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メゾンマルジェラアーティザナル展の話

会期終わってしまいましたが、観に行ったよの記録!

Maison Margiela Artisanal 2024 Exhibition
メゾンマルジェラのオートクチュールコレクションの世界に没入できる展示会。

会場内の通路が暗すぎて全然見えなくて、ヨボヨボ歩いて周った。
展示してある部屋もそんなに広くなくてめっちゃくちゃ至近距離で展示されてるから、荷物とか当てちゃわないかヒヤヒヤしながらそーっと歩く。

めちゃ薄暗い。怖い。

アーティザナル2024と言えば、顔テカテカの時のコレクションやで!

モデルが登場人物になりきって演じながらランウェイを歩く、ガリアーノ節炸裂のコレクション。

近い!

透っけ透けのドレス、その辺にあった毛玉だらけのカーディガンを肩に引っ掛けて出てきちゃったみたいなのとか。
露出おじさんみたいにコートの前押さえてるからなんも見えねぇじゃんてやつとか。
ゾンビみたいに歩く、壊れかけの人形みたいなやつとか…

もうこれは壊れた人形そのもの
破れたストッキングで覆われたバッグやシューズ

わぁ素敵、綺麗!だけじゃなく
怖くて美しい。思わず目を逸らしてしまいそうになるけど、近づいてもっとよく見てみたい。
なんて退廃的な世界観。謎に泣きそうになる。


とにかく今回のコレクションはコルセットが鍵。補正でヒップを大きくしてしてウエストの細さを強調。
インスピレーションBOOK

展示を見ながら頭の中に浮かんできたキーワード

コルセット
解剖学
ハンスベルメール
藁が飛び出た古い人形 
シュヴァンクマイエル
怪盗
夜の雨
月明り
狼男
ヴァンパイア
橋の下
ダンボールハウス
コルセットありきの服
没落貴族
19世紀末のパリの場末感
肉感的なむっちりボディ

観る者を架空の世界に引きずり込む、演劇的な衣装。 
フェティッシュなキーワードをごちゃまぜに掬い上げて美しくまとめ昇華する、バランス感覚が抜群。
とことん作り込んで没入させる、これがやっぱりガリアーノなんだよなぁ。
物語とそれを表現する職人の技術が合わさるとこんなとんでもない世界観が作り出せるのか…!と感激。


オーディオガイドの案内もあったけど、会場にいるスタッフさんの解説を直接聞くのが良かった!
洋服だけど私は服というより芸術品だと思います!っていう言葉にグッと来た…!


繊細な手仕事、レトログレーディング!
せ、繊細ぃ~!
歩く度に揺らめくの。
解剖台の上に寝かせられてる演出も悪趣味な感じで素敵~

・シームレース
シームレス×レース。👌こんくらいのレースを一つ一つ繋ぎ合わせて作ってるらしい…途方もない!
だから縫い目も無いし後ろの釦留めることがジグザグだし、指のとこまで立体的なんだって。

アクアレリングで月明かりに照らされた川をイメージ。水面のように流れる線はビーズがひとつひとつ縫い付けられている。

鬼ピンタック!!
たまんねーなおい、この眺め。ストライプによる線の重なりが更にこのラインの素晴らしさを強調している


シリコンとクリスタルビーズによる雨粒の表現、肩とか裾がコーティングされてて布が濡れたみたいになってる!
これ私が服飾学生だったらめっちゃやりたい表現だわ~(謎の視点)

この展示を見に行く前に銀座のドーバーのウィンドウも見てきたんだけど、雨に濡れた石畳が表現されてて、あれ、今雨降ってる?って錯覚しちゃうような。これとショーの映像と今日の展示、一連を見て夜の雨って美しいんだなぁとしみじみ思った。


ダンボールみたいな質感を細かく畳んだ生地で表現してる。
畳んで縫うだけのところと、切りっぱなしになっているところがあって見え方に変化がある。
至近距離で見るとおぉ…手仕事…!(とても重そう!)って感じなんだけど、ショーの映像で着用してるのを見るとダンボール感が増しててすごい!
ガムテープのぐちゃっと感とか、ダンボール回収の日が雨の日に被ったときみたいな(庶民すぎる発想)濡れてちょっとブヨブヨになってる感じがすごかった。独特な匂いまでしてきそうな。


やりすぎ感のあるボディのラインがまた…惚

事前にショーの動画を見て行ったから、あれはこうなってたのかー!とか、こういうことを表現したかったのか!っていうのがわかってすごく良かった~。
(肉感的なモデルの身体、フェイクアンダーヘア、破れたストッキング生地につつまれたウレタン。テカテカ顔のヘアメイクは人形っぽさを表してたのか~とか。)

リバーススワッチング。ウレタンマットみたいなのが詰まってる!

そして展示を見てから更に2階でまたムービーを観ておさらいできたのも良かった。
実物を見てからもう一度映像を見るとまた新しい発見があって。


例のフェイクアンダーヘア。
薬品棚みたいなのに入って展示されてるのがまた良い。
メスとか置いちゃう演出。
つま先のないフェティッシュなヒール。

最初にショーの映像を見たときはよくわかんなかったけど、こうなってたんだねぇ!っていう発見がたくさんあった。

展示されている服はそれはそれは緻密で美しくて芸術品。
でも解剖台に広げられた服たちはまさに抜け殻のようで、やはり服は人が着て動いてこそ完成なのだなと思った。


とんでもない職人技によって作られた芸術的作品を目の前で見られる超贅沢な体験だった!

ブランドの世界観にどっぷりと浸かれた。
少し前にガリアーノの映画を観たこともあり、彼の唯一無二の天才っぷりにバチバチに痺れた。

良い体験ができました。

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