X DESIGN 06 Storytelling
第5回、今回は前々から山場だと言われていた、ストーリーテリングの回。
ここ数回手法の軸となっているのが、「ビジョン提案型デザイン手法」というもの。
「ビジョン提案型デザイン手法」は、日本人間工学会アーゴデザイン部会の提唱しているビジョン提案手法。
ユーザー情報とビジネス情報を同時に整理しながら統合しサービスへと昇華させるものだ。
調べると先生のブログに紹介記事があった。
http://asanoken.jugem.jp/?eid=2349&imageviewer&image=20120730_43133.jpg
前回からペルソナ/シナリオ法を実施したが、これはビジョン提案型デザイン手法の構造の一部でもあり、主にユーザー情報の整理の側面が強い。
今回はビジネス情報の整理と、構造化シナリオへと落とし込むのが中心となる。
新しいビジネスモデルをつくる際には、自分たちが何者で、何をやっていく会社なのかというブランドからスタートする。
日本の企業はここが弱い。自分たちが何者なのか定義づけるビジョン(ブランド)から始まり、ユーザー、社会動向、そしてサービスへと落とし込む流れが必要である。
ビジネスとユーザーの視点の架け橋となるのがサービスデザイン。
企業のデザイナーには不足しがちなビジネス要求の視点も含めるのが肝である。
UXで大切なこと。それは解像度を高める観察力。
そしてそれを言語化し物語化すること。
物語を描くには、人間の些細な機微、その様子が頭に思い浮かんでくるような描写が求められる。そのとき人はどんな状況で、何を思いその行動をするのか。
日々の生活の中でどれだけ周りを観察し、目の前の現象に向き合っているのか。言語化にまで昇華するにはその時々の心の機微について、意識的にならないと捉えられない。
最も、何かを感じとるセンサーを常に磨き、錆びないようメンテナンスが必要。
ひとつひとつの行為を、対象が自分の場合には動機を、他人の場合には行動を観察し考察することで、一つの事象から得られる情報量やアイデアの引き出しはストックされる。
誰かクリエイターが言っていた、赤をテーマに世の中を観察するとか、テーマを決めて身の回りを観察するのは視点を変え周りを観るいいトレーニングになる。
しかしよく観察するというのは意外とエネルギーを使うもので。慣れるものなんだろうか…と思ったり。
「何をするものなのか」すべての人がわかるには一言ではまとめられない
コンセプトの話があった。コンセプトって一言で言えることじゃないの?って思ってた。それはキャッチコピーだそう。
コンセプトは、サービスであれば、それを誰が見ても理解し共有できるもの。一言では最初の取っ掛かりにはなっても具体的な理解に繋がらない。
その手助けをするのが前回のペルソナシートであり、バリューシナリオ。この2枚がきちんと仕上がっていれば、これだけで全体像が理解できるようになる。
チームワークにおいては漏れなく効率よく情報共有することが肝要。企業人こそ必須のスキルでありツールだと感じた。
考えてみたことを振り返る
具体的に自分たちの案を振り返ってみて。
今回新たに設定したペルソナ像は、エクストリームすぎた。数ある行動シナリオのひとつとして扱うべきで、ペルソナとしては外れ値が大きく不適だったかも。
企業がどうしたいかという視点抜きにして進めては本末転倒。
ユーザーをどうやって、どんな幸せにしたいのか。
幸せってなんだって言われると、難しい命題で、よくわからない。
他人のこととなるともっと難しい。
わからないけれど、企業のビジョンには「こうしたい」という目指すところがあり、それが社会と企業の利潤両方を満たす。
その手助けをする意識を根底に持たないとこのクライアントワークは成立しない。
そのユーザーの幸せは何かを観ることこそ必要で、それゆえのツールであり、観察力なんだよな。上位ニーズよ。
また今回のペルソナは、クライアントのアセットを活用する視点では難しいとは薄々感じていた。
価値の比重が家の中の過ごし方よりも、外に出て人と交流したり仕事をする方に重きを置いていた。
この人の上位ニーズはいわゆる外向的な要素を多く孕むはず。
そんなわけで、ペルソナの設定から、上位ニーズの抽出辺りからディストピアコースに歩み始めていた。
どうしたいんだ?というビジョンがあった上で、ビジネス側の要望とユーザーの欲求の交差を見つけること。
一通りやることでどこが引っかかりの原因かはわかってくる。
わかるだけでも躍進だがここで止まってはいけない。もう一度振り返り、出来る範囲で再トライしよう。
あと、ZOZOのIRにビジネスモデルが載ってるという佐藤さんの話があったので、さきほど象印のIRをざっと数年分読んでみた。
企業のことを知る意味では概要をザッピングできよい。あと数値は裏切らない、真実を語る。
そんなことを思った。
メモ: 適温は、ユーザーにとって「適温」を頭に思い浮かんで意識するものではなく、むしろ無意識の中で成り立つ概念
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