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レガシーでナドゥいけますか?

0.初めに

はじめまして、keiponと申します。
私は、主にレガシーで遊びつつ、気の向くままにその時の競技フォーマットを触ったりしているのですが、2025年は月に1度は記事を上げるということを目標に主にレガシーについて書いていこうかなと思います。

まず記念すべき第一弾は「ナドゥブレックファスト」について書いていこうかなと思います。2024年12月に開催されましたエターナルパーティ(以下、エタパ)で4位に入賞することができました。2025年もプレイヤーズコンベンションのサイドイベントやレガシー神挑戦者決定戦など、大規模大会があると思いますので、その時の参考にしていただければと思います。

ちなみに私は生物系のコンボが好きで、過去「食物連鎖」を使っていた時の記事も書いていたりします(レガシーで勝つための「食物連鎖」という選択|magic_keipon)。気になる方は見ていただけると幸いです。(こちらはモダンホライズン3が出る前の悲嘆も禁止されていない環境での記事ですのでそこのところはご了承ください)


1.禁止改定出ちゃいました

2024年12月の禁止改定で「超能力蛙」と「苛立たしいガラクタ」の2枚が禁止され、それまでトップメタだった「青黒リアニメイト」が弱体化してしまいました。

禁⽌が青黒リアニメイトの⽴ち位置に与える影響を考えるにあたって、まず2番⼿につけていたデ ッキとの相対的な位置関係を考えました。

苛立たしいガラクタの禁止は「赤単プリズン」や「緑単エルドラージ」にも採用されておりましたが、禁⽌による影響はと⾔うと、これらのデッキは「虚空の杯」と差し替えるのみで対応ができるため、青黒リアニメイトよりも弱体化しないことから、単純に青黒リアニの支配率が下がると想定しました。

個人的にはエタパで使う予定だった青黒リアニメイトの弱体化を受け、青黒リアニメイトの再構築orデッキ変更を迫られました。超能力蛙の禁止は致命的だと考え、禁⽌前の環境で青黒リアニメイトが⽬の上のたんこぶであった「有翼の叡智、ナドゥ」デッキを再検討することとしました。

2.「ナドゥブレックファスト」or「ナドゥコントロール」

2枚の禁止後、それまでのMagicOnlineや店舗大会の入賞デッキの顔ぶれから、以下のようなメタを想定しました。

Teir1:赤単プリズン、エルドラージ、ナドゥブレックファスト
Tier1.5:青黒リアニメイト、スニークショー、ナドゥコントロール
Tier2:各種テンポデッキ、高速コンボ

「ナドゥ」デッキには「ナドゥブレックファースト」と「ナドゥコントロール」の2 種類がいることがわかります。
超能力蛙環境でも「ナドゥ」デッキはこの2種類が存在していました。

長くなるので「ナドゥ」デッキの解説は簡単なものにさせていただきますが、大まかにデッキの概要は以下の通りです。

ナドゥブレックファストの動き

「コーの遊牧民」や「手甲」といった0マナで自身のクリーチャーを対象にとることができるカードで「セファリッドの幻術師」を無限に対象にとることで自身のデッキをすべて墓地に落とした上で、墓地にある「戦慄の復活」をフラッシュバックし「タッサの神託者」を戦場に出すことで勝利するコンボデッキ(以下、セファリッドコンボ)です。そこに有翼の叡智、ナドゥが加わり、セファリッドコンボを決めなくともコーの遊牧民や手甲+有翼の叡智、ナドゥにより圧倒的なアドバンテージ差で相手を圧殺すること(以下、ナドゥコンボ)が可能になりました。

ナドゥコントロールの動き

豊富な除去や打ち消しに加え、「緑の太陽の頂点」による柔軟な銀弾サーチで盤面をコントロールしつつ、コーの遊牧民と有翼の叡智、ナドゥで一気にアドバンテージを得ることで相手の気持ちを折るデッキです。ナドゥブレックファストと違い即勝利できるセファリッドコンボは非搭載。(でもコーの遊牧民とナドゥがそろったら心折れますよね)

超能力蛙環境下で運よく両方とも触っていたので、Tier上位デッキとの相性を踏まえ、「ナドゥブレックファスト(以下、ナドゥブレ)」を使うことに決めました。

ナドゥブレを選択した理由はナドゥブレとトップメタデッキの相性について下記のように考えたからです。

・青黒リアニメイトは超能力蛙禁止で相性が改善
・赤単プリズンは不利だがナドゥコントロールで相⼿にするよりはまだマシ
・エルドラージはナドゥコントロールで相⼿にするよりも明確に有利

ナドゥブレとナドゥコントロールの各デッキ相⼿の禁止改定前後での所感は下記の通りです。

ナドゥブレックファストの各マッチ所感

【対青黒リアニメイト】
・超能力蛙の禁止前は総じて不利だったが、禁止後は微有利という印象。
超能力蛙が禁止になることで、デッキパワーがかなり落ちた。墓地対策に終始した結果、超能力蛙一枚で負けた(or 除去ハンドをキープして納墓+リアニメイトスペルのコンボで負ける)ということが起きなくなった。
・超能力蛙禁止前は「剣を鋤に」や「虹色の終焉」などの本来は取りたくない除去をかなり多めにかなり採用する必要があったが、禁止で除去の種類・枚数は検討の余地がある。

【対赤単プリズン】
メイン戦、サイド後ともに厳しいマッチ
・メイン戦は⾚単プリズン側にインスタントの除去がほぼ入っておらず、こちらのコンボスピードも速いこと、苛立たしいガラクタ禁止後は「戦慄の復活」のフラッシュバックが封殺され、コンボルートがいきなり消えることがなくなったので、虚空の杯はきついがメインは戦えそう。
⼀⽅、サイド後は墓地対策+「紅蓮破」、インスタントの除去などで対応してくる上に、当然、「⾎染めの⽉」や「攪乱のフルート」などの置物も満載で圧倒的不利
・「水流破」や「天界の粛清」、置物対策などをちゃんと用意した上でそれでも不利は覆せなさそう。

【対エルドラージ】
マッチトータルではこちらが微有利な印象。
・その他、メイン戦でのエルドラージ側がとれる対策はコジレックの命令を適切なタイミングで打つことだが、構え続けることも難しいためコンボで押し切れる
・サイド後も各種墓地対策や「四肢切断」などで対策してくるが、血染めの月がないこと、「記憶への放逐」で相手の能動的な攻め札と置物の妨害の両方をほぼ対処可能であることかから怖がりすぎることはない。


ナドゥコントロールの各マッチ所感

【対青黒リアニメイト】
マッチトータルでは微有利な印象。
・メイン戦は、そもそもナドゥコントロールがロングゲームを想定しており、例え釣り上げられたとしても除去で対処可能な他、「喜ぶハーフリング」からの「時を解すもの、テフェリー」、ナドゥといった対抗手段が複数存在するためそこまで相性は悪くない
・サイド後もどっしりと構えて最速リアニのプランを阻止できればこちらが有利となる。

【対赤単プリズン】
メイン戦・サイド後共にかなり不利。特にナドゥデッキの弱点である脆弱なマナ基盤を血染めの月、月の大魔術師でとがめてくること、また、「鏡割りの寓話」、「再鍛の刃、ラエリア」、「一つの指輪」など、コントロール殺しのカードが多く、圧倒的な押し付けが厳しい。
・とにかく血染めの月無理すぎ。大事なことなので2回言いました。

【対エルドラージ】
メイン戦・サイド後共に不利な印象。こちらも赤単プリズン同様、とにかく不毛の大地やまき散らす菌糸生物で脆弱なマナ基盤を攻められるのが厳しい。
・メインから「コジレックの命令」などの除去や難題の予見者の手札破壊など、多様な攻めでこちらがコントロールしきれない(ロングゲームができない)。
多少割り切ってナドゥコンボ成立を目指す方が勝率は上がる、、、かも

3.構築どうしよう

エタパ用に用意したのが以下の75枚です。

赤単プリズンがいやすぎて水流破2枚と「天界の粛清」を採用したのみならず、血染めの月や一つの指輪、鏡割りの寓話を打ち消せる呪文貫きまで採用していますね笑

いろいろ考えた末にできた75枚なので、語りたいことはたくさんあるのですが、一般的なリストと比較して特徴的かなと思う2点についてお話したいと思います。

タッサの神託者の増量

まず一つ目はメインの「通り抜け」1枚とサイドの「タッサの神託者」の2枚目の採用です。あらゆる墓地対策をすり抜ける手段として、手札からタッサの神託者を出すというルートを強化したいと考えました。

「墓地対策の対策」をサイドインすることは間違いではないのですが、相手の墓地対策の種類が不明であることも多いですし、こちらの想定していた墓地対策ではなかった場合に結果として無駄牌を引いてしまうことになります。たとえば、墓地対策として「虚空の⼒線」や「墓掘りの檻」を想定して置物破壊をサイドインしたのに、実際に相⼿が⼊れた墓地対策が「フェアリーの忌み者」だった場合などですね。

また、攻撃は最大の防御というように、こちらのコンボ自体が相手の墓地対策をかわせる設計になっていることで、より柔軟に動くこともできるため、サイドのタッサの2枚目が絶対に必要とは現状言い切れないものの、通り抜けと合わせて2枚のタッサを入れておくことは結構ありだと思っています。

墓地対策の不採用

二つ目は墓地対策の不採用です。本当か?と思う方がいるかもしれませんが、本当にこのリストでエタパに出ています。本番前日の夕方までは、墓地対策を3-4枚程度採用する予定でした。

しかし友人の赤黒リアニメイトと練習をしたとき、墓地対策は手札破壊や「実物提示教育」などで幾度もかわされ、大敗北を期してしまったため(俺は赤黒リアニを踏まないと自身に言い聞かせることで)他のカードに枠を割くことにした、、、という背景があります。

ただ、これは個人的には(結果論という部分もかなりありますが)一応合理的に判断をしたつもりでした。

これは、超能力蛙の禁止が青黒リアニメイトが使う「偉大なる統一者、アトラクサ」のマウント力をかなり下げているという感覚が強くあったためです。

超能力蛙がいなくなったことで偉大なる統一者、アトラクサを釣られてしまっても、手札の質が超能力蛙禁止前と比べそこまでよくならない事が増えました。

超能力蛙は追加のフィニッシャーであり、なおかつ意志の力のコストにもなります。セファナドゥ側が除去などの受けるハンドをもっている時には追加の攻め手段として場に出すことができ、逆にセファナドゥ側が攻める動きをするときには意志のコストに当てることができます。また、「思考囲い」などのハンデスと意志の力がセットで捲れた場合、超能力蛙がいればクリーチャー枠で意志の力のコストを確保でき、複数の妨害を手札に加えることができましたが、それもできず、妨害が複数手札に入る頻度も落ちました。

ですので、釣られても「偉大なる統一者、アトラクサ」さえ対処する(もしくは「夏の帳」や「オアリムの詠唱」、「時を解すもの、テフェリー」で意志の力を吐き出させる)ことができれば勝ち目はある、という判断でした。

※友人からは「絶対に墓地対策をとった方がいい!」と何回いわれたかわかりませんが、結果的に友人とのフリプによって墓地対策が減った枠に入ったサイドカードが活躍して4位になることができたので結果オーライ、友人には感謝です。

※ですが墓地対策は入れた方がよいです。勝てる勝てない以前に、リアニと当たった時の精神的安定が段違いです。

4.エタパ当日

眠い目をこすりながら当日、リアニメイトデッキは踏みたくないなーと思いながら1回戦開始です。

1R 赤青緑デルバー:勝ち
いきなりよく晴れる屋で当たる方とのマッチ。相性はこちら有利であり、相手の「不毛の大地」が負け筋であることはわかっていたため、即座にコンボは決めず、基本地形を集める&デルバーやチャネラーの対処を優先。「目くらまし」をケアしつつナドゥを着地させればなぜか「稲妻」で落ちないブロッカーが誕生です。サイド後は相手の「紅蓮破」や墓地対策を見越してとにかく引きたくないセファリッドの幻術師を3枚ほどアウト。完全にナドゥコンロトールとしてふるまい、ギリギリでナドゥコンボを決めGG。

2R 赤単ペインター:勝ち
メインボードはおそらく血染めの月が入っていないこと、コンボスピードもこちらの方が早いことからメインは有利だと思いながらプレイ。サイド後は紅蓮破や墓地対策を厚めにキープされる想定でこちらもセファリッドの幻術師を複数枚アウト、盤面に触れるカードを複数枚採用し、ナドゥコンロトールへシフトします。個人的にこのマッチは盤面さえ触れてしまえば墓地対策が不要(逆に墓地対策に引っ張られるキープをすると負ける)なマッチだと思っていますので、墓地対策の代わりに入っていた天界の粛清に感謝しながらなんとか勝利。

3R ANT:勝ち
このマッチのメイン戦は単純な速度勝負です。キルターンは共におおむね2-3ターンでそこまで変わらず、相手は手札破壊、こちらは意志の力で相手のコンボを妨害しつつ戦うことになるため、かなり初手や引きに依存することになると思っています。初手にコンボがそろっていたこちらがメインを取り、サイド後は墓地対策の代わりに採用した若干意味不明な「呪文貫き」が刺さりマッチをとることができました。

4R 緑白デプス:ID(hytt)
ここで運悪く、前日に練習に付き合ってくれた友人とマッチアップです。デッキ相性自体はこちらが有利ではあるものの、お互いの手の内を知っているため泥試合になってしまうこともあり、一緒にTOP8目指そうという謎の友情でIDを選択。

5R 青黒リアニメイト:勝ち
「墓地対策がなくても勝てる」などという虚勢を張っていたものの、当たりたくはなかったマッチをここで踏んでしまいました。メイン戦は超能力蛙が出てこないことに感謝しながら、「カザド=ドゥームのトロール」を対処しコンボで勝利。
サイド後は1本落とし、3本目でも偉大なる統一者、アトラクサをリアニメイトされてしまいひやひやするものの、「剣を鋤に」でアトラクサを対処、オアリムの詠唱、時を解すもの、テフェリーで相手の打ち消しをかわしナドゥコンボが成立、タッサを手札から出して勝利。想定していた戦い方で勝利できたものの、墓地対策が入っていればもう少し楽だったななんて思ったのはここだけの話です。

6R 黒単ネクロ:勝ち
こちらも何度か晴れる屋で対戦させていただいたことのある方。「古の館底種」を場に出した状態でマナコストにXを含むピッチスペル、元コストが大きなピッチスペルを0マナで唱え、十数点を一気に削り取るコンボデッキです。
ピッチスペルを多用するためのドローソースとして「ネクロドミナンス」が採用されており、「黙示録、シェオルドレッド」との組み合わせで大量のドローを行うこともできるという、数こそ少ないですが個人的にかなり強いなと思うデッキの一つです。
メインサイド共にお相手がネクロドミナンスを引くのが遅れたため何とかナドゥコンボを揃え辛勝することができましたが、除去あり、コンボあり、速度もある相手なので勝ててよかったなと思っています。

7R スニークショー:勝ち
こちらがマッチトータルでかなり有利なマッチという認識。こちらの方がキルターンが速い上にコーの遊牧民や手甲を置いておけば相手も気軽に実物提示教育を打てない(「引き裂かれし永劫、エムラクール」を直接出すなどのターンをまたぐプレイがしづらい)ので、こちらがアグレッシブに動いている限りは有利です。
サイド後も相手が爆速で動いてくることだけ何とか回避できれば勝利は目前です。
この時もこちらが後手でコーの遊牧民スタート、相手の2t実物提示教育が間に合ってしまうものの、出てきたのが「残虐の執政」だったため、残虐の執政の誘発スタックで合わせて置いたセファリッドの幻術師の効果を誘発させ続け、ナルコメーバが墓地から出てきたタイミングで残虐の執政の誘発を解決、ナルコメーバを生贄に捧げて事なきを得、返しのターンでコンボを決め切り勝ち。
サイド後は相手が2ターン目実物提示教育、3ターン目「騙し討ち」+1マナの高速ハンドでしたが、こちらは呪文貫きや水流破などの軽量カウンターを運よく持っていたため何とか勝利。(呪文貫き、お前ひょっとして強いのか・・・?)

8R ID

なんとか8位で通過。途中でIDしたためオポが低かったのですが無事抜けられて一安心。

SE1 青黒リアニメイト:勝ち
SEでリアニに当たってしまい、墓地対策を抜いていた自分を恨みましたが、ないものはないので釣られても勝てると思い込みながらスタート、、、したものの、いきなりダブルマリガン。相手が納墓ルートではなかったため若干の猶予があり、何とかコンボを通し切って勝ち。
サイド後もアトラクサをリアニメイトされ苦しい展開でしたが、ナドゥコンボ+サーガトークンでギリギリ勝ち。次はちゃんと墓地対策を入れようと心に誓ったマッチでした。

SE2 ナドゥセファ:負け
メインボードで想定していないもみ消しをこちらのウルザの物語の第三章に当てられ、気が動転して意志の力を打ってしまうミス。ナドゥ+手甲で2ドローはできたものの相手のセファリッドコンボがそろってしまい負け。
2本目はこちらがコーの遊牧民+「魂の洞窟」からのナドゥでアド差をつけて勝ち。3本目は打ち消し+除去のハンドをキープするもののお相手の魂の洞窟+ナドゥの前になすすべもなく負け。ここで冒険は終了となりました。
ミラーは魂の洞窟が存在する以上、かなり引きに偏るなと思いましたが、「記憶への放逐や墓地対策など相手のナドゥコンボが止まらないカードは極力インしない」、「オアリムの詠唱を相手のアップキープに打つなど先手後手を入れ替える動きを想定しできるだけこちらが先にコンボを揃えることを意識する」などもう少しやりようはあったかもしれません。


ここまで長文を見てくださってありがとうございます。
最後に代表的なマッチアップで意識したことを書いていますが、個人的なモチベアップを目的として、ここから先は有料とさせていただきます。

有料部分のボリュームとしては大体1,800字くらいです。もし、もう少し読んでみたいなと思った方は是非覗いていただけると嬉しいです。

すでにとても強いデッキですが、まだまだ各マッチアップのインアウトやゲームプランなど、掘り下げる余地は残っていると思っていますし、これからメタられていくため、メタや採用カードたちの変遷に対応していく必要があります。回していてとても楽しいデッキでもあるので、興味がある方は是非使ってみていただければと思います。

5.代表的なマッチアップで意識していること

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