Marketing AutomationとCustomer Engagement Platformの違いとは
MA(Marketing Automation)という言葉を知らないマーケターはもうほとんどいないでしょう。しかし、その言葉から想像することは人によって異なる気がします。
以前、某コンサルティングファームで働いていた時に、先輩コンサルタントに「デジマの中で何が得意?」と聞かれたので、「MAの設計、設定、運用は得意ですよ。」と回答したんですよ。その時、その先輩から「え?何?マーケティングを自動化するの?それってめちゃくちゃお客さんに失礼じゃない?一人一人をおもてなしすることこそ日本人の心。自動化するなんてけしからん!」と言われたことがありました(笑)いや、そうなんですけれども。。そういうもんだと思ってました。
マーケティングフェーズのコミュニケーションを自動化することがMAを導入することのメリットなのです。当時まだここまでMAという言葉が普及していなかったので、全く知らない人がこの言葉だけを聞くとそんな解釈をするのかと驚いたのを覚えています。
私はその先輩の言葉から考えさせられたことが3つありました。
・なぜマーケティングフェーズでのコミュニケーションの自動化が必要なのか?
・お客様の目線に立つとこの自動化はどう映るのか?
・自動化されて嬉しいのは誰か?
また、一方でBrazeが提供しているカスタマーエンゲージメントプラットフォームとマーケティングオートメーションは何が違うのか?と最近聞かれることが増えてきました。その違いについてまとめたいと思います。
1, ”Marketing Automation” vs ”Customer Engagement Platform”
この2つは、実はいくつかの機能だけで比較するととてもよく似ています。例えばセグメントやフィルターなどの顧客を抽出する機能や未来の日時を指定して開始するスケジューリング。顧客の名前を差し込むスニペット。これらの機能だけを比較すると「なんだ同じじゃん」と思われるかもしれません。しかし、この2つのプラットフォームはそもそも製品コンセプトが異なるのです。
2, Marketing Automation(MA)とは
MAとは、収益向上を目的としてマーケティング活動を自動化するツールです。文字通りマーティングの自動化。社内のオペレーションを一部自動化して人的リソースを減らし効率化を目指すのがこのツールの導入目的かと思います。
B2B、B2Cでは少しその存在は異なりますが、B2B向けのマーケティングに活用する際にはさらに自動化の意味合いが強くなります。例えば、B2Bの場合、まだ商談に繋がるかどうかもわからないようなお客様一人一人にセミナーのご案内したり、セミナーの登録管理をするのはとても労力のかかる作業です。これを一括でシステム化してしまえば、営業のリソースはより確度の高い商談に集中できるでしょう。
3, Customer Engagement Platform(CEP)とは
一方でCEPとは、デジタルのコミュニケーションを通じてお客様に効率的にパーソナライズされたおもてなしするツールのことです。B2C領域で導入が加速しつつありますが、ユースケースによってはB2Bにも有効なツールです。
効率化という観点では同じですが、導入の目的は主に顧客ごとにパーソナライズされたおもてなしと運用の効率化を両立すること。デジタルを活用したHuman Communication(人間味のある関係構築)、それがCEPの目指すべき姿です。またデジタルだけに閉じた世界でもありません。既に購入した商品のレコメンドが届いたり、煩いと思うほどの頻度で送られるメールにうんざりしている消費者は多いのではないでしょうか。一度離れたお客さんを取り戻るのはとても大変なことです。そうなる前に嫌われない工夫が必要です。
4, まとめ
そこで今導入を検討している方には、ぜひこの3つの観点を考えてほしいと思います。
・なぜマーケティングの自動化が必要なのか?
人が足りないからなのか、もっと施策を増やさなければならないのか。
1人の業務量が多すぎるのか。
・お客様の目線に立つとこの自動化はどう映るのか?
メッセージ量が増えて、さらに煩雑なコミュニケーションにならないか。
機械的な画一的なメッセージになっていないか。
・自動化されて嬉しいのは誰か?
社内なのか、お客様なのか。
社内の運用ばかりを気にしていると、私の先輩が言っていた「けしからん!」という状態に陥りますのでご注意ください(笑)
あなたがそのサービスの顧客になった時、そのメッセージをもらって嬉しいでしょうか。買わせることだけが目的になっていないでしょうか。
例えば、どんな機能があれば顧客との良い関係性が築けるでしょうか。
・送りすぎを防ぐ通数の自動制御機能(フリークエンシーキャップ)
・施策の優先度を決められる配信コントロール
・夜間にメッセージは送らない夜間配信停止
・顧客ごとにメッセージや画像、ページ遷移先まで変えられるパーソナライズ
・顧客の行動に合わせてアプローチできるアクショントリガー配信
あげればキリがないですが、Customer Engagement Platformの導入を検討されている場合は、最低限上記の機能があることが望ましいでしょう。顧客は思った以上にその会社、そのブランドからのコミュニケーションに敏感です。そして一度離れてしまった顧客の心を取り戻すのは至難の業です。「嫌われる勇気」を持つ必要はありません。いかに嫌われずに長く顧客との関係性を構築できるかを考えましょう。