猫のいない庭②
第三話『猫の多い街』
みぃちゃんを飼うときに色々調べてみたら、この街は本当に猫の多い街らしい。
確かにホームセンターにも、犬雑貨より猫雑貨の方が心なしか多かった気がしている。
みぃちゃんはツンデレと言いましょうか、常に私にお尻を向けている。
みぃちゃんは、ちゅーるより煮干しが好きだと娘さんに伺いましたのでお徳用レベルのデカくて沢山入ってるやつをあげてみようと思う。
みぃちゃんは人馴れはしているようで、あげると食べてはくれる。
よかった、、、と息を吐く。
みぃちゃんは買ってあげたキャットタワーにはあまり興味がないのか、ずっと窓を見ている。
外に出たいのかな?、、猫だし出しても良いか。
本能でしょうか、16時をすぎたあたりには帰ってきて餌の皿の周りをくるくるゆっくり回って水を飲む。
そして、ソファで寝た。
しかも真ん中で。
お試し期間を終了して、娘さんにみぃちゃんを飼いたいと言うよりウチに迎え入れたいと申請をした。
そんなこんなで私生活は寂しい田舎暮らしから、ほっこりゆっくり過ごせる田舎暮らしに変化したのであった。
みぃちゃんは甘えたりは、まだしてくれないが拒むことも無い。
写真を娘さんに送ると安心していた。
第四話『無音』
みぃちゃんは相変わらずいい子で少しずつ私に懐いてきた。
だが、ある日から様子が変だ。
午後12:00〜13:00の昼間にかけてみぃちゃんは凄く警戒したり悶絶するのだ。
はじめは気のせいかなと思ったが、これが3日も続くと流石におかしいと思い、獣医に診てもらった。
田舎なので動物病院はそこにしか無い。
室内は真っ白というよりは落ち着く茶色で出来たまるで誰かの家のような作りだ。
先生は好かれているようで子供からのお手紙や似顔絵もあったり安心する。
だが、不可解なことに先生にみぃちゃんの様子などを診てもらっても、『いやぁ〜みぃちゃんご飯も食べてるし異常もないけど、まだ保護したばかりだから警戒してる部分もあるのかな?猫ちゃんはストレスに敏感ですから〜』
とだけ。
特に処方箋もなくその日は返された。
大きな病気もないようで安心した。
次の日。
やはり同じ時間にみぃちゃんは行動がおかしい。
毛がピーン!と立ち、耳が震えている。
ん?耳?
私はライターをしているので音楽などはかけないで作業をしている。
あたりは田舎でトラックが通るくらいの音しかしない筈。
ではなぜこんな敏感に?
第五話『坂道』
私はあらゆることを考えたが、やっぱりわからず
娘さんにもかつてそのようなことがあったのか電話で聞いてみた。
『みぃちゃんの様子が変で異常に怯えたり何かに敏感になっているのですが、たった一時間くらいなんですよそれが起こるのは。前もそのようなことはありましたか?』
娘さんは『いえ、、まったくそのようなことは、、、確かに音には敏感でした。バイクの音などは凄く嫌がっていて逃げちゃったりしましたけど悶えるような事はなかったです。』
では何でみぃちゃんはこんなにも震えて怯えるのか。
謎を抱えたまま私は晩御飯を買いに近くのスーパーの惣菜屋さんに行った。
私は自転車でスーパーに行きますので行きはスーパー側、帰りは交番側を走ります。
その帰り道です。交番付近に数々の張り紙が貼ってあった。
こういったものを観覧しておくとみぃちゃんの手がかりになると思った。
ひったくりや行方不明、バザーや道路補正のお知らせなどごくありふれたものだと思った。
そのまま帰りにキツイ坂を通らねばならなくて毎度の事息切れがすごい。
運動しないとなーと思いながらこの坂を自転車で登るとぷつぷつと音が聞こえる。
何の音だろ?
田舎には住んだことがないため全くもってわからない。
坂を登り終えすぐの場所に我が家がある。
スーパーで買ったばかりのキンキンに冷えたビールを片手に簡単なパスタを作り、惣菜を頬張る。
みぃちゃんは落ち着いていた。
よかった。そう思った。
次の日仕事の関係の書類をこの時代なのに、郵送しろと言われまた郵便局まで自転車で。
上り坂がきついと言う事は、下り坂は急なのだ。
子供の頃は大好きだったものが、なぜ大人になると怖くなるのか不思議なものだ。
郵便局はスーパーに比べたら近いので余裕だ。
郵便局に着いたのは12:30、割と人が多い。
さて、帰ろうとまた坂道を登る。
何で急なんだ、、この坂道余裕で上がれるようになったら筋肉もりもりになるのかな、、、そんなことを考えていると、昨日と同じ場所でプチプチと昨日よりももっときつい音で私を悩ませた。
『なにこれ!?超音波?』
でもこれ未成年とかが効くアレだよね?と思った。
昔よくデパートなどの駐車場で聞いたことある、いやーな音だ。
ひょっとして、、、、
私は考えた。
(続)