【ムンク展─共鳴する魂の叫び】東京都美術館(20190111)
チケット購入は列あり/入場待ち時間なし/会場内は混雑 /小学生〜年配の方まで/男女比は半々くらい/全部で1時間くらい/ミュージアムショップは激混み
開期終了間近の金曜、夜間開館。
結構混雑していたけど、耳栓して行ったら雑音が消えて、今までで一番集中して観れた。
作品と私だけの空間にいるような錯覚。美術館で耳栓、おすすめですな。
他のお客さん同士の会話で気づく発見もあるけど、混雑してるといらいらしちゃう私(笑)
今度から耳栓持って行こう。
会場の装飾が良かった。オレンジの壁に金の額、かっこよかった。壁に書かれたムンクの言葉も良かった。
最初から最後まで、全部ムンクだった。なかなかそういう展覧会も多くはないから驚いた。
初期から晩年まで、じっくりと。
恥ずかしながら、ムンクは「叫び」しか知らなかった。叫びのイメージが強すぎる。
今回他の作品を初めて見たけど、惹かれるものが多かった。全部あの叫びのようなタッチじゃないんだね。
初期の作品を見ると、すごく真面目な人だったのかなあと思った。
進んでいくと、だんだんとタッチが変化していくのがわかった。ものすごく“死”が身近にある人。“生きること”をものすごく考えている人。ものすごく人間らしい人。そんな風に感じた。その中でも印象に残ったものを。
≪死と春≫1893/油彩、カンヴァス
横たわる女性の顔、本当に亡くなった人の顔色と一緒で少しゾッとした。窓の外の春は生命の息吹を感じるのに対して、部屋の中の冷たい死という対比。生命の循環。生命とは。
≪ブローチ、エヴァ・ムドッチ≫1903/リトグラフ
≪マドンナ≫(1895/1902/リトグラフ)にも似た構図。一目見たとき、この女性の美しさに驚いた。初めて、絵の中の女性に恋をしそうになった。心惹かれた。とても美しかった、若しくはムンク目にはそう見えたんだろうな。
≪二人、孤独な人たち≫1899/多色刷り木版
他にも同じモチーフの作品はあったけど、木版のもので。木版の作品がいくつか壁に並べられていて、題名を見る前眺めて一番気に入ったもの。題名を見てさらに好きになった。“孤独”というワードが入っていて、やはり私は無意識的にそういうもの惹かれてしまうのか、と少し悲しくなって笑った。二人の人物がいるのに、交わる様子はなさそう。二人いるのに、互いの孤独さを強く感じる。
この辺りから、絵を見てるのに自分自身を見ているようで苦しくなる。自己との対話、のようなものが始まる。重い。
≪接吻Ⅳ≫1902/木版
交じり合う男女。溶け合って一つになってる。
これ見たとき、いつか見たmabanuaさんのCDジャケットが思い浮かんだ。
https://www.instagram.com/p/BnC84e-he0v/?utm_source=ig_share_sheet&igshid=1koayhzgtemcx
もしこの作品を見てモチーフにしていたら面白いな、なんて思った。
≪自画像、時計とベッドの間≫1940-43/油彩、カンヴァス
展覧会最後の作品。晩年の作品。多くの死を見てきたムンクが、自分の死を感じたような、そんな表情。抵抗することもなく、ただじっと死が訪れるのを待っているような。何を思い、何を感じていたのだろう。
愛も憎しみも怒りも恐怖も嫉妬も、全部知っている。それを知った上で孤独でいることを選んだ。多くの女性と恋愛関係を持ったであろうにも関わらず、“芸術のために孤独でいる”という選択をした。すごいなあ。
それってすごく辛くない?苦しくない?
ものすごく人間らしい、生々しい感情が襲ってきて、自分の嫌なところを見せられているようだった。
2019年初っ端からだいぶ重い。(笑)
けど、ここ最近行った展覧会の中で一番良かった気がする。
(作品の画像は公式HPから、HPにないものは図録から借りました)
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