留守電
最近、寝つきが悪い。これを書いているのも、妙に寝付けないから手慰みに書いている。
実は一年ほど前に酔った拍子に家で転んで風呂場のドアを壊した。まぁドアが壊れているといっても、無理やり枠にドアを押し込めばドアは閉まって(ひどい音がするが)風呂は浴びれるから、だましだまし一年間過ごしてきた。本日風呂に入った時にふと思い立って修理を依頼することにした。ネットで調べると3~6万円の本人負担と出てきた。
学生には大きな出費になる修理の依頼をするのもなんだか気が引けたが、いつまで待っていても風呂場のドアは直らないから、思い切って管理会社に電話をかけた。誰も出ない。営業時間を数分過ぎていた。舌打ちをして電話を切るが、明日には絶対に電話しない気がした。明日の自分にタスクを押しつけるのも嫌だった。だから今日のうちに修理の依頼を済ませたいので留守電を残すことにした。
留守電を残すのは何年ぶりだろうか?人生で留守電を残した回数はきっと片手で数えきれるだろう。ちなみに僕は留守電を受けとったことはない。どうやって留守電を聞くのかも知らない。電話をかけて、そんなことをぼやぼやと思っていたら突然発信音がなって喋らされた。
「先日、、、自宅で転んでしまって浴室のドアが外れてしまいまして、、、、その、修理をお願いしたいんですが、、、費用を教えていただけるとありがたいのですが、、」
という調子で、しどろもどろに話した。なんだかドストエフスキーの小説に出てきそうな会話文だった。留守電というのは一方的に声を残さないといけないからテンポがとりずらい。普通の会話なら相手が適当にレスポンスをするから、見切り発車で話を始めても自然とノリとリズムが出来て用件が出てくるのだが。
そんなわけで電話場号と氏名を慌てて最後に付け加えて電話を切った。なんだか失敗したなと思った。恥ずかしかった。明日まで返事を待たねばならない。なんだか急に修理費用の四文字が僕の頭の中で膨らんでいく。
気分を変えるためにあれこれのことをしてみるが、どうにも手がつかない。手がつかないままに寝る時間となったが、修理のことが気になって頭から離れない。だからこうして文章の形式に落としてみる。このそわそわした感じが少しは収まるといいのだが。
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