健康診断DXで受診率100%を目指すには
(このエントリはiCARE Advent Calendar 2021 の1日目です)
こんにちは、iCARE CS Ops部長の金原(きんぱら)です。
これまで、健康診断 DX、ということで2回記事を公開してきました。今回も健康診断のことですが、DXからはちょっと外れて、本質に迫ろうと思います。
直近ではざっくりと表現すると
10月:とにかく機能実装、11月に間に合わせる
11月:ユースケース別のオペレーション課題把握、最適化
みたいな事をやってきまして、引き続きCS Ops、開発メンバー一丸となって取り組んでおります。
この、特にオペレーション課題の解決を考えるにあたり、改めて原点回帰というか本質を忘れないようにしなければと思っていたのが、
事業者は、労働安全衛生法第66条に基づき、労働者に対して、医師による健康診断を実施しなければなりません。また、労働者は、事業者が行う健康診断を受けなければなりません。 厚生労働省資料
というところです。
そうです、企業の健康診断は、法律により定められたやらなければならないことだということですね。ただそうは言っても毎年毎年100%完了することが難しいのは、企業の人事労務担当者の一番の課題であり続けている(と多くの企業の方から伺っております)ことからも証明されていると考えています。
やらなければならないことだが従業員全員を巻き込んで100%実現するのが難しい、どうすれば人の行動を促すことができるのか?
あれ?人の行動を促す、なんかありましたよね?ということで積んでいたのがこちらの書籍。
Webマーケをしていた頃にも行動経済学は少しインプットをしたんですが、直近で職域摂取のお手伝いをした際にも、医療においての行動経済学って科学されてるよね、なにかに活かせそう、というきっかけで積ん読しつつ少しずつ読む中で、改めて健康診断がDXの恩恵を享受する世界を実現するにあたって必要なインプットだなと思った次第です。いくつか取り上げていきますね。
伝統的な経済学理論の限界
本著にも何度も何度も(本当に何度もw)出てくるのですが、伝統的な経済学理論においては、人間は合理的に判断し、選択可能な生き物であるとされてきたが、実態はそうではない、という前提があります。これは健康診断の受診までの一連のプロセスでも発生していると思っていて、順番に解決していくことができれば素晴らしいんだろうと思っているわけです、はい。
もう少し具体的に言うと、今Carelyが提供している健康診断運営における解決可能領域は"予約"以降なわけです(今後の注力領域はまだ内緒ですが)。Carely上においては従業員の方が予約することがスタート地点、ここが動かないとあとに続くものがない、という捉え方もできるわけですね。
企業の健康診断に求められるもの
原則受診率100%、が求められる企業における定期健康診断、そしてそのゴールは労基署への報告であり、健康保険組合への補助申請です。そのゴールを年度末に向かえるために、年度のアタマ、いやそれ以前から人事労務のご担当者さま、あるいは保健室の皆さまが創意工夫を積んでいくわけです。
障壁となっているものは何か?
ご自身で体調不良な時や検査が必要な際、医療機関の予約をご自身でされた体験は比較的皆さまがお持ちだと思います。今ではスマホで予約が簡単にできたり、順番待ちができたり、楽で簡単ですよね、予約の煩わしさが理由で医療機関に行かない、ということは無いと思います。まさにDXの恩恵を受けているわけです。
ではなぜ企業の定期健康診断になった途端に、全員が受診する、が大変になる理由は何なのでしょう?
仮説1:自分のタイミングで予約できない
これは以前の記事でも言及しましたが、受診したい日時の希望を伝えてから1ヶ月後に、希望もしてない日程を告げられる。という体験が残念ながらこれまでの健康診断においてあった事実です。また、そうはいっても年に1回のイベントで、かつ多くの場合においては企業側で日程を決めますので、「そろそろ行くか」というきっかけを従業員側で作れないということもあります。
仮説2:受診しても・・・
今回取り上げたいのはこちらの仮説なんですが、こんな事を書くと怒られるのですが、「健康診断を受診してもすぐに健康になるわけではない」という事実があります。でも事実ですよね?あくまでも、受診した時の状態が分かるだけで、健康状態が改善をするわけではありません。
ではなぜ受けるのかというと、健診結果でリスクがあると認められた場合、その結果をきっかけとした事後措置が行われ、就業制限や適正配置が行われます、これこそが企業の健康診断が労働安全衛生法で義務付けられている、求められる行動そのものなわけです。
つまり、受診してすぐに健康になるものではないが、将来、継続的に健康に働き続けるためには毎年受診し続けたほうがよいということです。ただ、そういう仕組のものなのである、ということを従業員の方は認識していないわけです。
行動経済学的に読み解くと
現在バイアス、というものがあります。これは簡単に言うと「遠い将来の事は合理的に判断できるが、近い将来の事は合理的に判断できない」ということです。
たとえ話でよくあるものとして「今1万円をもらうか、1週間後に1万100円をもらうか」と「1年後に1万円をもらうか、1年と1週間後に1万100円をもらうか」というものです。経済学的に合理的な判断をすると、どちらも金額差も日数差も同じなので金額の多い方を選ぶはずなのですが、「今」だと判断を誤って後者では1年と1週間後に100円多い方を選びますが、前者では100円少なくても今を選んでしまう、ということです。1万円欲しいですもんね、私も欲しいです。クリスマスプレゼントは1万円をリクエストしようと思います。
健康に関することで言うと「遠い将来に始めるダイエットによって得られる健康価値は大きく感じるが、今日の夜からストイックな食事に切り替えて、高カロリーな美味しい食事をやめることはしない」ということになります。
健康診断受診行動における現在バイアス
人事部からの健康診断受診勧奨は「来月の健康診断を受ければ適切な事後措置が行われて将来継続的に健康に働ける」という本質的な、しかし遠い将来のための出来事を伝えられているわけですが、従業員としては近い将来の出来事として捉えられます。つまりなぜ来月も忙しいのに貴重な時間を使って医療機関まで言って不味いバリウムを飲まないといけないのかと捉えるということです。
これを来月、不味いバリウムを毎年飲み続けることで継続的に健康に働ける環境を手にすることができるというふうに変換ができれば良い訳ですね。健康に働ける将来を手にすることができると思えば、日程を調整して予約もしますし、受診報告もするのではないか。
幸い、行動経済学においては現在バイアスを変えるための手法がいくつか定義されています、それをCarelyでの健康診断予約で実装すれば良い訳です。ここまで来たら後は仕様を決めて実装するフェーズですね。これは楽しみ。
さて、このiCAREアドベントカレンダー、明日はBiz Devの草薙裕さんで、テーマはZ世代系です!ご期待ください!
最後に改めてのお知らせです。
iCAREでは一緒に働く方を募集しています。
直近では3つのポジションが急募となっています。金原とともにカスタマーサクセス組織をぶん回してくれるマネージャーと、プロダクト開発ロードマップをやりきってくれるエンジニア、そしてセールス部長、この3つの採用に注力しています。
エンジニア
iCAREは今、エンジニア不足による開発遅延に直面しています、弊社のリーダーマネージャー職以上の人間に経営課題を3つ聞いて、この「エンジニア不足による開発遅延」が出てこない事案を発見しましたら金原までご報告ください。そんな大人、修正してやりますので。
カスタマーサクセスのマネージャー
必ずしもCS経験者だけに限定していません。エンタープライズ企業におけるプロマネ、クライアント課題を明確にして、業務フローの中でプロダクトの活用を提案・推進をしていくにあたって、toBのビジネス経験が大きく活用できるポジションです、ぜひ一度お話しましょう! #ラー面接 も大歓迎です!
セールス部長
今、iCAREはエンタープライズ企業の受注を大幅拡大中です。法人営業経験をお持ちで、急成長ベンチャーで思いっきり知見経験を発揮していただける方、ぜひお話をしましょう!
金原としましては、いずれのポジションの方ともお話したいですし、社内の関係するメンバーにお繋ぎしたいと考えています。で、弊社ではiStand Bar(事前申込制、無料でお酒軽食をお楽しみいただけます)も開店してます、社内の雰囲気、人に接することができますのでお気軽にお申し込みください、meetyにて受付しております。次回は12/10(金) 20:00から弊社恵比寿オフィスです!
カジュアル面談からでも歓迎です。下記リンクよりエントリーください!
(どちらからのエントリーでも歓迎です)