土曜のドライブ
土曜の午後、私は家族の住む家に向かっていた。
大きな公園がある閑静な街を抜け、渋谷駅を横切り、皇居ランナー横目に車を走らせた。東京タワーもスカイツリーも見えた。
街によって、人々の装いも、歩く速さも、表情も全然違っていて面白い。
この時間がすきだ。
かれこれこんな時間を持てる期間が2年弱あった。
自分にとって特別な時間だった。うまく言葉にできないけど、表参道の交差点を渡る人に紛れていた学生時代を思い出して、もう戻れない自分に胸がギュッと切なくなったり、将来自分がこの街で暮らすことを想像してわくわくしたり、、、
このドライブ中にしか生まれない感情があった。
自分と向き合える時間。
自分がすきなことに気づける時間。
そして、車が行き着く先には家族がいた。
父、母、弟、妹がいて、他愛もない話をした。
見慣れたテレビがついていた。
懐かしい味の料理が出てきた。
ベランダからは空が大きく見えた。
電車の音が聞こえた。
畳で母がゴロゴロしていた。
キッチンでは父が料理をしていた。
気がつくと母も台所にいた。
弟がジムから帰ってきて、大きな身体でテレビの前の椅子に座っていた。
妹はキッチンに近い椅子に座っていた。
7年しか暮らしていない家だけど、
みんな自立し、心に余裕が生まれてからの時間を過ごした家。
同じ人々が集うけど、実家とはまた違う時間が流れる家。
大切な家。大好きな家。
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