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バワの建築を求めて③

結局最初から最後まで、自然公園の中には象しかいなかった。自然公園ならぬ象公園だ。もっとキリンとか、サイとか、トラとか、色々見れると思っていたけど、そんな甘くはないらしい。

そんなこんなでジープサファリを終え、この日はこの旅行の最大の目的であるヘリタンスに泊る日だった。
早くチェックインしたくて仕方ない私はホテルに到着するのを今か今かと心待ちにしていた。
けれど、またもや待てど暮らせどホテルは見えてこない。そう、私たちが宿泊予定だったホテルは現在地から一番離れているところにあって、かつ、他のツアー参加者を送迎してから最後に連れていかれるというコースだったのだ。
なんともしくじった。これでは日が暮れてしまう。そう思った時には時既に遅し。日は落ち、辺りは真っ暗。森の中にあると言われているホテルの全貌も、到着する頃には見ることが出来なかった。
なんとも言えない気持ちのまま、フロントでチェックインを済ませ、せっかくのインフィニティプールも入れず、すぐに寝入ってしまった。
次の日はまたバスで遠くまで移動しなければならず、朝も早い。あぁ、こんなことならもう一泊ここに泊るプランにしておけばよかった…。


次の日、朝早くに目が覚めた。まだモーニングの時間までは少しある。今のうちに館内を散策しよう。バワの建築を堪能出来るのは今だけだと思い、急いで支度をした。
案の定、館内に人の気配は全くなく、今まで泊ったどこのホテルよりも神聖な雰囲気に包まれていた。
森の中にあるからこそ、街中の喧騒は聞こえてこない。鳥の囀り、動物の呼吸、葉の擦れる音、木々のうねり。太陽の光を直に浴びて、今もなお、このホテルは生き続けていた。
自然と共存し続ける中で、水や、風や、太陽や、動物が、このホテルを森に引きずり込んでいくような気さえしたのだ。
ここには、いくつもの生命が絶えることなく生き続けていたのだ。バワは、自然の中にただ建築を行ったのではなく、自然との融合をこの建築で表したのだ。個々の独立したものではなく、この先も相容れないこの二つが共生するとき、その安らぐ空間を人間の最適な場所へと変えた。

また時間が出来たら行きたい。このホテルに。
そして今度はちゃんと、インフィニティプールに入りたいな。


彼方

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