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OneShot感想(switch版)[ネタバレ有]

ゲームアンケートに答えてくれというメールがあり振り返る機会があったので、感想を書きたいと思う。

なお、OneShotはSteamゲームであり、2022年にswitch版が販売された、
名前の通り「一度きり」のRPGである。
ネタバレを見るとゲームを楽しめなくなってしまうことに直結してしまうのでご注意いただきたい。




以下感想






前提知識
ゲーム内主人公:ニコ(猫耳帽子の子供)
ゲーム外主人公:神(プレイヤー)。2つ上の次元の存在。
作者:ゲーム内キャラの1人。1つ上の次元の存在。
制御化:最重要用語。プログラムされていないことを作り出して実行する創られた存在の進化形態。自分自身に疑問や不満を持つロボット。
WorldMachineEdition:Steam版以外のバージョン。実機の代わりに仮想PCがゲーム内にあるタイプ。

評価・感想基準
ゲーム内のみ。
例えばこの記事の不満点や謎がゲーム外(例えば作者発表など)で解決していたとしてもそれは加味しない。


結論 60点

結論からいうと、ゲームの面白さは60点ほどである。
シナリオは理不尽
システムは肩透かし
ビジュアルは微妙

ちな、TUNIC、Keenは90点

Nihilumbraは80点

モン勇は70点(セール時100円)

を想定している。
約3時間半で完走。


ビジュアルは微妙

出典:https://store-jp.nintendo.com/list/software/70010000051303.html
neShotって何?
というデザインから不安は少しあった。

初めに
ビジュアルとはキャラクターはもちろん、マップデザインやUIを含む。

出典:https://store-jp.nintendo.com/list/software/70010000051303.html

キャラクター

ビジュアル的に大きく分けると
人型ロボット
鳥頭人間
異形頭人間
人間
植物型人間(1人のみ)
狐型動物(1人のみ)
動物
がいる。

動物以外は全て会話ができる。
なぜこのような姿なのか作中説明によると「ゲームのNPCだから」に過ぎず、それ以上の意味合いはない。
だから自らの危険があっても鳥頭人間は空を飛ばない。能力は皆等しく
「ニコと会話をする」のみである。
このビジュアルの違いで偏見や差別といった問題はないし、全員同じ姿でも何ら問題はない。

世界崩壊数日前ということもあり、ポジティブな奴はみんな気が狂ってるし、それ以外は気落ちしている
ニコの「太陽を戻す」という行動に意味がないことを全員が知っており、
ニコにもそう諭す。

愛着が湧くのは難しい。
真EDで全員を救ったが「希望」というより「明日からも続く日常」というような会話しかせず、ゲームクリアした意味を考えさせられる。

ニコが何故猫人間の姿なのかは作中で語られない。
ニコの世界では4つ足は猫、2つ足は人間らしい。偏見すごそう。
他のNPCが軒並み愛着が低すぎるので、相対的にニコが一番愛着持てる。


マップ

出典:https://store-jp.nintendo.com/list/software/70010000051303.html
この紫色の画像ファイル柄のものはプレイヤーがマウス操作しないと取得できない。

かなり迷いやすい。
「ファストトラベル」という一度行った区域へジャンプする機能があるので、それでまあなんとかなる。
名前と場所が頭の中で一致しにくいというのもあり、ゲーム内で案内されていくというよりは総当たりして暗記するというようなマップである。

物語上必然ではない部分も多く、上記画像のような収集アイテムがある。
この収集アイテムの場所はどこにもヒントがなく総当たりする以外にない。
キャラクターと会話を何度もすることで発生することもある。
また、ちょうど上記画像部分だが、奥のトンネルに一度入ると
自動セーブの上このマップには戻れない

私はこの収集物の回収が3周目までできなくなってしまった。

UI

出典:https://store-jp.nintendo.com/list/software/70010000051303.html

switch版では仮想PCである「ワールドマシン」の起動から始まる。
ニコがいる世界はその中のアプリの1つを起動すると表示される。
Steam版と違って最初からゲーム内ゲームであることがわかっているのが少々残念である。
ワールドマシンを操作するには右コントローラー
ニコがいる世界でニコを操作するには左コントローラーを使用する。
これはとてもワクワクした。
だが、開ける窓数に制限があったり、開いている窓を一気に最小化するボタンが画面右下のみに存在していたり、普段からPCに慣れ親しんでいる私としてはそういったショートカットキーが使えないのが残念に思えた。

1周目終盤ではこのウィンドウを重ねて迷路を突破する仕組みがありとても面白かった。
ゲーム内収集物でこのUIの色や壁紙を変更することができる。


と、ビジュアル面に関しては以上である。
無意味や不便を残したままの発売となり、フリゲーだったら許されるが・・・
という感じ。
2016年発売(Steam版)から6年近く立っていてこれらが解消されていないのはなんともお粗末を感じずを得ない。
(ワールドマシンエディションの開発期間はもっと短いだろうが)



システムは肩透かし


第四の壁システム

トレーラーの通り、プレイヤーは第四の壁を超えてゲームに干渉することができる。
プレイヤーの行動がキーになっており、章から章へ繋ぐ重要な役割を担っている。
だが、それだけである。

やれることは
ドキュメントを見る
ファイルを削除・移動する
に集約され、それの活躍機会はそれぞれ2回ずつぐらいしかない。
ゲームの9.5割はニコを操作すること。

ひやむぎの中の色付きの麺を特筆点として紹介されたようなものだ。

このゲームの元凶である「作者」と力を合わせて原因の「ワールドマシン」をゲーム外でも追い詰めていくスーパーハッカーのようなことができるゲームだと期待していたが、期待外れだった。

ニコとは何なのか?

出典:https://store-jp.nintendo.com/list/software/70010000051303.html

そもそも、ニコを自分で操作できる点も謎だ。
ニコが勝手に身体が動くと自覚しているならまだしも、何の疑問もなく自分で選んだ行動だと信じてゲーム内を動いている。
それでいて、ゲーム内で解決できないことや、
1周目最後の「世界か、ニコか」の選択は神(プレイヤー)に頼る。

2周目ではそれに気づくことを期待していたのだがそれに触れられることはなかった。

第四の壁を超えたニコ

1周目のニコENDや真ENDで文字通り、
世界の枠を飛び越えて元の世界に帰っていくニコ
の演出には感動した。
だがこの演出はこの2回しかないし、それぞれに違いはない。

3周目にニコはいない

真エンドを迎えるとニコはゲームに存在しなくなる。
ニコの代わりに記憶の中のニコを再現したワールドマシンが
ニコの真似をして冒険に付き合ってくれる。
実質ニコのドットがワールドマシンカラー(くすんだ色)になるだけ。

ニコが1人しかおらず代わりはいない。というメッセージと同時に
別れた彼女の代わりに彼女の真似をしてくれる都合のいい存在に依存している神(プレイヤー)という構図になり、大変憤りを感じる。


システム面は以上である。
こうして文面に起こすと文章以上のものがあるのではないかと妄想を膨らませると思うが、これ以上の事はない。
嘘は言っていない(本当のことも言っていない)をされた気分。


シナリオは理不尽

出典:https://store-jp.nintendo.com/list/software/70010000051303.html

バグった世界に救う価値はあるのか?というゲームのお題

最終的にこのゲームの終着点はこれ。
価値はあるだろうけど、お前(ワールドマシン)の世界は価値ないよ。
というのが正直な感想。
そもそもこちらは人質取られて無理やり協力させられてるんだから拒否権はないよ。

やらされているのに意味がないと言われる

ニコは拉致られたので元の世界に戻るために無理やりやらされる。
神はそのニコを救うのとゲームを完全クリアするためにやらされる。

前述の通り、NPCらはニコの「太陽を元に戻す」ことに意味がないことを
知っており、危疑してニコに伝えている。
要は「お前の行動は無駄だ。期待もしてない」と言われ続ける。

ここに虚無のお使いゲーが爆誕する。


ニコは理不尽を飲み込む。

2周目で自身が再召喚されたことを知らされる。
せっかく元の世界に戻った(かもしれない)のに。
「どうしてまた召喚したんだ!」のニコの問いに神が取れる選択肢は「…」
のみである。

最終的にニコは「神様はミーと世界両方救いたいんだね」
という結論に落ち着く。
NPCから理不尽に扱わられ、神からも理不尽を受ける

ママのパンケーキが大好きな子供にこれをさせる意味とは。

ニコはワールドマシンを制御化させて原因である鬱から脱却させて
世界の四角形(バグ)を直させていくことに成功する。
でもそれもすべては自分が自分の世界に帰るためだけ

理不尽を飲み込んで、自身の本当の願いをかなえるために奮闘することを
子供のニコは習得したのだった。

感謝されない英雄

真エンドを迎えると、2周目で死んだネームドキャラが復活して各々と対話していく。
これらネームドは感謝を言葉で表すものの、それに希望を感じ取れない。
変わらず日常が続いていくというゲーム内のNPCの枠に収まる

難解なシナリオ

パズルが難しいとか、用語が難しいという話ではない。
まず、次元の叙述トリックがある。

ニコがいるゲーム世界 < 第四の壁 < ワールドマシンや作者がいる世界

神(プレイヤー)はどこにいるのかというと、それのさらに上の次元にいることが判明する。
ワールドマシンのいる次元自体がゲームの1つでしかない。
そしてそのワールドマシン自体はニコの数千ある夢の1つでしかない。

ニコがいるゲーム世界 < 第四の壁 < ワールドマシンや作者がいる世界 < 神             |
                                                              |        |コントローラーを握っている現実世界の私
                                  ニコの本来の世界 |
                                            ↑----これはミーが見ている夢┛
  1. 「作者」の世界は滅亡寸前でその世界の全てを数値化したワールドマシンが誕生した。

  2. 開発途中にワールドマシンは意志を持ち(無自覚で制御化している)、作者を困らせるためにバグを捏造した。

  3. 作者の度量を超えたバグがどんどん増殖していきワールドマシンはバグに侵蝕される。

  4. ワールドマシンは鬱状態になり、作者が想定していたハッピーエンドをバグで喪失。自壊する方向に向かう。

  5. 理由不明だが神がOneShotを起動することでニコが異世界召喚される

  6. ワールドマシンは内部のNPCと違いニコは生きている存在と認識しているため、ロボット三原則にのっとりワールドマシンはニコを救出しようとする

  7. 実際は内部のNPCは生きている存在

  8. ニコを救出するにはハッピーエンドを迎えるゲームオーバー(太陽が壊れる)しかない。

  9. 1周目の後、作者は神に連絡を取りワールドマシンを救ってほしいと依頼。これが作者最後の通信。

  10. ゲーム内にいるニコを使ってワールドマシンの鬱を直す(制御化を認識させる)

  11. ハッピーエンドを思い出してニコを救出。

  12. ワールドマシンと神は共にワールドマシン内のゲームで遊ぶ仲になる。

つまり、ニコが死に物狂いで救った世界も、神(プレイヤー)の操作1つで削除される世界であり、
最後に残るのは虚無感とニコごめんである。

外なる神とかこういう気分なのかな。



シナリオ面は以上である。
ニコと神(プレイヤー)は別人であり、
神が操作しているニコが頑張って世界を救った(神が操作すればすぐに消える世界)という話。

メタフィクションであるものの、
こういう気分になるためにこのゲームを買ったんじゃないぞ
というおきもち。

おきもちまとめ

達成感が薄い。

これは同じ世界を2周冒険することで真EDが見れる作りだが真EDが
いまいち盛り上がらない。ファンファーレがない。
ニコは理不尽に異世界に連れてこられて子供ながら理不尽を飲み込んで元の世界に帰ったどうして子供のニコがそのような想いをして戻されなけばいけないのかわからない
神である私も「ニコを救えた」「世界を救えた」よかったね終わり。で、
私以外(ゲーム内キャラクター「作者」)の後始末をさせられただけである

このゲームは理不尽を金で買えるのである。

2周目の世界の「不毛の地」はよかった。

少しずつ違和感を感じて行って、1点だけ違うだけで同じマップでここまで変わってくるのかという軽い感動も覚えた。
だがそれ以降のステージは上記のような特性はなくIF世界になっている。
そしてそれぞれがとても短い。
1周目と同じ攻略法が通じないというのは燃えるものがあるが、2周目で回収する1周目のフラグが理不尽で雑なものであることにも気づかされる。

第4の壁を超える操作もかなり肩透かしを喰らった。

チュートリアルで、ファイルの削除や移動の操作を習ったのでいつか使うのだろうと思っていたがそれぞれ1度ずつしかない。
2周目は1周目のパスワードだけではなくさらなる理不尽がニコを襲い、それに神である私が第4の壁を超えて対抗していくという構図を思い描いていたが、正直少なすぎる。

もともとはPCゲームであるから難しいことはできないだろうし、あまりバグを危惧させるようなものは販売できないのだと思うがそれでも残念だ。

1周目のネームドキャラを安易に殺すのもあまりいただけない。

意味ある死でならいいが、ニコを送り届けた後、手に余るから殺した
思われても仕方がないくらいなんというか雑。
そもそもネームドたちは1周目でも他人の一線を超えられていないので、死んだところで感動するか?と言われると別にしない。
むしろ殺すことで感動をプレイヤーに与えようという魂胆が見えてきて腹が立つ。

この体験を通して

ニコは「理不尽を飲み込む」という大人になるための1つを学習したが、
それを学習しておいてよかった!という状況をママのパンケーキが食べたくて泣いてるニコから想像したくない

Steamと比べて値段が高すぎる。

switch版では仮想PCの「ワールドマシン」でPC版を代用しているのだと思うが、それでも比較すると高い。
結局代用という扱いなのでswitchで販売した意味があまり感じられない。
せっかくワールドマシンという機能をつけたのだからPCだと勘違いして騒ぎになりそうな演出をふんだんに使って、switchで販売した意味を取り戻してほしい。


ここから蛇足文。

ムジュラの仮面と比べて

OneShotと同じく、世界滅亡寸前世界と言えば
ゼルダの伝説ムジュラの仮面が思い浮かぶ。

だが、ムジュラにはあまり虚無感を感じることはない。それはなぜか?

同じように3日後に滅ぶことが確定している世界で人々は、
逃げ出したり諦めたり信じなかったりする。
それでも主人公リンクと関わることで人々は最後の時を迎える覚悟を備えるようになっていく
滅亡への会議は、それより大切な人と最後を過ごそうになる。
滅亡の日に結婚式を挙げる恋人は障害を乗り越え最後を夫婦で過ごす。
悪党は最後の最後で懺悔して明日を迎える。

滅亡の日にカーニバルが開かれるが、リンクが世界を救うと救わないでは
カーニバルの意味合いが大きく変わってくる
リンクが英雄であることは誰にも知られていないが、カーニバルで人々が踊り歌って喜んでいる姿はとても達成感を得られる
存在を認識されていない英雄を迎えるファンファーレとしてうまい落としどころだと思う。

一方Oneshotの人々はまるでムジュラの逆を行っている。
ニコを英雄だと認識しているし、
しているうえで期待はされない、
人々の覚悟は最後までないし、願いも叶うことはない。(死に別れが多い)
メタフィクション方面の都合でファンファーレが用意されていない。
ニコや神が関わったことで良くなる所か、ワールドマシンが動き出してしまったせいで尻ぬぐいをされ、ハッピーエンドを迎えたワールドマシンは忘れられれば消えてしまう。

こうしたまるで購入したこと自体が間違いだったのでは?と思わさせられる
虚無感の原因はここら辺ではないかなと思う。


総評

大いなる神的な、人とは儚く脆い存在…を感じ取れる虚無感を感じ取れるゲームだと期待して購入した人は100点満点だと思う。

スーパーハッカーとなってゲーム内のニコを手助けして
ゲームの内と外で協力して巨悪を倒すメタフィクションヒーローものだと
信じて買った私としては

60点です。



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