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一年前の自分に救われる

一年前の今頃と言えば、私は無職で、朝から晩まで文字通り自分のためだけの生活を送っていた。

この年は、春に愛犬に眼の病気が見つかり、片目の視力を失ってしまい、10月末に手術・入院を控え、自分自身のことでは感じたことがないくらいの不安や心配で落ち着かない日々が続いていた。
それまで勤めていた職場を辞めようと決心したのも、ちょうどこの頃、愛犬の病気が発覚したタイミングだったように思う。

以前から憧れていた業種に飛び込んでみたら、人間関係や人手の足りなさなど、ギャップと慌ただしい毎日に心も身体も疲弊しきってしまっていた。
今振り返ると、この時期が人生において一番辛い時期だったように思うが、頭をフル回転させながら働いていた経験自体はキャパが広がったというか、自分の中でプラスになった気もするのだから、人生はうまくできているのだと思う。

自分のためだけの生活、とは言ったものの、家族の力添えもあり、愛犬の手術の成功と快方へ向かうように全力を注ぐべく、自分の心を煩わせる他の全てのものは思い切って投げ出すことにした。


そんな、もうすぐ手術、という頃にいわた書店さんの一万円選書の包みが届いた。

北海道砂川市のいわた書店さん


多数の応募の中から当選し、その後選書カルテなるものを書き込み、いわた書店岩田さまとのメールのやりとりののち、この贈り物が家に届いた時のなんとも言えない胸の温かさは今でも忘れられない。

選んでもらった本はもちろん、数件のメールに、一緒につけてもらっていた紙のブックカバーや包み紙だって今でも大事に大事にとってある。
加えて、自分がカルテに書いた内容の下書きもiPhoneのメモに残していた。
すっかり忘れていたのだけれど、ふとこの下書きを読むことがあり、私は一年前の私に救われることになった。

これまでに読んで印象に残っている本を何冊か挙げたり、選書の参考になりそうなことを自分で自由に書いたり、いくつかの質問に答えたり…
自分と向き合う時間と余裕はたっぷりあった私の捻り出した長ったらしい回答はもちろん割愛するが(iPhoneのメモを見ればいつでも分かる)、読み返してみて、過去の自分に共感したり感謝したりすることになり驚いた。

ひとつだけ、これだけはしないと心に決めていることはありますか?という問いに対して、自分の中で罪悪感や深い後悔が残ることは絶対にしないと心に決めている、「未来の自分は許せるだろうか?」というようなことがふと頭に浮かぶ(意訳)と答えていて、あぁ自分は結構ちゃんと自分のために生きていたんだな。ということを思い出した。


愛犬の元気さには励まされる


日常の喧騒に埋もれそうになりかけていた折に、凪の心を取り戻し、気持ち良さそうに眠る愛犬の傍ら、まだ手をつけていなかった選んでもらった本を捲る。


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