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スキルス胃がん

と、私の胃がんはこう診断されたのだ。

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9月24日、地元のクリニックから紹介されて向かった大学病院。
とてつもなくデカい!(おのぼりさん)笑
何棟もの病棟がそびえ立ち、大げさではなく病院群だけでひとつの町が形成されている。
通院患者さんだけでなく、学生さん、白衣のドクター、看護師さん、業者の人、いろんな人が大勢行き交う。

初診。
挨拶を終え、地元のクリニックで撮った胃カメラ画像を見ながら担当のドクターが口を開く。

「もう早期の段階は過ぎてかなり進行しています。ステージで言うと2Bか3の状態です」

図解でとても詳しく説明していただき、治療にとても前向きだった。
「胃がんは治る病気です。治しましょう」と。

その日から採血に始まりCTやら心電図やらレントゲンやらたくさんの検査をして、家に帰り着く頃にはすっかり日が傾いてた。

癌告知は正直ショックだったけど、たしかに胃がんは治療で治る確率の高い癌だ。
胃の大部分を失うことにはなるだろうけど、ドクターの前向きな姿勢にこのときの私の心は少し穏やかな方向へ向かっていた。

だがその穏やかでいられた日々は次の通院日までのわずか数日の間だけだった。

***

9月28日、2回めの通院。

この日は超音波での内視鏡を撮った。
地元のクリニックで撮ったときと同じように鎮静剤で眠っている間に処置され、その後も1時間ほど眠っていたようだ。

そして主治医との診察。
先ほど撮った胃カメラの画像と前回撮ったCTの画像を見せられ、細かく私の胃の状態を説明してくださった。

そして導き出された診断結果がスキルス胃がん(4型)だった。

胃の内部がところどころ赤くなっている(健康ならピンク)こと。
胃壁の厚みが8mmほどになっている(通常は3mm程度)こと。
ドクター曰く、胃の大部分はもうすでに硬くなっているのではないだろうか?と。

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そしてこのスキルス胃がんは播種(がん細胞が胃を突き破って体内に放出されてる状態)を発生させる確率がとても高く、まずは播種が起こってるかどうかすぐに調べる必要があると。

検査には腹腔鏡を入れる手術を行うとのこと。
そのため数日の入院が必要とのこと。

次の通院では、入院の手続きと手術や麻酔についてのカウンセリングを受けることになった。

スキルス胃がん?
もちろんそんな名前は初耳だ。
その時は胃がんの一種くらいだと思っていたのだが、実はかなり厄介なシロモノだと家に帰って検索して初めて知ることになる。

興味ある方は「スキルス胃がん」で検索されたい。

この癌の恐ろしいところは、胃の表面ではなく内部を侵食してゆくため、発見が遅れがちになること。
そして進行がとても速いことにある。
だからスキルス胃がんだと診断された時点で、もうすでにかなり悪い状態になってる場合がほとんどだ。

これがスキルス胃がんが難治の癌と呼ばれる所以である。

通常の胃がんだと5年生存率は50%未満なのだが、このスキルス胃がんとなると5年生存率7%未満とか極端に下がる。
そんな情報見てしまうと辛みしかない。

ずいぶん前から居たんだよこの子は。
気が付かないもんだね。
長い間、静かに静かに蝕んでいた。

考えてみれば、母の葬儀の直後の胃痛。
最初の診断は胃潰瘍だったが、これがあったから癌が見つかった。
母親が私の癌の存在を教えてくれたのかもしれんね。

この時点でステージ3と宣告される。

***

10月1日、3度めの通院。

初めてPCR検査というやつを受けた。
その後、担当医(外科)、内科、麻酔科と立て続けに手術前のカウンセリング。
特に内科は人多すぎ・・
かなり待たされた。
待合い室みっつみつなんすけどぉ・・

スキルス胃がんは難治性の癌のため、抗がん剤治療(化学療法とも言う)にも新しいアプローチが提唱されている。
それが腹腔内化学療法だ。

これをカウンセリングでドクターから勧められた。
従来の抗がん剤治療は点滴で体内に注入するのだが、これはそれと並行して直接お腹の中へチューブで抗がん剤を投入する。

ただ、これはまだ臨床試験の段階で、実際の効果が認められてるわけではなく、データを取って有効性を見極めるというところだろう。
人柱といえば言葉は悪いが盛んに勧めるドクターに対して疑心暗鬼になったり・・
まぁ私のデータが同じ病気で苦しまれてる人への一助になれば、それはそれで良いことじゃないか。
そもそもこれを拒否る理由など私にはないのだ。
ただ、東大病院側の審査があるので、この臨床試験に私が参加できるかどうかはわからない。

いずれにしろ私の状態は抗がん剤治療を避けて通れない。
髪の毛ごっそり抜けるんだろうなぁ・・
いっそ丸坊主にして死ぬまでウィッグ生活にしようかなぁなんて本気で考えてる。
帽子感覚で取っ替え引っ替えするのも楽しいかもしれないね。
とコスプレウィッグを通販サイトで眺めてるわたし・・

***

入院の日が決まったので、必要なものを少し買い物をした。
人生うん十年生きてきて実はこれが初めての入院。
何を隠そう、私はパジャマなるものを持っていない笑
前開きのものと指定されていたので、気に入ったものを見つけるまで何軒も歩き回った。
下着もボロボロのヨレヨレだからこれを機会に新しいのを買い込んだ。
コレ持っていこうか?アレも持っていこうか?バッグはどれにしようか?
荷物増やしても退院のとき大変だしな・・
そんなこんなを考えてる時間は不安から開放される。
これが旅行の支度だったらどれだけ楽しかっただろう・・

ここのところ、自分のこと、叔母のこと、毎日のように出歩いていて、日に日に疲れが増してきている。
そして異様に眠い。
あさんぽも以前のように毎朝行けるコンディションでもなくなったし、お風呂に入るのもだんだん億劫になってきた。
風呂に入るという行為よりもむしろその後のことが面倒に思うようになってきてる。
体力というより気力が負けてる感じかな。

単なる疲労か?それとも癌による(薬による)影響か?
そして今これ書いてる時点で喉がめっちゃ痛い・・
長く続く倦怠感はこれなのか?
この期に及んでこれヤバくね?
現時点で熱は無いのだが、風邪?コロナ?
いや、3日前にPCR検査やってる。
結果は聞いてないが陽性なら何かしら連絡があるはずだ。

とにかく休みたい。
この1ヶ月ほどの間にいろいろあった。
ありすぎた。
全力疾走して息があがってるところに、次から次へとパンチを食らって打ちのめされた感じだ。

私にとっては退屈で自由を奪われ苦痛なだけと思ってる入院なのに、皮肉にも私を休養させてくれることになるのか?
なにかに導きか?
それなら看護師さんにおもっくそ甘えたろかな・・
しらんでー、わい重いでー笑(体重ちゃうよ!謎)

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やっぱり闘病日記になっちゃうんね(^^;

今は母と叔母の死後のなんやかんやの事を、自分が動けるうちにと思って走り回ってます。
いろいろ知識も得たし、その辺のことも書こうかなって思います。

それではどうかみなさま、お身体ほんとにほんと、大切に🍀

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ま➖
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