困った経験
建築設計をしていると思わぬトラブルが発生するすることが多々あります。いや、多々多々多々!あります。自分が勤めた設計事務所が悪いのか?と失礼なことを働き初めには思ったものですがそんなことはないのです。いろんなことが起きてしまうのです。多くの人が携わるのが建築で、みな完璧ではないですし、見えない部分もおおくいろんな原因でトラブルはおきてしますのです。決して言い訳ではありません。トラブルの起きない現場の方が、何か隠蔽されていそうで怖いくらいなのです。
以前、とある物件で擁壁の計画を進めていました。何重にも重なる許可や申請手続きなど、役所の担当とケンカしながら(勉強させていただきながら(笑))一年以上かけてようやく許可が降りました。いざ施工となった時に地盤が良くないことが判明したのです。しかも半分だけ。施主への聞き取り不足と、感覚的に土木工事には不慣れで擁壁に必要な地耐力(地面に必要な強さ)を見誤っていたのです。施主にそのことを説明し土木業者二社に見積もりをお願いしました。すると上がってきた計画・見積もりにびっくり。直径60センチの杭を200本近く打つ計画で約400万円というとんでもない数字!さらに計画図を見てみると、杭同士が重なり合っている!実際にはこの本数の杭はここにおさまらないことを表しているのです。二社とも似た内容です。「計算するとそういうことになる」ということだそうです。そんなやる気の感じられない見積書に「あ~~、どうしよう!」とストレスフルだった日々。今思い出してもひあせが出ます。
結局、工務店さんに他の土木業者さんを紹介していただきました。そして新工法を提案してもらえたのです。費用も約260万円。決して安くはないですが施工も可能ですし地耐力も期待できそうでした。その工法とは、いわば「置き換え土」なのですが他とちょっと違うのは砕石を丈夫な袋に入れて上からの荷重が拡散しないようにするものでした。商品名を「D・BOX」といいます。(決して回し者ではございません)実際地耐力があるか検査(載荷試験)しクリアできました。そして無事擁壁も設置することができたのです。
正直、新工法なので信用に値するかちょっと怖い気もしていました。が、もう信用するしかありません。役所も少しうるさく言ってきました。が途中から何も言わなくなりました。そんなある日、隣町の新幹線車庫の工事現場を通りかかった折に発見したのです。「D・BOX」を。
はは~、だから何も言わなくなったのね~。それとも、真似したのかな? なんて、心の中でほくそ笑んだのでした。