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レポート「教員に今こそ必要なオンライン対話スキル〜プロコーチと学ぶスキルの活かし方〜」

こんにちは!NPO法人日本スクールコーチ協会 事務局です。

先日、一般社団法人Teacher’s Lab.さんとコラボセミナー(オンライン)を実施いたしました!テーマは、教育現場で今こそ必要とされる「オンライン対話スキル」です。

新型コロナウイルスの影響で、生徒とオンラインでのコミュニケーションが必須となった先生が多くいらっしゃると思います。そこで、プロコーチより「教育現場で活かせるコーチング」についてお伝えできればと思い、セミナーを開催することにしました。

本日はその様子をレポートいたします!がらっと生徒との向き合い方が変わり、試行錯誤されている先生がたのヒントになると嬉しいです!


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コーチのご紹介

三好 智玄 NPO法人日本スクールコーチ協会・副理事長 / 国際コーチング連盟プロフェッショナル認定コーチ / (一財)生涯学習開発財団認定マスターコーチ

大学等にて研究・学生指導に20数年携わった後、人の幸せを応援するコーチとして独立。社会的要求の高い(「緊急性」の高い)ビジネス領域でのコーチとして20年活動していますが、次世代で活躍して欲しい青少年育成の場にコーチングを導入することの「重要性」に思いが至り、2014年よりスクールコーチ協会の活動にも並行して参画。長年にわたるプロコーチ、コーチ養成のメンター、研修講師としての経験を活かし、国際コーチング連盟が定めるコーチ能力基準の上に、青少年特有のデリケートな領域をも乗せた、より深いコーチ能力の開発・育成を協会の皆さんと共に求め続けています。


アイスブレイク ~りんごから連想するものは?~

まずは、アイスブレイクとして“りんごマンダラ”というワークを実施しました。「りんご」と聞いて連想するキーワードを4つ挙げたあとに、さらに4つ(合計8つ)を考えるというものです。

4.5人でグループになり、お互いの「りんご」のイメージについて話し合いました。理科の先生からは「バラ科」というキーワードが出てくるなど、自分では出てこない発想が新鮮で面白かったです。

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▲参加者の方々から出た「りんご」に関するキーワードは、40近くありました。あなたもぜひ考えてみてください!


ところで、このアイスブレイクの意図は何だったと思いますか?智玄コーチより説明がありました。

『「りんご」という言葉を表現したときに、「りんご」という言葉に持たせている意味合い、言葉の奥にある想いは、表面的にはわからないんですね。

例えば、「りんご」はまるかじりが好きという人もいれば、まるかじりして歯が折れた、血が出たとマイナスなイメージをもっている人もいるかもしれません。

つまり、「りんご」という音を聞くのではなく、その人が「りんご」にもっている意味合いを聴くことが重要です。単に言葉を聞くのではなく、想いを聴いていくことをコーチングでは「傾聴」と呼びます。コーチは、相手が自分とは違う何かをもっていることを前提とした聞き方をするんですね。これを知っていただくことが、このアイスブレイクの意図です。』


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コーチングのデモンストレーション

アイスブレイクの後は、「教育現場で活かせるコーチング」をお伝えするために、現役教師の方と実際にコーチングを実施し、それを元に参加者の皆さんに気づきをアウトプットしていただきました。それをざっくりまとめたものが下記の内容です!

【スタンス】
「相手の中に答えがある」という前提のもと、それを引き出し、導く

【問いかけ】
・まずどんな状態になりたいかを考えさせることで、目標・ゴールを明確化
・言葉の定義を確認する
・「他にはどう?」「1つだけ」といった言葉で、発想・視点を拡げるような問いかけ
・「仮に」「あるとしたら」といった言葉で、問題解決のイメージを促す問いかけ
・自分にコントロールできることは何かに焦点をあてさせるために、相手が主語になるように問いかけ

【聴き方】
・的確な相づちとうなずき
・柔らかい表情
・時折、クライアントの話を整理する
・相手が全部言い終わるまで、口を挟まない
・「~した方がいい」とは一切言わない


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質疑応答タイム

Q1:人生経験の浅い生徒を相手にしたとき、問いかけに対して「わかりません」がよくあるのではないかと思いました。相手から答えが出てこなかった場合、どのように切り返せばいいでしょうか?

A:状況によって次の展開は違うかと思いますが、コーチの立場から申し上げると、「わからない」と言われたら、原則は「どこまで、何ならわかってるの?」を把握することです。"わかっているところからスタートする””わかっているところに戻す”ということです。

それと、コーチングのスキルとして、「もし~だったら」という聴き方があります。矛盾しているようですが、「わかりません」と言われたら「もし知ってるとしたらどうする?」と聞くと答えが出てくることが多くあります。

相手が「わからない渦」に入っていたら、そこからいったん出します。「もしこうだったらどう?」と、条件、障害になっていることを外していきます。子供であれば、そのために「ドラえもん」を使うのもいいかもしれません。「もしドラえもんがいたら、何を頼む?」という問いは、その子が今ほしいもの、抱えているハードルや要求がわかります。


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Q2:子供同士で、失礼なことを他の子供に言ってしまい、とても嫌な思いをさせていることがあります。そこで、「言われた方の気持ちがわかる?」と聞くと、「わからない」と言われます。「相手の気持ちになってみたら」というと、「自分は平気だ」と答えます。このような場合、どう返せばいいのでしょうか?

A:本当にわからないのでしょうか?本当にわからないのと、わかりたくないのでは、大きく違うと思います。ちなみにコーチングでは、障害がある場合は対応してはいけないという倫理規定があります。

「わかる?」という質問は、「わかる?わからない」の2択ですよね。選択肢の中で選ばせるような質問は、コーチングでは「誘導」といいます。「オープンクエスチョン」といいますが、全てを相手に考えて答えてもらう質問があります。これによって、自由に相手の言葉で話してもらうことができます。

ケースによって異なるかもしれませんが、「あなたが~だったらどうする?」という仮定をおくこともできます。暴力的な悪さをする子だったら、「もしプロレスのチャンピオンなど絶対的に勝てそうにない人からちょっかいを出されたらどうする?どう思う?」という仮定で、考えさせることができるかと思います。

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Q3:声のトーンやまなざしで気を付けていることはありますか?

A:目線をあわせること(オンラインなので、カメラ目線)、口角をあげて、笑声(えごえ)で話すよう意識をしています。

イーグルアイとエンジェルアイという表現があるように、威圧感を与えない眼差しというものがあります。それは、その人の中から現れてくるものなんですね。つまり、”何を言うかではなく、誰が言うか“という方が大事です。

このセミナーで、コーチがどんなことを学び、どんな接し方・在り方をして、クライアントさんの話を聴きだし、行動に繋いでいるのかということを少しでも知っていただけると嬉しいです。


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智玄コーチよりメッセージ

望む生き方を得るために、様々な課題に向き合い、そしてそれらを解決するために、ハードウェアやソフトウェアをたくさん活用されているかもしれません。

その中で、コーチングは「ハートウェア」だと思っています。例えば、オンライン授業に必要なPCやネットワーク環境はハードウェアです。そこで使用する教材や運用システムはソフトウェアです。「ハートウェア」は先生がたと生徒の繋がりをキープするものだと思っています。

このセミナーで、あなたにとってのキーワードがありましたら嬉しいです。本日はありがとうございました。

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さいごに

当日は、すべての先生に積極的にご参加いただいたおかげで、非常に充実した時間となりました。ご参加いただいた皆さん、誠にありがとうございました。また、初のコラボイベントを企画してくださった一般社団法人Teacher’s Lab.の館野さん、ありがとうございました。

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NPO法人日本スクールコーチ協会では、今後も教育に携わる方々のお役に立てるような活動をして参ります。引き続き、よろしくお願いいたします!