音楽とわたし

 音楽は、音を楽しむ、それだけだろうか。

  



突然だが、私は、音楽に囚われている。


現在所属しているサークルが音楽系サークルで、めっちゃ忙しいとか、そういう話がしたいのではない。

今までアニメ、漫画、実況者、お笑い、ジャニーズ、いろんなジャンルを齧ってはオタクしてきたが、全て冷める「瞬間」がある。

時間対効果を感じられなくなる。これ追ってる時間があるなら、他の事しようとか、見てる途中でもなんかいいやってなる。

そんな私でも、ずっと追いかけ続けているものがある。


それが、音楽だ。


"人"を推したことがある人は、有名になって見方や楽しさが変わってしまうという経験を1度はあるのではないだろうか。

分からない人は調べてもらっても調べてもらわなくてもいいが、私は「自称日本TOP4(通称TOP4)」が高校生のころとても好きだった。彼らが行った最後のイベント「LEVEL5(@さいたまスーパーアリーナ)」には何とかして親を説得させて足を運び、FFさんとエンカしたり、現地でグッズを当時の貯金全額(7~8万くらいだったかな)使った。絶対手を出さないと心に誓ったメルカリも使った。もちろん購入側である。それでもLEVEL5が終わって円盤化されそれらのグッズが届くころ、私は冷めていた。

彼らのやり方は変わっていないのだろうが、彼らの若年層人気を数字やコメント欄で見る度冷めてしまった。端的に言うと嫌儲厨というか、雰囲気が私はだめになったとか、そんなところだと思う。



とにかく、"人"を推すと、その人自身は変わらなくても、その人の周りの環境や同じ応援者の変化、身勝手にも私自分自身の変化で推さなくなる。



その点、"音楽"は違う。


たとえその"人"を嫌いになっても、この世の中ほかの音楽なんて溢れかえっている。昔聞いてたアーティストや音楽を聴きに帰ってくる。新しい音楽に触れてみる。"音楽"というコンテンツは流動的であり、不動なのである。めんどくさい言い方をした。帰ってきたいときに帰ることのできる、動かない実家のような。たくさんの小川からなる大きな河川のような。……なんかずれてきた気がする。


音楽を追い続けるといっても、いい音楽を追求しているとかそういう演奏者精神ではなく、ただ救われ続けている。本当に救いが欲しいときに、手を差し伸べ続けてくれる。この世に存在する唯一の理解者だと思っている。実際はそんな都合の良いものじゃないが。


とにかく、私は結局いつも帰ってきてしまうこの音楽が、憎くて仕方ない。


自分がずっと何もできなくて、辛くて、どうしようもないとき、涙が出てくることがある。私はそんな経験を人の数倍、いや数億倍したことがあるから分かる。泣いてもどうしようもないから、って立ち直るときもあった。それでもまだ出来なくて、もう涙も出なくて、それでも人と比べて、結局涙と自分への嫌悪しか出なくて、しんどい時がある。人に相談しようにも、「私が頑張ればいいから」が最善で1番適切な答えなのだが、それが出来ないからうずくまっている、そんな時、黙ってその時頭に流れた曲を流す。

作曲者作詞者シンガー誰も私に寄り添う気持ちなんてないのに、誰のどんなアドバイスより刺さる。刺さった気になっている。なれる気がする。自分は何も変わってないのに、変わったと惑わせて、明日を迎える。立ち上がるために手を差し伸べてくれるが、歩くために手を引くことまではしてくれない。無慈悲で、厳しくて、優しい。いや、優しくない。音楽の限界なのか、私の怠慢か、でも音楽のそういうところが大好きだ。まだ私は歩けていないけど。


そうやって救われた夜が何度もあるから、私はまだ生きている。


人生を物理的にも精神的にも一番支えてくれたのは音楽だし、家族の次に感謝している。


どんなにサークルで歌う曲に義務を感じても、歌詞を暗記しないと採点でチームの人に迷惑をかけるというプレッシャーに身体を崩しても、中学校からずっと同じ曲を聴いていて支えられているのか自分が成長していないのか分からなくなっても、音楽が大好きなのだ。

そんな辛さも救ってくれるのは音楽だけだから。私と一緒で時間を経ても変わらずここにいる(私は変われないだけだが)のは音楽しかないから。私も音楽のように、誰かを必要な時に救うような、人生応援ソングとかそんな希望を振りかざす歌じゃなくて、どんな曲でも無条件で誰かの光になれる歌、そんな歌が歌いたい。順位付けとか、外部のステージ発表で目立ったりとか別にいらないから、「本当にしんどかったけど、もう少しだけ頑張ろうと思えるようになった」この一言だけが欲しい。外部ですることでオーディエンスの分母が増え、救われるかもしれない人が1人でも増えるかもしれない、と言われたら本気で目指すが……あいにくそんな外部へ行ける予定はない。外部に行くには上位を目指さないといけないし、上位に行くには実力が足りない。



聴いていた曲には当時の思い出も乗っかる。ぼくりりやハニワ、Perfumeや嵐は私の中高を支えてきた人たちである。いまだに当時聴いていた曲を聴く。あの時は自習室で勉強しながら聴いて頑張ってたな、とか、思いを馳せる。過去の栄光に未だ縋って生きている。モテない男の特徴である。マイメロのママが言っていた気がする。話が逸れた。というか、人生という道を照らす街灯がその過去しかないのである。いつか記憶が全て飛んでも、何かのメロディを思い出して涙したい。ちなみに、そんな私の下の名前は、親が音楽と絵が好きな女の子になりますように、と込められているらしい。やっぱり、私は音楽に囚われている。


とにかく、苦しめる原因も、楽にする薬も、音楽なのである。


幼稚園(それより前?)から音楽に触れて、レッスンにも通ってきてここまで何も楽器が出来ないという夢も希望もない、十何年の努力(はしてないと言えてしまうが続けていたという過去だけある)が泡となった人間だが、これから一生音楽と共に生きて、死ぬ時も何かの曲と過去を思い出しながら死ぬんだろう。




その時に見られる景色が心底楽しみで。

ー ヨルシカ 盗作




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?