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しばふって、いいな!

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レオーネ・アデルソン/文
ロジャー・デュボアザン/絵
こみや ゆう/訳
瑞雲舎
本体価格:1,400円+税

森に立つ木のてっぺんからのながめって、どんなもの? しげみの中のカエルの巣からのながめって、どんなもの? きっとどちらも、緑が青々としているのでしょうね。緑の中での楽しみといえば、ピクニック、かくれんぼ、スキップ、土手すべり。「楽しいことをするなら、しばふの上が一番」と、子どもなら、だれでも知っています。

この本のおもしろさは、そんな緑の中への冒険に読者をいざなってくれることです。この本は、ぜひ、声に出して読んでください。文のリズムやユーモアは、きっと子どもだけでなく、読んでいるおとなも楽しい気分にさせてくれます。また、機知に富んだ構図と鮮やかな色合いの絵は、子どもの心を伸びやかにし、気持ちをリラックスさせてくれるでしょう。
(カバー前そで「内容紹介」より)


ロジャー・デュボアザンの初邦訳作品です。芝生(草)を遠目、近目とさまざまな角度から観察して、普段、私たちが何気なく見ている草の美しさ、多様性を改めて提示してくれます。そして「あぁ、やっぱり草っていいなぁ」「緑っていいなぁ」と、再認識させてくれるのです。デュボアザンの絵がどのページもとっても素晴らしい!

読者である子どもたちには、こういった身近で素朴な自然の美しさ、豊かさ(センス・オブ・ワンダー)を幼少期の頃に存分に味わってほしいし、しっかりと認識してほしい。そういったよろこびが幼少期からしっかりと心に根付いていれば、だれが将来、地球を汚そうと思うでしょうか。

昨今、プラスチックごみの海洋汚染の問題がクローズアップされていますが、大人の都合で生まれた環境汚染の現実を子どもたちに知らしめるよりも「これがあるって、しあわせだね」という肯定的な理想を見せてやることの方が、子どもにとっての何よりの環境教育にならないでしょうか。

と、まあ、そんな理屈は抜きにして、この本を読んだら、子どもたちといっしょに外へ飛び出して、裸足でしばふの上を走りまわりましょう!

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