私の住む町
約4600人の小さな町。
平日でも休日でも朝でも夜でも町を歩いている人はほとんどいない。
みんなどこに隠れてるんだ?
ほとんどが高齢者だから買い物ぐらいにしか出歩かないし、若者といえば学校か仕事に行っている。
むしろ誰かに遭遇する方がめずらしい。
昼間なら“お散歩ですか〜?”と心の中で思いながら微笑ましい気分になる。
これが夜だったら途端に恐怖に変わる。
誰もいないのが当たり前としているのに、後ろから足音が聞こえた瞬間
“あっ…殺られる……”
振り向いて確認するか走ろうか隠れようか本気で悩む。
これが前方から来ても同じ。
ぽつらぽつらしか街灯がないため黒い服なんて着られたら足音だけが聞こえてくる状態に陥る。
お化けとの遭遇かッッ!!
完全にトラウマ確定だ。
上着が黒でチノパン履いてた人には本気で驚いたことがあった。
足だけがこちらに向かって歩いてくるように見える。
信じられない光景。
ホラー。
避けて通れなかったため覚悟した。
2〜3m手前でやっとウォーキングしてる普通のおじさんということに気付いた時は心底ホッとした。
ホッとしすぎて小さな声で
「あっ…こんばんは」
と言ってしまった。
そんな私の住む町は今日も穏やかに過ぎていく。