然別れた、シンプレックスのケトル #011

台所の中で、いちばん使うのが
やかんかも知れません。
毎朝、起きたらすぐに
必ずお湯を沸かすから。

実は昨年、最愛のやかんと
別れました。

その最愛のやかんというのは
シンプレックス社のコイルケトル。
（写真↑やかんと猫のハチ）
いつどこで買ったか、
いくらしたかも忘れるくらい
はるか昔に、夫が買ったやつ。

あっという間にお湯が沸いて、
沸騰すると「ピーー」と
笛が鳴ります。
とても柔らかくてやさしい音です。

シンプレックス社は、
イギリスのケトルの専門メーカーで、
1850年創業だそう。
すでに170年！もやかんをつくってる
ことに驚きます。

熱効率の良い銅に、
内側も外側もニッケルメッキをして
外側はさらに
クロームメッキで仕上げてあって、
やかんの下部にコイルがついていて、
そのコイルが熱伝導をぐんと高めて、
本当にあっという間に
お湯が湧きます。

もう何十年も使っていたから、
でこぼこ凹んでたり、
コイルの部分はめっきがはげて、
緑青（銅のサビ）が出てきてて、
それもなんか味わい深く、
台所に放置していても
存在感があって好きでした。

が！！！！

ある日ガスコンロを新しいのに変えたら、
お湯を沸かせなくなりました。
新しいガスコンロには、
熱感知センサーがついていて
このコイルタイプのやかんだと
やかんの底を感知できなくて
ガスがつかないのです。。。

ガス器具にはこの装置が必須と
法律で決められたと、
設置してくれたひとが教えてくれました。
ええええー、
どうしてくれるんーーー。

お湯が沸かせなくなったやかんは
仕方なく、うちの家では
引退してもらいました。
いまは、夫の会社でお湯を沸かしています。

長年付き合ってきて、
とても好きで
いないと困るのに、
突然別れがやってくるのは
とてもせつない。

コンロ周りに、
しばらくやかんのエネルギーの
気配が残っていました。

最後に描いといたやかん

夫が、好きだと感じて
買ったやかんですが、
私も好きな、やかん。

この好きは私の純粋な好きか。

はたして、夫が好きだから
私も好きだと思っていたのか、
私100%で好きなやかんだったのか。
どちらでもいいことだけど、
なぜかそんなことを考えたのを
を覚えています。

コンロを変えたせいで、
突然別れることになった
シンプレックス社のコイルのケトル。

やはり、
私はこのやかんが好きです。

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