ユ・ヨンソク式 危機の乗り越え方 〜5/25,26観劇レポ〜
4月頭に観に行った後、ずっと耐えに耐えていたソウルへ。約2ヶ月ぶりに行ってきました!
あまりにも久しぶり過ぎて、まったく違うステージを観るくらいに変化があるんじゃないかとドキドキしながらの渡韓。
5月25,26日の公演を観てきましたが、それはもう…想像を絶する今まで観たことのない一夜限りのスペシャル公演を観ることになってしまいました。
25日の公演中、Sugar Daddyの間奏で『カーウォッシュ』パフォーマンスをいつも通りにしたヨンドウィグ。いや、むしろいつもより余計に腰を鮮やかに振っている印象でした。
めちゃくちゃ盛り上がってお客さんの席から降りたヨンドウィグ。でもその時、不安定な感じで背中から転落してしまったのです。
私はカーウォッシュパフォーマンスをするのとは反対側のブロックにいたため詳しく見えたわけではないのですが、いつも肉眼で観るようにしているので崩れ落ちていく瞬間を観て「えぇ?!」と驚き、カメラが捉えてスクリーンに映るヨンドウィグを観たら、床にお尻をついていました。でもすぐに立ち上がって、カーウォッシュ席に座っていた男性にハグ?をして舞台に戻ったのでホッとひと安心。その後は普通通りに舞台を進めていくヨンドウィグ。
そのあと『パンクロックジェスチャー』で舞台の端へ向かう途中、何かにつまづいたようにちょっと前につんのめったのですが、転んでしまったわけではなく、また舞台はいつも通りに進み…アンコール、ダブルアンコールまで通常通りにしてくれて、その日の舞台は終わりました。
そして公演後の退勤のご挨拶を待っていた時。
たしか40分くらい待ったところで、ヨンソクさんのマネージャーさんが前に立つと「ヨンソクさんが怪我をしてしまって病院に行かなければならないので、今日の退勤の挨拶はありません」と伝えました。
え…??やはりあの椅子からの転倒でどこかを痛めてしまったの?それとも舞台でつまづいた時?
詳しい説明をしてくださったわけではないので混乱する頭の中。いずれにしても、その痛みを見せず何事もなかったかのようにアンコールまでステージをこなしてくれたということ…ヨンソクさんのプロ精神に絶句。
どうか大事に至りませんように。と祈りながら会場を離れました。
所属事務所や興行主のSNSにキャスト変更案内がアップされないか、気が気ではない夜を過ごして翌日。やはり案内はあがってきません。
公演ができるなら、そんなに酷い怪我ではなかったのかも知れない。きっとそうだ!と明るい希望を持ちながら会場へ向かいました。
会場に入り席に着くと、まず目に入ったのはコードのない無線マイク。
さすがに通常通りのパフォーマンスはできないんだな。階段上がったり降りたり、踊ったりドラム叩いたり、カーウォッシュはもちろんできないだろうな。「Wig In A Box」でもかなり華やかなパフォーマンスをするのですが、それも無理だろうなぁ、と。なんなら登場シーンも形を変えてくるかも知れない、と想像と心配でいっぱいの公演前を過ごして本番を迎えました。
会場内の案内アナウンスが終わり、いよいよオープニング。いつもよりもかなりテンポを落としたイントロが始まりました。そしてヨンドウィグ登場。通常通り1階客席後方の扉から入場してきました。
あぁ、階段降りてこれるんだ!よかった…よかったよ本当にㅠㅠと思ったのも束の間。舞台に上がる3段ほどの階段を上がるためにイツハクの手を借りるヨンドウィグ。振り返り、カメラに足元を撮れというジェスチャー。
え…ギプスしてるじゃんㅠㅠㅠㅠㅠㅠㅠㅠㅠㅠ
ギプスにはかわいいお花のコサージュ。私の席からはペディキュアまでは見えませんでしたが、本当に最大限に怪我を利用して公演しようとするのが伝わります。
その足で公演をキャンセルせずに舞台に上がる決断をしてくれたんだ、と心臓が痛くなりました。
「これ(足)については後で話してあげるわ」
「あんたたち、とっても特別な公演を観ることになるわよ」という言葉と共にはじまった『Tear Me Down』。
もう全く動かないでステージを進めるのかと思いきや、え?なんか普通に動き回ってるよ?いやいや片足で立ったりしないでーー!小さくジャンプなんてしなくていいから!!クルクル回らなくていいからーーー!!!
ギプスをした足と、目の前で繰り広げられるパフォーマンスのギャップに混乱する私の頭の中(笑)ハイプボーイすら普通に踊ってみせるヨンドウィグㅠㅠ
床に横座りになりながら詩を詠むシーン、車のボンネットに寝そべり、また駆け上がって歌うSugar Daddy, マイクコードを使うパフォーマンス、トレイラーハウスの天辺に上がって歌い始めるThe Angry Inch, ポールを使って飛び駆け回るWig In A Box. これらは流石にいつもとスタイルを変えて。
カーウォッシュではなんと客席に降りてきて、客席に立ち上がるのではなく男性の膝に乗ってお尻でダンス(笑)。そして客席通路を一周駆け巡るWig In A Boxの間奏ではさすがに降りてこずに、舞台袖の階段付近まで来てダンスを。
ギプスをした足では不可能な動作を除き、最大限いつも通りのパフォーマンスをみせてくれるヨンドウィグ。
オープニングで登場した時「これ(足)のせいで雰囲気が沈んだらあんたたち大変なことになるわよ!」と一喝したヨンドウィグ。
その割には事あるごとに足をネタにしまくります。足については後で話す、と言った時、普通に事情を話すコーナーがあるのかと思いきや、いつもの台詞の中に足の怪我について設定をいれて話すヨンドウィグ。
トミーと偶然に再会した時の車の事故でこんなことになった、と。
怪我をしたのは前日の昼公演。そこからの一晩、一日の間に、舞台に上がるのか、この足でパフォーマンスするには動線をどう変えたらいいのか、できるだけ自然に怪我を利用するにはどうしたらいいのか。そして何よりこれ以上怪我を悪化させずに2時間半の舞台をやり切るにはどうしたらいいのか。
痛む身体でずっと考え試し、いまこの舞台に立ってくれているんだな…と途中何度も涙が出ました。
後半に入り、深まる感情演技。
Hedwig’s Lament, Exquisite Corpseを歌いあげてヨンドウィグが服を破り捨て、潰したトマトの香りが舞台に立ち込めたあと。
ステージ空中にヨントミーの姿が浮かび上がります。もう自動的に足に目がいくのですが、あれ?ギプスなくなってる?
薄暗いなか、主にヨントミーの上半身に当たるスポットライトのためはっきり見えるわけじゃないけど…どんなに目を凝らしても、やっぱりないギプス。
トミーがギプスしてたらおかしいもんね…にしたってㅠㅠㅠㅠㅠㅠㅠㅠㅠㅠㅠㅠ
あくまでも最大限にステージを仕上げるための努力と挑戦をやめないヨンソクさん。
もう涙腺崩壊です。
そのあと再びヨンドウィグのシーンに戻るのですが、その時もギプスは戻さず。最後までテーピングだけでMidnight Radioを演じ切ったヨンドウィグ。
カーテンコールで登場し、深々といつものようにお辞儀をした時、その肩が、身体が、震えていました。ステージをやり切った安堵感と、この日ステージに立つことがどれだけヨンソクさんにとっても大きなチャレンジだったのか、その姿から伝わってきました。
その後アンコールではふたたびギプスをして登場し、激しいメドレーを舞台中央からほぼ動かず、めちゃくちゃ飛びたそうだったけど飛ばずに膝だけでぴょんぴょんしながらパフォーマンスしてくれました。
客席からのダブルアンコールの要請に、その前に、と制して話し始めたヨンソクさん。
「いつも観てくれてるファンの方は(流れが違うので)驚いたと思いますが、昨日の公演で事故がありました。今日の舞台に上がることについて、いっぱい悩んだんですが…本当に各地から来てくれているファンと、皆さんとの約束を果たすために、舞台に上がりました。できるだけストーリーに溶け込ませるように努力しましたが、いつも僕がしているようには動けなかったので…期待にそえなかった部分に関してはご了承いただければ。」と。
「僕の動線を最小限にするためにバンドもイツハクもスタッフも本当にたくさん努力してくれました。最後まで応援してくださった観客の皆さんにも感謝します。…で、このまま帰るわけにはいかないでしょ?足はこんな事になってるけど、喉は生きているので!」とダブルアンコールに『creep』を歌ってくれました。
私が愛する俳優、ユ・ヨンソクさんは演技はもちろん人間としてもとても魅力的で、ファンとして見える部分だけをとっても、どんな角度からみても愛らしく、かっこよく、しなやかで、尊敬する部分がたくさんあって今まで途切れる事なく応援してきました。
そして今回。2ヶ月ぶりに観劇した公演で遭遇したアクシデントを、こんな風に乗り越えていく姿を目の当たりにしてまた更に感動をもらい、気持ちが深まった気がします。
ヨンソクさん、ほんと最高!!
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