よく揺れる私鉄のやわらかめの座面 何を吐き出しても許されそう
吊革に手首まるごと落されてブラックホールで溺れられたら
音割れの発車ベル もう置いてくよ 金切り声 ないはずのトラウマ
夕景に鋏入りて蜃気楼 巡視ヘリのするどさは針
皺のないモデルルームのカーテンがあこがれであり自画像である
SFのまばゆいはなしを冷静な自己投影をもって読了
飴玉が継ぎ目のところで割れるかを試した 継ぎ目が見つからなかった
朝飯を食べているかは知らないが味噌汁の具でも思い出して死ね
海のレプリカには惹きつけられなくて色々なところが痛くなる
還る先に水だけがあり心拍も置いて泳ぐ夢をみる 今でも