渡邉美穂の付けた火に照らされて
渡邉美穂さんの卒業が発表されちゃった。
「されちゃった、あーあ。」という感じ。
「意外」じゃなくて、ついに来たかっていう感じだ。
美穂ちゃんが、強い芯を持ってて、それを前面に出して走っていたから、早かれ遅かれこうなるとは思ってたが...やっぱりさみしいね。
すごいんだよ、渡邉美穂は本当に。という話。
なんでアイドルは卒業をしなければならないのだろうか。
卒業なんかしなければいいのに!
本当に卒業はめでたいのか...?
日向坂を見ていると特にそう思う。
本当にメンバーといるのが楽しそうで、みんなメンバーといる時が1番輝いて見える。大好きな人たちに囲まれていると、その空間が心地良すぎて、そこに浸ってしまう。
松田好花が、インタビューで「何年か先、十年先を考えたりすることってありますか?」と聞かれて、こう答えていた。
美穂ちゃんは、日向坂46で『もうここまでやったから、悔いはないな』って思ったのだろうか。
美穂ちゃんは、間違いなく日向坂46で一番速い。足ではなくて、アイドルとして駆け抜ける速度が速い。(まあ、足も速いんだけど)
グループに加入して1ヶ月弱で、けやき坂46初主演のドラマ『Re:Mind』へ参加することとなる。
ドラマの出演オーディションで見せた抜群の演技力で出演権を勝ち取ったにもかかわらず、ドラマの撮影では、自分の不甲斐なさを思い知り、自分のメモに「つらい」「やめたい」「逃げたい」との言葉も綴った。2期生で一番最初に脚光を浴び、一番最初に芸能界の荒波に飲まれたのが美穂だった。
グループで最初に写真集を出したのも美穂だった。2期生で最初に全体曲でセンターになったのも美穂。なんでもできる美穂はなんでも1番。
「埼玉が生んだ怒涛の起爆剤」は大げさでもなんでもなかった。確かに美穂が導火線に火を付け、力強く走っていた。
初の2期生曲『半分の記憶』のセンターが自分だと発表されたときに小坂は、「ダンスも歌もうまくてみんなから信頼されている美穂がセンターだったらよかったんだろうな」と思い悩んだ。
メンバーだけでなく、演出家、スタッフなどの周りの人からも常に、「美穂は何でもできるんだ」と思われていた。
その反面、美穂は常に「できなければならない」というプレッシャーと戦っていた。
美穂の中の負けず嫌いな部分と、実は心の内に抱えてる弱い部分とプレッシャー。それが美穂を追い詰めることもあった。
そんなことを繰り返している中で、どんどんと打たれ強くなり、こう述べている。
誰よりも前へ前へと進んでいるから、自分のできないことが見えてきてしまって、理想と現実のギャップに苦しめられてしまう。
だが、そのギャップを力強く克服してどんどんと走り続ける原動力へ変えていく。
やっぱり、美穂はかっこいい。
どんどんと飛び出した美穂は、2021年1月、初主演ドラマを掴み取る。
そのドラマ『星になりたかった君と』の現場へ臨む気持ちをこう答えている。
心地の良いグループが大好きで、そのグループに誇りを持っているからこそ、パイオニアである自分の“外”での立ち居振る舞いにプレッシャーと責任を感じる。
そんなパイオニアの美穂が、大好きなグループでやりたいことをやり切って、羽ばたくことを決意した。
埼玉の起爆剤は、また誰も通っていない新しい道を切り拓くことを決意した。
この巣立ちは、めでたいのだ。やっとわかった。
美穂の次の夢はなんだろうか。憧れの二階堂ふみさんのような女優になることだろうか。はたまた大好きなバスケ関連の仕事だろうか。
常に挑戦をし続け、歩みを止めない。
そんな美穂になら、なんでもできる気がする。
果敢に挑戦し続ける美穂はかっこいい。
内包している弱さも不安もしっかりと抱えているからこそ美しい。
日向坂46はアルバム『走り出す瞬間』からどんどん大きくなって、高く飛んで、遂に、小高い丘の約束の彼の地まで届いた。そこで、「ここまで来たぞー!」と胸を張って叫んだ美穂は、日向坂46の第2章へ1番最初に走り出した。
1番日向坂46のことをわかっているキャプテンがこういうなら、仕方がない。
さみしいなんて言って、美穂に甘えていられない。
次に美穂が何をするのか、その『走り出す瞬間』を笑顔で見届けたい。