私の若年性加齢黄斑変性が完治した話の序章
2019年、私は瞬きするたびに視界に変な形の黒いものが残像として残るのに気づいた。まぶたをぱちぱち高速で瞬きすると前方後円墳のような形が左斜め上に視界4分の1ほどの大きさで、ストロボの残像のように黒っぽい虹色のようなあやしい色で、視界に浮遊しているのだ。
これが私の若年性加齢黄斑変性の始まりだとは、このとき全く知る由もなかった。
モニターを長時間見る仕事柄、目のケアには注意していて年に1回は眼底検査で網膜の状態をチェックしてもらっていた。20代にストレスから網膜に薄い部分があると言われたことがきっかけだった。
影がどうしても気になり、行きつけの眼科で検査してもらうことにした。
検査の結果は、中心性漿液性網脈絡膜症(ちゅうしんせいしょうえきせいもうみゃくりゃくまくしょう)という名の病名だった。
最近30代から50代の男性に多く発症するもので、網膜と眼球の間に液体が貯まることで網膜剥離が発生する病気だ。ストレスが原因と言われている。
多くは時間の経過と共に溜まった液体が吸収され自然治癒するとの説明を受けて、経過観察となった。
ただし、この症状が長期間続くとあまり良くないため、その場合は病気の進行を遅らせる専門の治療が必要になるとのことだった。先生はあまり脅かさないようにかこの時はそれ以上のことは言わなかった。ストレスが原因のことが多い病気。先生の判断は適切だったと思う。
その後、4週間ほど掛けて「最初の」中心性漿液性網脈絡膜症は自然と消えていった。
症状が消えてからは普通の生活をしていた。仕事も忙しかったし、20代に無理をしたツケが体のあちこちに出ていたので、そのケアにも忙しかった。
最初の症状から丁度1年後、中心性漿液性網脈絡膜症は再発した。
この時、先生の様子は前回より少し深刻さを表しているように感じた。
できる治療はビタミン剤を出して経過観察するくらい。あとは自然治癒を待つしかない。
しかし、自然治癒しない場合、あまり長く放置すると加齢黄斑変性に移行してしまう可能性が高まると言われた。
そうさせないための予防的治療があるが、大きな病院でないとできないとのことで大学病院を紹介された。
この時、再発から6ヶ月近く経過してしまっていた。
セカンドオピニオンとして別の設備の充実した眼科を受信したが、言われる内容はほぼ同じだった。
その時撮った目の断面画像だ。浮き上がってるのが網膜で眼底との間が水ぶくれのようになっているのがわかる。この浮いてる視神経の形が視界のちらつきや歪みとして現れていた。