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大好きは100回言っても足りん

人を愛するってなんて素敵なことなんだろう。他人のことで頭がいっぱいになるあの苦しさともどかしさは、恋をしている人だけが味わえる特権だ。

私にはすごくすごく大好きな人がいた。お互い傷つけあうことしかできなかったのに、私はその人が本当に大好きで、多分その人も私のことを多少なりには好きでいてくれた。今思い返しても、あれだけ強く誰かを想って苦しくなったのは人生で数える程しかないと思うぐらいだ。

でも大好きな人をずっと大好きでいることはできなかった。大好きな人が苦手な人になって、次第に怖い人になった。あんなに大好きだったのに、その人を想っても心がときめかなくなってしまった。そして私は自分の人生からその人を退けることにした。

大好きな人が大好きだったカネコアヤノの歌を聴く度に苦しくなった。歌詞が全て大好きな人や私たちのことを歌っているように思えた。大好きな人は大好きな人じゃなくなってしまったけれど、カネコアヤノは私の大好きな歌手でい続けた。

今カネコアヤノを聴いても昔ほど心が動かない。大好きな人のことを想って聴けなくなったからだろう。その事実が寂しいなと思ってしまう。人を愛することをやめてから、まるで心の感情のピースが1つ欠けたみたいに、私の心はいつまで経っても完成しないような気がする。

恋愛ってどうしようもなく苦しいけれどどうしようもなく尊いものだと思う。恋愛している人みんなが眩しく見える。私にも欠けた感情のピースを埋めてくれるような出会いがあればいいのにな。春が来たし。


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