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私が「ヤンキー親子」で泣く理由

今年のニューヨーク単独のコント「ヤンキー親子」

7月7日の新宿ブロッサムでは「屋敷さんのカツラと服面白すぎ!」「こういう親子いるー!」「確かに確かに!」「嶋佐さんの表情(かお)最高!」「ギャハハハハハ!」とただただ笑ってた私。

8月15日の凱旋公演では急にたまらなくなって泣いてしまった。最初はコントで泣くってなんか恥ずかしいな…(個人の偏見です)、ただでさえ緩い涙腺がますます緩くなったのかな?くらいに思ってたけど、どうもそうではないみたい。

アンケートを書いてる途中でその理由を考えだしたら止まらなくなった。


私は不良とは一切無縁でどちらかと言うと勝手に心の中で馬鹿にしてきた人間だ。
そもそも不良なんてドラマや漫画でしか知らない。
知らないくせに、なんかダサいし、甘えてる感じがするし、なんとなく無礼だし、話も多分通じないし、全然友だちになりたくないと思ってきた。

でも、そう言われてみれば、確かに、大人になった不良は幸せそうだ。

3回離婚した遠い親戚。
離婚する夫と家のローンの話で揉めていたはずなのにいつの間にか新しい車を買い、年下の彼氏と同棲し、大きくなった子どもたちもいい子ばかりらしい。長男は間もなく結婚するそうだ。やはり不良の子は親と一緒で結婚も早い。

近所のご家族もそうだ。
金髪のお父さんは朝早く作業着で仕事に出かけ、家族みんなでよさこいチームを率いり、子どもは夕方になると一人で旗振りの練習をしている。
夏休みは必ず庭でよさこい仲間(多分)とBBQ。いつも大量のウインナー を焼いている。結構臭うけどたった半日のことだし、すごく楽しそうなのでこっちも微笑ましい気持ちになる夏の風物詩。絶対に締めは花火。

私だって別に不幸じゃない。
むしろ苦労知らずで幸せに生きてきたほう。
お笑いの趣味が合わないこと以外は永遠に話しても飽きない大好きな人と結婚して、理解ある家族に恵まれて趣味を謳歌している。
羨ましいとは微塵も思わない。


でも、あのお父さんは?

きっと不良とは無縁だったはず。冴えない人だったみたいだから遠くから不良を見る程度。多分私とそれほど変わらない学生時代。

じゃあお父さんはどんなきっかけで不良の幸せに気づいたんだろう。

不良になる勇気がなかったお父さんが、離婚して、誰も知らないところに引っ越してまで、子どものために大人から不良になるなんて余程のことだ。

まあ、本当は私だって、若い頃に不良だった人が結構幸せになっていることを知っている。でも、ずっと真面目にやんちゃもせずに生きてきた人が報われないなんて嫌だからちょっと目を逸らしてる。

それなのにお父さんは正面から向き合ってしまった。


「ウーバーイーツ頑張ってます!」って言ってたけど、いくら地方都市でもそれだけで子どもを養うのは大変だろう。あのお父さんはとても器用そうには見えない。もしかしたら子どもが寝てる時間も頑張って働いてるんじゃないだろうか。働きながら子どもの帰宅に合わせて家事をするのはすごく大変なはずだ。

大人になってからの不良だから、当然、今住んでいる場所に不良仲間がいるとは思えない。あのお父さんは不良一軒家のパパたちの輪に対等に入っていくなんて絶対にできない。

子どもが幸せになるいちばんの近道だと信じて必死に大人不良をソロで続けていたお父さん。情けないかもしれないけど、めちゃくちゃ真面目でいい人だ。絶対に報われてほしい。

なのに、子どもは不良になるのをやめた。
子どもにとって人生でいちばん弱かったお父さんパンチ。
あまりにも可哀想。

一方、大人になった彼の暮らしぶりも決して華やかなものではなさそう。会社と家の往復、食事は毎日コンビニ、たまにデリヘルを呼ぶくらいが楽しみ。

そりゃそうだよ。
だって、お父さんの言うことをあんなに素直に信じて一生懸命頑張る良い子だもん。

不良になんかなれるわけない。
だって不良って親に反発したりするもんでしょ?
家に帰りたくなくて仲間と夜中のコンビニ前でたむろったりするものでしょ?

結局子どもを不良一軒家にすることに人生を賭けたお父さんは全く報われずに死んだ。胸が苦しくなる。なんて悲しい話なんだろう。あんなにもめちゃめちゃに笑っちゃったけど。

でも、思い通りにならなくても、信じた理想とはほど遠くても人生は終わりではないし、そんなに悪いものでもない。

大人になった彼からはそんな感じを受けた。
嬢に対する接し方とか、仕草とか、「愛してくれていたし、愛していた」という言葉から。

人は思い合っていてもすれ違うし、信じた道にいけなかったり、そもそもその道自体が間違ってるのか合ってるかどうかも分からなくなったりする。私のように信じる道が特にないまま、のほほんと生きてきちゃった人もいれば、思い通りに生きられないどころか、あんなにいい人が病気になったり、急に死んでしまう。

だけど、誰かのことを思い浮かべて「愛している」「愛していた」と胸をはって言えること、大したことないように聞こえるかもしれないけど、意外とそれで人は生きれるし、意外と幸せなのだ。

だって私はそれだけで前を向いて立って歩いていこうとする人をたくさん知っている。

例え、愛したことや進んだ道がうまくいかなくてもいいんだよ、そう言われているようで多分私は泣いているんだと思う。

熱量だけで書いた尻すぼみで完全なる独りよがりの解釈ですが。



普段140文字のポストでも四苦八苦してる私にこんな妄想クソ長文を書かせるなんて全部ニューヨークさんのせいだ。勢いで公開してるけど絶対あとで恥ずかしくなって身悶えするに決まってる。

兎にも角にも、ニューヨークさんの他にない着眼点、ほんの少しで全てを伝える切り口と表現のうまさ、屋敷さんの持ち前のピュアを昇華したいじらしさや優しさに哀愁まで見事に演じる力量、キャラに完全憑依しながらもあふれてしまう嶋佐さん本来の愛おしすぎるダサさと真面目さとみんなに愛される人間性が為せる技にとんでもなく心を揺さぶられてしまった。

ニューヨークさんって本当にすごい。
ひとつのネタで、書くことも考えることも得意じゃない私をここまで動かしてしまうんだもの!


何回でも言う!
語彙力ないけど全力で褒めちゃう!

やっぱりニューヨークさんがいちばん面白い!
ニューヨークさんのネタ、強すぎて毎年惚れ直しちゃう!
ニューヨークさんはもはやネタ神!
普通の人のフリしてるけどニューヨークさんはマジもんの天才コンビ!

あと、個人的に不誠実な気がするからこれだけは言わないでおこうと思ってたけど、もう言っちゃう!!!!


一生あなたたちニューヨークについていきます!!!!!

(初めて書いたくせにクソ生意気なあとがき的なもの書いてしまいました!すいません!!!!)

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