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ぼたもち。
新事実
がんが分かってから母に感謝したことのひとつに、医療保険に加入していてくれたことがあります。
…が、最近新たな事実が発覚しました。実はその保険、「元は医療保険として加入したものではない」というのです。
どういうことかというと、私の場合、大学生活を始めるために保険に入る必要があったようです。でもがんになるまでは、その保険に加入していることを私も母も完全に忘れていました。忘れているどころか、私は存在すら知りませんでした。もしかしたら契約時に母と話をしていたのかもしれませんが、まったく覚えていません。
約4年前に、加入せざるをえないからと契約した保険。まさか、がん治療に使うとは思っていませんでした。でも、この保険のおかげで私は個室に入れて、快適な入院生活を送ることができました。もし大部屋で過ごしていれば、おつりがきていたそうです。治療期間がそれほど長くなかったからだとは思うのですが、保険ってすごい。
よく見たら、違う
そして多くの場合、がん告知を受けるとしばらくは医療保険に入れません。そういった面からも、母に感謝しています。現時点で手術から1年経過していない私は、職場で案内があった医療保険はすべて加入できませんでした。
よく「がん告知を受けてからでも入れます」と宣伝している保険を見ます。でも実際のところは「がん告知を受けてから〇年後であれば、がん告知を受けた人でも入れます」という場合が多い。要するに、私が今すぐ入れる医療保険はかなり限られる。もっと言えば、ないに等しいのです。
何もなければそれでいいのですが、いつ何が起こるか分かりません。再発するかもしれないし、別のがんになるかもしれない。何年も待てません。今の保険はがんに特化した内容ではないので、たとえば化学療法が必要ながんと診断されたら経済的に厳しくなるでしょう。保険に入っているとはいえ、そこは安心できません。
これでいつでも
元々「ボーナスは使わずに貯金する」と決めていました。そんな私が初ボーナスを手にしたとき最初に思い浮かんだ言葉は、「これで急に入院が必要になっても大丈夫だな。」でした。それくらい、私にとってお金の問題は深刻。もし、また入院することになっても経済面で親に頼りたくない気持ちが強い。自立したいのです。
ここでひとつ、「私ががんになってよかったこと」の話を。私のきょうだいは、保険に加入できる年齢になったら医療保険の契約をするそうです。話を聞く限り、私が加入しているものより保障内容がかなりしっかりした保険。私ががんになってなかったら、きょうだいは医療保険に入らなかったかもしれない。大切な人のためになったのなら、「がんになって、まぁよかったかな」と思うのです。