山下清展の話
気になっていた山下清展、行ってきた!
会期終了が近い日曜日だったので、バチクソ混んでた!!!
山下清ってこんなに人気なのかぁー!とびっくり。
私は見たことないんだが裸の大将のイメージが強いし、やはり知名度もありみんな興味あるんだろうな。
山下清といえば、小学生の頃、地元に来ていた長浜の花火の貼り絵をなんかのついでに母親が連れて行ってくれて見に行ったのが私の美術好きの始まり。
ポストカードを貰ったのか買ったのか覚えてないけど、その記憶がすごく残っている。探せば実家にまだあるんじゃないかなぁ。
今回たくさんの作品の実物を見てみて、なんとも言えない懐かしさを感じて不思議な気持ちになった。(鬼の絵→「清の見たゆめ」が見たかったけどそれは無かったな)
冒頭の説明書きで「清と同じように、美しいものを見る"ぼんやり"とした時間を楽しんでください」とあったのが印象的。
混み合っていてなかなかぼんやりとは見られなかったけれども。それでもなんだか心が暖かくなるような作品ばかりで。
色紙にサインを書く時に「文字だけではつまらないだろう」と描いたという可愛らしいペン描きの昆虫や魚(ℓに似ているからリットル魚と呼ばれるらしい)は、単純でくっきりした線と配置がどこか北欧デザインを感じさせるようで素敵。
どの作品も多分最初はもっと色鮮やかだったんだろうけど、経年変化で全体的に色褪せたセピア色っぽい色になってるのもあり、それがまたノスタルジーを掻き立てる。(物資不足でしっかりした絵画用の画材じゃないのを使っていたのも関係してそう)
上野や杉並の今もある土地の風景も、柔らかい色で心がホッとなごむ。当時の清と同じ場所に今も私たちが生きているということになんとも言えない気持ちになった。
貼り絵の作品はやっぱり実物を直接見るとその緻密さと立体感に圧倒される。
紙をこよりみたいにして木の枝にしてるのとか、古切手を使っているのとか、至近距離で見ないとわからないものなぁ。
生で見られたのがとても幸せだ。
展示に添えられた清の言葉がまた素朴でのほほんとしていてクスッと笑えたり。
あと、"るんぺん"という単語は知ってはいたけれど、こういうふうに使うのか!と思った。今だとあんまり大きな声では言えないよね?
そして、徴兵を恐れていたわりに戦争の絵はなんだかポップでかわいい。
でも、ものを例えるときによく軍の階級で例えていたとか、それだけ当時の日本は生活の中に戦争が染み込んでいたんだなぁと切ない気持ちになった。清は戦争が怖くて仕方なかったし、絶対にダメだと思っていた、でもそんなことはとても口にも出せなかっただろう。切ない。
障がいのこともあって実際には大変なつらい思いもしただろう。けど、時代をこえてここまで人を魅了して感動させられるのはやはり純粋な心で描かれたことによるものなんだろう。
つらい幼少期を経て、絵を描くことで他者とのコミュニケーションを取れるようになったとか、胸が熱くなる。
目に映った景色をそのままバチっと描くこともすごいけど、自分の放浪記を俯瞰で描けるというのもなかなか特殊能力的なものを感じた。(漫画みたいで面白かった)
ペン画や油絵も素敵だけど、やはり貼り絵の緻密さとオリジナリティに心を揺さぶられる。
日本におけるアウトサイダーアートの代表じゃないかなと。
展示室に入るまで40分、ミュージアムショップもレジまで30分(閉館時間過ぎてたしスタッフさんたち残業だよねぇ、ご苦労様です)と激混みのSOMPOでしたが、やはり行って良かった。
毎回最後のゴッホひまわりはおぉ!ってなるし。
会期終了まであと数日だけど、たくさんの人に見に行って欲しいと思える展示だった。
「今年の花火見物はどこに行こうかな。」