障害はどこから来るか?「コウモリ問題」
モノづくりにおいてファンクション別に設計担当がちゃんといて、その中ではちゃんとデザインされています。車で例えるなら、デザイン担当、エンジン担当等々・・・。それぞれの部署には経験豊かなエキスパートやマネージャーがいるわけですから、問題というものは事前に潰されているものなんですよね。過去のトラブルも知識として蓄えられているので、問題発覚・調査・対応が早く、ダメージも最小限に抑えられることが多いです。
では、ちゃんとやっているのにもかかわらず、時々大規模な障害が発生し、問題解決に長期間を要してしまうのはなぜなのでしょうか?そして、障害の原因はどこから生じるものなのでしょうか?
それは各部署の「はざま」からやってきます。ブロックを組み立てるみたいに工業製品は出来上がるものではなく、高度にインテグレートされたものでなければ、品質とコストのバランスが取れません。しかし、そのように各コンポーネントを複雑にインテグレートした製品は、責任部署が曖昧な要素が出てきてしまいます。それはさながら、哺乳類と鳥類の間を行ったり来たりしたコウモリのようです。
どっちなのかわからない、ということを認識しているのなら、問題として顕在化しているということですからまだマシでしょう。
一段階悪い例ですと、哺乳類チームはコウモリを鳥類だと思い、鳥類チームはコウモリを哺乳類だと思うことから、誰も面倒を見ないで放置されてしまうことがあります。野球でいうならポテンヒットのようなものでしょうか。
このコウモリ問題は古くて新しい問題です。新しいことをやろうとすれば、常に既存の分野・部署と空白地帯が発生しないような配慮が必要なのです。