デ・キリコ展の話
行ってきましたデ・キリコ展 at 東京都美術館。
お盆なので少し混み合っている感じもあったけど、自分のペースでじっくり堪能。
初っ端から自画像のコーナーで始まる。
めちゃくちゃ濃い顔でこってりイタリア男!って感じ。我が強めなのが顔に出てるww
こうやって最初に自画像が出てくると「この人が描いてたんかぁ〜」とその後の作品を見ながらなんとなく顔がちらつく。それが良くも悪くもと言った感じだけどもまぁ。
また
展示室の合間にアテネ、ミラノ、フィレンツェ、ローマ、フェッラーラ、、と彼が暮らした街の様子の映像も流れてて、「ここで暮らしてたんか〜。こういう作風になったの、なんか、わかる気がするゥ〜」となった。
トリノのアーケードのある風景とか、すごく、ぽい。
暮らす街の空気や雰囲気もやっぱり作品に影響するよね。とりあえず、イタリア行きたい✌︎
この企画展を観るまで知らなかった「形而上絵画」という言葉。
脈絡のないものを並べることによって、見る者に違和感を与える絵画様式。
"「違和感、不安、憂愁」など日常の奥に潜む神秘や謎をほのめかす"技法。
わざと遠近法をずらして描かれていたり、オレンジ色のがらーんとした広場や、馬鹿でかい塔とか。見る者に何かざわつきを感じさせるモチーフ。
"無"だけど"有る"。無機質さ、なんか寂しい感じ。
この空気、私はよく夢の中で感じる。
あの空気感をそのまま絵にしたらこんなふうになりそうだと思った。
黒線がくっきりしたやつは漫画っぽいというか、ポップアート的なデザインっぽさも感じる。アート系の本の表紙とか、CDジャケットとかにありそうな。
そして印象的なモチーフとして度々登場するマヌカン(=マネキン)。
「理想的な、意識を奪われた人間」として表現されている。
初めの方は無機質で機械っぽさのあるマヌカンモチーフだけど、1920年代の途中からは赤ちゃんみたいにぷりぷりと肉肉しくなっていく。
そして初めて見るデ・キリコの彫刻。
彫刻というとゴツゴツ硬いものをイメージしがちだけど、デ・キリコのは違う。ちゅるんちゅるんで柔らかくて丸い。こういう彫刻もあるんだなぁと思った。
あれみたい、ちょっと空山基っぽい。
そして椅子がやたら出てくるんだけど、これはなんかアテネでは地震が来ると家具を家の外に運び出す風習?があるらしくて、そこから着想を得たらしい。
たしかに家の中にあるべきものが外にあるというのはすごく違和感があって、それを面白いと思う感性はなんかわかる気がする。
舞台衣装
急にデザイン画が出てきてテンションが上がった!実物の衣装も展示されてて、独特な風貌がなんともかわいらしい。
そんなこんなで90歳まで生きたデ・キリコ。結婚は2回したらしい。
7歳の時に父親が65歳で他界してっていうのもあらまぁって感じだけど、母親が他界したのはその30年後。ご両親は結構歳の差があったのかな?もしくは父親以外は長生きの家系??とかいろいろ年表見てて思ったこと。
そして毎度思うけど、詩人のジャン・コクトー、画商のポール・ギヨームとの交流…またお前か!
この人たちどんな企画展見てても出てくるよなぁ。すごい交友関係だよなぁ〜。
「風変わりで色とりどり玩具でいっぱいの奇妙な巨大ミュージアムを生きるように世界を生きる。」
デ・キリコ と言えば教科書で見た「通りの神秘と憂鬱」が有名だと思うけど、今回はそちらの展示は無し。
たくさんの作品を見られたのはもちろんだけど、アーチ状にくり抜かれた色壁など、観ている私たちまでデ・キリコの世界に入り込んだような、世界観にしっくりくる内装も素敵だった!
デ・キリコの不思議なアートをじっくりと楽しめる企画展だった。
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