木が好きだ
初めて、木の声を聞いたのはいつだったか
すごく疲れていて、どうしようもなくて
近所の公園のお気に入りのポプラの木に
相談した
「自分が汚れているような気がする」
ポプラは答えた
『お前がそう思うなら、そうだ』
「いや…それはそうだけど、そういうことじゃなくて
どうしたら楽になれるのか、ということで…」
その時、風が吹いてザァーっと木が揺れた
『風の声を聴け』
あぁ、そういえば、最近自然の音に耳を傾けていなかった
木々の鳴る音
落ち葉の転がる音
遠くで鳥たちが羽ばたく音
風の音はこんなにも沢山鳴っている
そのことに気づくと、自然と呼吸が深くなり
体の力が抜けるのだった
そのポプラは優しい声と厳しい声を持っていた
2人の存在がそこにあるのかと思ったけれど
ただ、そういう2つの側面を持っているということだったのかもしれない