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「はるにっき」が教えてくれた、祖母の老いを見つめる眼差し

綾瀬はるかちゃんの連載がginzamag.comで始まった。日常の「気になるひと、モノ、こと」を写真と文、そしてインタビューで紹介していく「はるにっき」。このタイトルは、はるかちゃんの発案だそうで、なんて可愛らしい名前!

そんな「はるにっき」の記念すべき第1回目は
「おばあちゃんが言ってくれた『なるようにしかならんけぇ』」
御年97歳のおばあさまのことが、はるかちゃんの文章と広島の実家で撮影した写真と共に紹介されている。

97歳のおばあさま。60年間、水拭きに掃き掃除、お庭の手入れ、開脚に太極拳……決まったルーティンを毎日欠かさずにこなされるそう。すごい!超人の域!
そんなおばあさまに悩みを相談をしたとき、答えてくれた言葉はシンプルだったけれど生きることの真髄だと感じたはるかちゃん。

「なるようにしかならんけぇ」

決して平坦ではないおばあさまの人生を思いながら、「その言葉は私を安心させてくれた」と綴っていた。

おばあさまを大事に思い、大切にされているはるかちゃんの気持ちが溢れる「はるにっき」を読みながら、自分を顧みずにはいられなかった。私は祖母の何を見ていたのだろう。

一緒に暮らす祖母は80代後半になり、できないことが多くなってきた。支えがないと長時間歩くことが難しい。丸くなった腰を支えるシルバーカーは祖母の相棒だ。友人との集まりや病院の予定を間違えることも増えた。
そんな祖母の老いを目の当たりにするのは、とても寂しい。普段は生活に追われて考えないようにしているけれど、思いを寄せると切なさが込み上げてくる。

はるかちゃんがおばあさまの毎日のルーティンを見ているように、私も祖母の暮らしをじっくり見てみようと思った。できなくなったことが祖母の全てでは決してないはずだから。

まず、朝食に家族分の味噌汁を作ってくれる。畳の居間に掃除機をかけて、年季の入った台所の床を拭く。これらが行われるのは私がまだ寝ている朝の時間だ。それから、仏壇の隣にはいつも花が生けられている。

見渡せば、祖母のルーティンが生活に染み込んでいた。染み込みすぎて、素通りしていた。祖母のルーティンをたくさん見つけられたことで、切ない気持ちはくるりとひっくり返った。すごいと思った。私が毎朝それをやりなさいと言われても、こなせる自信は……ない。 

ルーティンとは毎日こなす、本人にとっては言わば当たり前のことだ。あまりにも自然にこなしているので、それはいつしか暮らしの中の風景になり、見慣れてしまう。そばにあっても素通りしてしまうかもしれない。

そんな風景を見慣れずに、こうして紹介してくれるはるかちゃんは、やっぱりすごい。素晴らしいなぁと感心してしまう。
「はるにっき vol.1」は私に祖母への大切な眼差しを教えてくれた。

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