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【花様年華BU】一番残酷なシーン
花様年華BUストーリーは、少年たちの抱える心の葛藤や成長を描いている物語で、青春の不安や焦燥を見事に表現している。
ジョングクはRUNメイキングの中で『I NEED Uが悲しみの中に喜びがあったなら、RUNは喜びの後に悲しみがあります』と表現した。
悲しみの中の喜び、喜びの後の悲しみ
言い得て妙。これってまさに花様年華そのものじゃないか。傷つきながらも今を全力で感じていた花様年華の瞬間と、その瞬間は過ぎ去り少しずつ大人へと近づいていく予感。
そんな刹那の物語で一番残酷だと思えるシーンを紹介します。
毎回書いてるけど、これは架空の話なので事実ではありません。
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ジョングクは家でも学校でもいつもひとりぼだった。義父家族から疎外され学校でも同年代の友達がいない。居場所がなくいつも街をフラフラと彷徨っていた。
6人の兄たちと出会ってもなかなか打ち解けられなかったが、ユンギのピアノの存在がジョングクの心に変化をもたらしていく。
僕は兄さんのピアノの音が好きだった。
兄さんの演奏を聴いていると何だか気持ちが穏やかになるから。
そんなはずはなかったが、ユンギ兄さんが僕の気持ちを知って慰めてくれているような気がした。
ここ、試験に出るので覚えておいてください。
2年後、ユンギと再会したあと作業室に訪れて一緒にピアノを弾くようになるジョングク。
ユンギも夢の中でその日を回想していた。
そして次の瞬間、俺はこの作業室の真ん中に立っていた。向こうのピアノの前に座っているジョングクと俺の姿が見えた。ジョングクが何か言うと、俺がくすっと笑った。あれはいつだったろう。正確な日にちは覚えていないが、その場面だけは鮮明だった。
ユンギとジョングクが再会したのは22年4月7日で、そのあとどれくらい作業室に行ったのかは定かではない。ふたりはたびたび喧嘩をしていた。4月11日にふたりともしんじゃう世界線もあるくらいだ。
作業室に来たジョングクにあんなにひどいことをしたのは、ジョングクがその音ばかり弾いたからだった。ジョングクはどうしてあの音を弾いたのだろう。何も知らないくせに。
ユンギは過去の傷のせいであの音を聴くと強く当たってしまうのを自覚してたけど、ジョングクはそんなこと知らないわけで、かなり不憫。
5月22日にジョングクが事故に遭って入院したので作業室に来ることはなくなったんだけど、ユンギはといえば共同作業者と音楽作業をしていた。もちろんジョングクが事故にあったことはまだ知らないので、なんも気にかけてない。
ハイライトリールを見ると5月25日にはライターを取り上げられているのでかなり仲も深まっているようだ(?)。
D-DAYコンVCRにも登場したY.K.ライターのシーンはもう説明不要ですね。
大胆で率直な性格の彼女を受け入れたのは、なによりも『彼女の演奏や作った曲がよかったからだ。彼女の評価が正確だったからだ』とユンギはいう。
その事実は俺を刺激した。次第に作業室で過ごす時間が長くなった。
(中略)
今まで時間を無駄にせず、音楽を続けていたら、今頃、俺も彼女と同じくらいの実力が身についていただろうかと気になった。彼女に負けたくなかった。
まるでライバルのような彼女の存在が、荒廃した生活を送っていたユンギを再び音楽に目覚めさせた。
「これ、すごくいいわね」昨日の夕方、作業室に来た彼女が、俺がかけっ放しにしていた曲を聞いて言った。以前作った曲を発展させたものだった。「これ、すごくいいわね」いつだったか、同じことを聞いた気がして記憶を辿っていると、彼女がギターを取り出した。そして、すぐにコードを作り、メロディーをアレンジし始めた。自然と俺もピアノの前に座った。
彼女のことをプレイヤーとしてもアーティストとしても一目置いていたユンギにとって、そのひと言に心が動いたとは思うが、何か別の記憶がよぎっていた。
彼女はギターで弾き語りできるようにアレンジし始めるけど、ナチュラルにあの音を回避できてたらオモロい。
病院で公演もしてた彼女はユンギにも来て欲しいと誘う。この時点ではしぶしぶ行くような態度だった。
しかしユンギは彼女からの電話より先にジョングクの事故の知らせを聞く。
すぐに病院へ駆けつけるも横たわるジョングクを見てクソデカ感情錯乱状態に陥り、ユンギは再び音楽から、そして生きることから逃げようとしてしまう。
自分のせいでジョングクを死なせたかもしれないと思い込んだユンギは、自分がいなくなればもうだれも不幸にならないと考えたからだ。
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音信不通になったまま偶然ホソクとばったり会ったユンギは、バチバチに説教されて音楽への"希望"を取り戻していった。その中である一場面が浮かんだ。
突然、目の前に日差しがまぶしかった午後の一時が広がった。俺が作業室のピアノの前に座り、メロディーを弾いていた。
頭の中のあのメロディーだった。「兄さん。それ、本当にいいですね」ジョングクが近づきながら言い、俺は軽く笑って答えた。『お前は何でもいいって言うじゃないか』
あの日彼女に「これ、すごくいいわね」と言われて思い出せなかったのは、いつの日かジョングクが言った「それ、本当にいいですね」だったのだ。
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奇跡的に一命を取りとめ順調に回復していたジョングクは、屋上で絵を描いてるとひとりの女性が弾き語りをしていることに気づく。それは聴き覚えのある曲だった。
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はい、ではここで冒頭に書いた、ジョングクにとってユンギの音楽とは何かをもう一度おさらいします。
僕は兄さんのピアノの音が好きだった。
兄さんの演奏を聴いていると何だか気持ちが穏やかになるから。
そんなはずはなかったが、ユンギ兄さんが僕の気持ちを知って慰めてくれているような気がした。
NOTES2の別の世界線で本人に打ち明ける機会もあった。
「兄さんの音楽が好きだからです。兄さんのピアノを聞いたら涙が出るから。僕、一日に何回も死にたくなるんです。だけど兄さんのピアノを聞いたら生きようって思う。だからなんです。
だからそうなんですって。僕の気持ちを表してるみたいだってことです」
ジョングクの「それ、本当にいいですね」にはどれだけ強い想いが込められているのかがわかる。
大切な思い出のピアノ曲を知らない女性が目の前でアコースティックバージョンで弾いている。
ギターにはライターがぶらさがってて、そこにはY.K.とか書かれている。
自分はユンギを炎の中から決死に助け出したけどライターカチカチ言わせるのはやめさせられなかった。でも彼女には大切な曲もライターも差し出しちゃうんだ。死にかけて入院してるときに知らない女性と深い仲になってたんだ、だからお見舞いにも来ないんだ………と思ったかは知らんけど、ハイライトリールの
ジョングクがY.K.ライターに気づくシーン
ここがわたしは花様年華BU史上一番残酷だと思います(異論は認めます)。
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ホソクの言葉を借りれば「ジョングクにとって兄さんがどんな存在か、知らないんですか?」なんだよなぁ……。
しかも自分を轢いたのはソクジン兄さんかもって疑い出してるから、この後さらに地獄展開が待ってる。どうやったらこんなこと思いつくんだよ。
ユンギと作業室で過ごした時間が"悲しみの中の喜び"だとしたら、ハイライトリールのシーンは"喜びの後の悲しみ"だよね、と思ったのでした。ああ、もう、ああ、、、。
そういえばNOTES2でユンギがジョングクの言葉を反芻するんだけど
ジョングクの言葉が浮かんだ。『兄さんの音楽が好きだからです。兄さんのピアノを聞いたら生きようって思う。僕が言いたいのは、兄さんの音楽は本当に僕の気持ちを表してるみたいだってことです』
しっかり都合のいいとこだけ切り抜いてて笑う。そういうとこな………