上昇気流の向こう側
自分の家族のことを書くのは、プライバシーの配慮が必要なのですが、
年末から年明けにかけていろいろあったので、書いてみることにします。
私の主人が、昨年末で定年退職をしました。
有名企業ではありませんが、会社との関係はまずまず。
新人教育要員として再雇用はどうかと言われたので、有難くお受けし、引き続き勤務することになりました。
90%のテレワーク・自宅勤務。自宅のリビングが仕事部屋。
年明けから始まった、主人が担当する新人教育のカリキュラム構築の様子のこまごまとしたことが、私にもよく伝わってきます。
つくづくとわかるのが、新入社員教育の担当は、入社4年目くらいの若手が適任であるということです。
学校を卒業して入って来る新人の関心事は
「どうしたら業務を覚えられるか、会社になじんで自分の能力を発揮し、結果を出せるか」
そして周囲の役に立てると認められ、早く役付きになってお給料を増やして、
人生の上昇気流に乗って行くにはどうしたらいいか、
であり、会社にとってそれが望ましい新人の姿です。教育担当者はその心構えやノウハウを熱く語らなければなりません。
ですが定年を迎えた熟年者は、その結果どうなったかまで体験しています。
入社して数年の当時の気分に戻ってみることもできますが、
さすがに熱く語れるところまではいきません。
そういう主人よりも入社4,5年くらいで上昇気流に乗り始めたくらいの社員の方が相応しい、
定年退職組は進捗状況の管理者が適任です。
先がわからないこそ一生懸命になれる。わかってしまうと、どうしても「なりきれ」ません。
能力を発揮する、認められて出世する、高給取りになっていい生活をする、
自分は会社や社会・世の中の役に立てる人間であるということを実感する
というさまざまなことに、
定年退職まで行ってしまった主人は、あまり魅力を感じなくなっているのが、
そばで見ている私には、よくわかりました。
そのかわり他のものが見えてきていて、
そこに定年退職組にとってフォーカスすべきものがあるのですが、
新人からみるとそれはどうでもいいことと映ります。
私自身の入社して数年のころの自分を思い返すと、
真面目にやっているのにどうして成果が出ないんだろう、
ああ、またやっちゃった。同期とくらべて自分は損をしている、
なかなか認められないなあ、
云々
と頭を悩ませたりしまたものですが、
今わかるのが、そういうマイナス経験こそが貴重だということです。
うまくいかないこと、恵まれない環境を経験することこそが、
後々大きな財産となって返ってくるのですが、
上昇気流に乗ろうと一生懸命の新入社員の時期に、そういうところまで見えている必要はありません。
それよりも、
一人前になろうと一生懸命やる過程を味わう方が大事です。
だからその過程の少し前を行っていて、上昇し始めの時期を味わっている若手社員、
同じ目線で、そのノウハウについて熱く語り、
今抱えている問題を考えてくれる存在になってくれる方が、
新人教育担当の適任者。
百戦錬磨の熟年者が中途採用で入って来た場合だけ、主人が担当すればいい・・・
・・・ということを昨晩、主人と話し合ったのでした。
テレワークが普及して、在宅率90%以上の主人とは仕事の話をよくするようになり、関係もより密接になりました。
これも「ここ数年の、このご時世」がもたらしてくれた財産ですね。