
私流、ライブPAでのVo.イコライジング「ハイを上げて!」と言われたとき
はじめに
私はかつてPAのエンジニアをしていたことがありました。
その時に演者から一番言われたことが、
「ハイを上げて」でした。
なので、これの対策です。
まったくミキサー卓を触ったことのないような
初心者向けの記事です。
備忘録程度に書きました。
ほんのちょっとの参考にでもなればと思います。

ボーカルの言うハイとは卓のハイとは違う
リハーサル中に、ボーカルから一番良く言われます。
「ハイを上げて」
と。
最近のマイクは性能が良いので、そんなことはないのかもしれませんが、昔のマイクは押し並べて性能が悪く、声の抜けが悪かったのです。
自分の声がなんとなく抜けが悪く、角がない丸い声と感じたときに、ボーカルは「ハイを上げて」と言ってきます。
そんな時に、ついついミキサー卓のEQのハイを上げてしまいがちですが、これが違うんです。

結論を言うと
『ボーカルの言うハイとは、2kHzのことで、卓のEQのハイではない』
です。以上!
これでもうこの記事は読む必要がなくなるんですが・・・(笑)
ちょっと解説しますと
ボーカルの欲しいハイとは、自分の声の高い部分であって
聞こえる音全体の高さではないんですね。
人の聞こえる音は、だいたい60Hz~15kHzですが、
人の声はほぼ630Hz~2.5KHzに収まります。
※前回の私の記事参照
この幅でみると声の高い部分(いわゆるハイの部分)というのは
2KHzや2.5KHzということになります。
なので、ボーカルに「ハイを上げて」と言われたとき、
卓のEQはミドルの周波数、FRQを2KHzに合わせて、その量を調整するのが正解です。

ミキサーについているEQのハイは
概ね10kHzです。
ピアノやギターなど、楽器の音なら、ここがハイになるのですが、
声は思ったより帯域が狭いのですね。
なので、10kHzをいじっても、声自体にはさほど変化は出ません。
声の調整はEQのミドルで行うと思っていていいでしょう。
簡単に解説でした。

その他よくあった事例
その他よくあったボーカルのEQ事例を紹介します
●4kHz
4kHz付近は、「サ行」の声に影響を与えることが多く、
ここは人によっては結構重要なポイントです。
上げすぎると耳につく声になりますので、
注意が必要です。
環境によって、上げることも下げることもありました。
何もしないことが多かったですが・・(笑)
●800Hz,1kHz
800Hz,1kHzは個人的には、いじらないほうがいいと思っています。
いじっても声質に変化は見られませんし、表現しにくい妙な違和感に襲われるだけなので・・・(笑)
また、ここを足していくとハウリングが起こりやすかった気がします。なので、下げることはあっても足していくことは無いんじゃないかと思っています。
●100Hz EQのLOW
EQのLOWのつまみは、おおむね100Hz。
一番低音らしい部分です。
私はこのLOWを歌い手によって使い分けていました。
マイクを口にベタづけで歌う人
マイクを離して歌う人
です。
マイクには「近接効果」というものがあり、
音源までの距離が近ければ近いほど低音を拾いやすくなるんですね。
カラオケで、低い声を出す時だけ、自然とマイクを近づける人が多いと思いますが、そういうことです。
1.マイクを口にベタづけで歌う人
で、単に声量不足でマイクが近い人に多いのですが、
息を吹きかけるような声で歌う人がいます。
普通に歌っていても「ボッ」とか「ヴォン」という音が入る人です。
この場合はLOWをカットします。
効果は薄いかもしれませんが、だいぶ聞き取りやすくなると私は思います

2.マイクを離して歌う人
逆に十分な声量があり、マイクを離した状態で歌う人の場合、
この場合はLOWをブーストします。
近接効果が少なく、低音を拾いにくいので、LOWを足してあげると、歌い手も歌いやすいと思います。
マイクワークの癖など、人によるので一概には言えませんが、メインボーカルでこのタイプの人はLOWを足してあげることで、全体的に均一な声になった気がします。
歌手の例で行くと、布施明とか尾崎紀世彦とかでしょうか。
あくまでイメージですが・・・。
上げ幅、下げ幅はセンスで(笑)
人によりかなり異なりますので。
以上、よくあった例でした。

終わりに
まあ、ごくごく簡単に、よくあった事例で紹介しました。
高度なテクニックではなく、ほんの小ネタ程度にとらえてもらえると嬉しいです。
この記事がちょっとでも役に立つことがありますように。
最後まで読んでいただいてありがとうございました。
